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ホテル改革ー和の部屋編

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疲労困憊だった…改装工事は順調に進み再開予定日まで3週間…。

執務室の机で頭を抱えて狼狽える…。

忘れていた訳ではないんです…言い訳させてください、お願いします!
次から次に頭の痛い問題が…睡眠時間削って頑張ったんですよ…はい…反省してます…はい…ごめんなさい…。

え~はい、他の部屋は内装に着手してますよね、報告上がってますのでもちろん知ってます。
久しぶりの大きな仕事で大工達が張り切って昼夜問わず工事した結果、予定より早く仕上がったそうですね、とても素晴らしいことです、はい…。

ソファーで涼しげな顔でコーヒーを飲んでいるアンバーからの嫌味の猛攻に私のライフは風前の灯火だ……。

「陛下、コーヒーが冷めますよ?」

「はっ、コーヒー!!!」 
がばっと頭をあげカップを手にする、日に日に飲む杯数が増えてる気がする…高級品なのに…。
コーヒーを口にして少し冷静になった時、
コンコンと扉を叩く硬い音がした。

アンバーがスッと立ち上がり扉を開けると、ぬーっと麻袋を持った白い手が扉の隙間から伸びてきて、袋を受け取ると静かにパタンと閉まった…。
こっ、こわっ!手だけとか心臓に悪いからやめてください、タウニーさん…。

「陛下これを」ソファーの前のテーブルに麻袋が置かれる。
コーヒーカップをもちソファーへと移動すると、アンバーが麻の巾着袋の紐を緩め、なかから15センチ四方ぐらいの鍋敷きみたいな物を取りだした。

(あ~、懐かしい匂いがする・・・)

差し出されたものは見まごうことなく畳だった…。

「これは・・・?」

「イグサを使った袋物やラグなどを制作する工房を見つけまして、作らせました」

「すっ、すごい・・・琉球畳そのものじゃない!」
「りゅうきゅう?」
「そこは拾わなくいいから!」

「・・・今からだとオープンに間に合わないわね・・・でも、ありがとう!とってもうれしいわ!」

「間に合いますよ?」

「えっ?間に合う?だってこの5倍以上大きい物をまずは9枚必要なのよ?それ以外にも色々・・・」

「えぇ、ですから間に合うように工房押さえてありますからご心配なく」

「は~ぁ!?工房押さえてある?」
 
「はい、陛下がご了承いただければ、すぐにでも量産できるようになっていますので」

「あっ、それと家具と小間物も必要かと思いそちらも職人の手配はすんでおります。」

この人ヤバいわ、最近有能過ぎてちょっと怖い……。

でも、これでどうにか間にあう…私のわがままでねじ込んだ和の部屋なのに…感謝しかない。
「ありがとう・・・」

「陛下、これは貸しですよ」僅かに首を傾げにっこり微笑む…。

あざとかわいい!!!
すみません!!この借り、返せる気がしません…。

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『土壇場で交代は困ります』のおまけを一話明日投稿します。そちらも合わせて読んでいただけると嬉しいです。





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