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第43話 剣聖アレーテ
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それから準備も終わり、北の門を出て街道を歩いていた。時刻は午前10時を少し回ったくらいかな?
道の周りは草原でとても見晴らしがいい。草原なのでたまに小動物を見かけることがある。こういう場所でも餌になる動物がいるため魔物に遭遇することもある。もっとも、見晴らしがいいもんだから近づいて来たら簡単にわかっちゃうんだけどね。
「終わったぞ。収納を頼む」
アレサが剣に付いたハーピーの血を軽く振って飛ばし、布で拭く。襲って来たのはハーピー8体なんだけど、僕は防壁で馬車を守っていただけ。リーネとサルヴァンは出番無し。当然アレーテさんもリオネッセさんも見ていただけだ。
つまりアレサが1人で片付けてしまったのだ。いやそれにしても凄かった。防壁を足場にして駆け上がりながら空中戦を繰り広げ、一刀のもとに斬り伏せていくアレサ。なんというか、カッコよかった!
「もうあの程度では相手にならないわね。いい動きだったわ。無駄も淀みもなく美しい動線。さすがは私の弟子ね」
「全ては師匠の教えの賜物でございます!」
アレーテさんがアレサに拍手を贈ると、アレサは畏まって頭を下げる。アレサのアレーテさんリスペクトは半端なく、その甲斐もあってアレサの上達ぶりは目覚しいものがあった。教えてまだ1ヶ月足らずだというのにこの上達ぶり。きっとどっちも凄いんだろうな。
それから30分ほど歩いただろうか。少し遠くに人型の何かが見えた。それはこちらに向かって歩いており、その数も10体くらいはいそうだ。
「なんだありゃ?」
「うーん、ここからだとわかりにくいな」
なんか虫っぽいけど立ってるしなぁ。人型の虫かぁ、なんかそんなのいたな。
「あれはクラックオンだな。蟻人間といったところか」
ああ、そうだ。確か図鑑で見たっけ。クラックオン。人型の蟻で5~20くらいの徒党を組んで目に付いた獲物を襲う肉食の魔物だ。確か甲殻に覆われていて硬いんだっけ。冷気に弱いからリーネの魔法で瞬殺出来ると思うけど。
「ちょうどいいわね。少し師匠らしいところを見せておこうかしら」
アレーテさんは馬車から降りると、自らに目隠しをし始めた。
「師匠がなさるのですか?」
「ええ。よく見ておきなさい。目ではなく空気を感じるの。今はまだ難しいと思うけど、これでもあなたが通るべき通過点に過ぎないのよ?」
「通過点……」
アレーテさんはすらりと剣を抜き、そのまま前へと歩き始める。少ししてその姿がしっかり分かるところまで近づくとアレーテさんが駆ける。
クラックオン達はそれに反応し、アレーテさん目掛けて走り出した。その動きには統率性があり、縦1列から左右交互にバラけて襲い掛かる。
「うわっ!」
その様子を見て心臓が跳ねた。チラリとアレサを見るが、その挙動を一瞬足りとも逃すまいと凝視しているようだ。マジで大丈夫なん?
と思ったけど杞憂だった。
クラックオンの連携の取れた攻撃をするりとかわし、1団をすり抜ける。最後の1匹をかわしたところで身体を反転させた。
そこからの動きが凄すぎた。
なんというか、剣を振っているのは間違いないんだけど、全く見えないんだよね。剣を振った瞬間身体を捻っているみたいだからそれで判断できるんだけど、振り抜いたと思った頃にはクラックオンは胴を、首をあるいは胸を切り裂かれて倒れていった。そして未だ襲い来るクラックオンの攻撃を軽々とかわしては剣で切り捨てていく。
「すごぉい! まるで踊っているみたい!」
リーネが目を輝かせて見ている。
アレサはゴクリと唾を呑み込んだ。
サルヴァンは目を見開いて固まっている。
そりゃそうだ。あの動きを目隠しをしてやってのけているんだもの。言葉も出ないよ。
「あれが剣の頂点……!」
アレサは身体を震わせ笑っていた。きっとアレサは感謝し、身震いしているんだと思う。自分が目指すべき到達点を見せてくれたことに感謝し、その頂きに立った自分を想像したのかもしれない。
そして戦いはあっさりと終わった。最後の一体はその首を跳ねられても腕を振り回していたが、やがて動かなくなって地面に倒れ伏したのだ。
そしてアレーテさんが目隠しを外す。御者の人が再び馬車を動かすと、僕は回収のために。アレサさんは出迎えるためにアレーテさんの方に走り出した。
「師匠! お見事でした!」
「ふふっ。いい? これは通過点よ。間違えてはダメ。もっと先に私はいるわ。追ってきなさい」
「はい、師匠!」
アレサがアレーテさんの言葉に感動している間に僕はクラックオンたちの遺体を回収する。どれも綺麗な切り口で重ね合わせたらくっつくんじゃないかと思えるほどだ。
あれが剣聖かぁ……。僕の目指している場所ではないけど、心が震えちゃったよ。
道の周りは草原でとても見晴らしがいい。草原なのでたまに小動物を見かけることがある。こういう場所でも餌になる動物がいるため魔物に遭遇することもある。もっとも、見晴らしがいいもんだから近づいて来たら簡単にわかっちゃうんだけどね。
「終わったぞ。収納を頼む」
アレサが剣に付いたハーピーの血を軽く振って飛ばし、布で拭く。襲って来たのはハーピー8体なんだけど、僕は防壁で馬車を守っていただけ。リーネとサルヴァンは出番無し。当然アレーテさんもリオネッセさんも見ていただけだ。
つまりアレサが1人で片付けてしまったのだ。いやそれにしても凄かった。防壁を足場にして駆け上がりながら空中戦を繰り広げ、一刀のもとに斬り伏せていくアレサ。なんというか、カッコよかった!
