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はて、なんでバレたんでしょう?-2

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護衛と侍女が退室したのを確認し、アンバーは口を開いた。

「陛下?療養中に何かございましたか?


「なっ、なにも、なにもなくてよ…」

アンバーはおもむろに立ち上がりテーブルを回り私の隣に座った。
その間一度も目線をはずさずに。

「ヴェルデ?」
ちっ、近い!!
子供の頃はそう呼ばれていたが、即位後に呼ばれたことは一度もない。
 
「僕に話すことない?」
なに突然砕けた口調!?
やめて~~、そんな色気ダダ漏れの低音ボイスで耳元で囁くのは~!!

「なっ、ないけど?」

「そうかな~?」

「えっ?」

「今まで執務中、僕の話しなんて興味なさそうだったよね?」

「そっ、そう?
失礼じゃない、政務なのよ、興味のない話しなんてないわ」

「確かに政務はこなしていたかもね、
でも、心ここに在らずって感じ、全てに興味なかったよね?」

・・・

「そっ、そんなことはないわ!」

「ベリルが踊り子とこの城をさったあの日から・・・」

「・・・」

「そして国内貴族どもの圧力に負けモルガナイトを王配に迎えた後も・・・」

「・・・」

「君は淡々と政務をこなした、感情のない人形のようにね」

「っぐ・・・」

「そう、君の目はいつも深い悲しみに満ちていた」

「そしてモルガナイトを亡くしてあんなに悲嘆に暮れ、倒れた君が3日間でまるで別人のようだ!」

あっ、やべ~!マジそれ忘れてた!!
そうそう、わたくし、夫を亡くしてまだ6日の未亡人でした!!
それが月に1回しか会わない夫であってもね!!
これは自分でもちょっとひくな~ 

「その~それは、時間もあったので過去の自分(前世)と向き合うっていうか~、これじゃいけないな~とか反省したりして・・・」ごにょごにょ・・・。

「別に君を責めている訳じゃいよ、ヴェルデ、今の色のある眼差しの君を好ましく思うよ?」アンバーは優しく微笑んだ。

「話を戻すけど、で、君は誰?」部屋に差し込む陽の光で金色に輝く目を細めてニッコリ笑う。

ぎょえぇぇぇーーー、怖い!!
アンバーさん、区分「人」ですよね?
背中に黒い羽根とか、夜になると人外に変身するとかないですよね??

ギギギと古いブリキ人形の様に彼から顔を背けるが、ぐっと肩を抱いて引き寄せ、下から顔を覗き込まれる…。

はい、むり~、むっりでーす!
こいつに隠し事は無理だー!!

話しましたよ、洗いざらい!!

さすがに最初は驚いていた様子だったけど、前世のはなしを聞く彼は少年の様に目がキッラキラ!!

全部話し終えて、冷めた紅茶をいっきに飲み干した。

アンバーの反応を待っていると一瞬の間のあと、「ぶっ、ぶはっ!」
何が面白いんだか彼は堪えきれずに吹き出した。
「ヴェルデ、最高だよ!!」

アンニュイ男が目に涙を溜めて腹を抱えて笑ってる・・・。
やめろ、そのギャップに萌える!!
計算か?!
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