「もうあの程度では相手にならないわね。いい動きだったわ。無駄も淀みもなく美しい動線。さすがは私の弟子ね」
「全ては師匠の教えの賜物でございます!」
アレーテさんがアレサに拍手を贈ると、アレサは畏まって頭を下げる。アレサのアレーテさんリスペクトは半端なく、その甲斐もあってアレサの上達ぶりは目覚しいものがあった。教えてまだ1ヶ月足らずだというのにこの上達ぶり。きっとどっちも凄いんだろうな。
それから30分ほど歩いただろうか。少し遠くに人型の何かが見えた。それはこちらに向かって歩いており、その数も10体くらいはいそうだ。
「なんだありゃ?」
「うーん、ここからだとわかりにくいな」
なんか虫っぽいけど立ってるしなぁ。人型の虫かぁ、なんかそんなのいたな。
「あれはクラックオンだな。蟻人間といったところか」
ああ、そうだ。確か図鑑で見たっけ。クラックオン。人型の蟻で5~20くらいの徒党を組んで目に付いた獲物を襲う肉食の魔物だ。確か甲殻に覆われていて硬いんだっけ。冷気に弱いからリーネの魔法で瞬殺出来ると思うけど。
「ちょうどいいわね。少し師匠らしいところを見せておこうかしら」
アレーテさんは馬車から降りると、自らに目隠しをし始めた。
「師匠がなさるのですか?」
「ええ。よく見ておきなさい。目ではなく空気を感じるの。今はまだ難しいと思うけど、これでもあなたが通るべき通過点に過ぎないのよ?」
「通過点……」
アレーテさんはすらりと剣を抜き、そのまま前へと歩き始める。少ししてその姿がしっかり分かるところまで近づくとアレーテさんが駆ける。
クラックオン達はそれに反応し、アレーテさん目掛けて走り出した。その動きには統率性があり、縦1列から左右交互にバラけて襲い掛かる。
「うわっ!」
その様子を見て心臓が跳ねた。チラリとアレサを見るが、その挙動を一瞬足りとも逃すまいと凝視しているようだ。マジで大丈夫なん?
と思ったけど杞憂だった。
クラックオンの連携の取れた攻撃をするりとかわし、1団をすり抜ける。最後の1匹をかわしたところで身体を反転させた。
そこからの動きが凄すぎた。
なんというか、剣を振っているのは間違いないんだけど、全く見えないんだよね。剣を振った瞬間身体を捻っているみたいだからそれで判断できるんだけど、振り抜いたと思った頃にはクラックオンは胴を、首をあるいは胸を切り裂かれて倒れていった。そして未だ襲い来るクラックオンの攻撃を軽々とかわしては剣で切り捨てていく。
「すごぉい! まるで踊っているみたい!」
リーネが目を輝かせて見ている。
アレサはゴクリと唾を呑み込んだ。
サルヴァンは目を見開いて固まっている。
そりゃそうだ。あの動きを目隠しをしてやってのけているんだもの。言葉も出ないよ。
「あれが剣の頂点……!」
アレサは身体を震わせ笑っていた。きっとアレサは感謝し、身震いしているんだと思う。自分が目指すべき到達点を見せてくれたことに感謝し、その頂きに立った自分を想像したのかもしれない。
そして戦いはあっさりと終わった。最後の一体はその首を跳ねられても腕を振り回していたが、やがて動かなくなって地面に倒れ伏したのだ。
そしてアレーテさんが目隠しを外す。御者の人が再び馬車を動かすと、僕は回収のために。アレサさんは出迎えるためにアレーテさんの方に走り出した。
「師匠! お見事でした!」
「ふふっ。いい? これは通過点よ。間違えてはダメ。もっと先に私はいるわ。追ってきなさい」
「はい、師匠!」
アレサがアレーテさんの言葉に感動している間に僕はクラックオンたちの遺体を回収する。どれも綺麗な切り口で重ね合わせたらくっつくんじゃないかと思えるほどだ。
あれが剣聖かぁ……。僕の目指している場所ではないけど、心が震えちゃったよ。
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