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さん
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自室のふかふかベッドに頭から突っ込み倒れ込んだ。
疲れた……解放され公爵邸に戻ったのは翌日の午後だった。
ほぼ24時間王城に軟禁され、精神的疲労がピークで脳が考えることを拒否している。
詰んだ・・・誰だよ、人生イージーモードとか言ってたの・・・自分だよ・・・あ゛~詰んだ。
どこにフラグが立っていた?まったく思い当たる節がないのだけれど・・・。
ゴロンと仰向けになりクッションを抱えて昨日の事を振り返る・・・
ガーデンから近衛騎士に抱えられ連れて行かれた応接室は王族の皆様のプライベートエリアだった。
ソファーにぽすっと下されたが、コアラ王子はひしっと抱きついたままだ。
「殿下、そろそろ離してはいただけませんか?」
「・・・」
「殿下?」
「ジュリアン」
「えっ?」
「ジュリアン」
「あっ、はいジュリアンさま?」
「うん」
「お話しもできませんので、離していただけると・・・」
「・・・やだ・・・」
後から入室された王妃様が背面からコアラ王子の両脇に手を差し込み引き離そうとすると、ぎゅっと二の腕を掴まれた。
コアラ王子改めスッポン王子だ…。
「い゛、っ、痛い」
マジ痛い、そんなふくふくのちっさい手なのにどんだけ力あるの!?
「っ!」
ジュリアン殿下は焦った表情でパッと手を離した。
「「・・・・・・」」
ジュリアン殿下はじっーっと、何かを探るように私の顔を見つめる。
藍色の瞳が懐かしいものを愛おしむように私に釘付けだ・・・。
その視線を痛いほど感じ頬が熱い、絶対赤くなってる・・・はずいっす。
もう一度言おう、私はショタではない!
今、7歳なのでショタという表現もどうかと思うが前世合わせてアラフォーなのだ…。
とにかく男性の免疫と耐性がほぼない…。
普段、お父様と執事と庭師と料理人と神父様ぐらいしか男性と接することがないのだ、その平均年齢は35歳超・・・。
5歳とはいえこんなキラッキラ王子に見つめられ、穏やかにいられるわけがない!
第一王子のアルベルト様が金髪碧眼、太陽だとするとジュリアン王子は銀髪に藍色の眼、月のように麗しい。
ジュリアン殿下はふわりとソファーから立ち上がり座る私の正面に立ちゆっくり跪くと、そっとその小さな手で私の両手を握った。
「リザ・デュボア公爵令嬢、どうか僕の婚約者になっていただけませんか?ずっと僕の側にいてほしい……(もういなくなったりしないで…)」
へっ?えぇぇぇっ?婚約者?最後は声が小さくて聞き取れなかったけど、確かに婚約者になってって言いましたよね?
驚きのあまり言葉が出ず固まっていると、手の甲にチュッと口付けされ思わず息を呑む。
一瞬の静寂・・・それを破ったのは王妃様だった。
「まぁ!素敵!」
少女のように胸の前で小さく拍手をしている・・・。
お母様も驚いていたが、すぐに王妃様と嬉しそうにひそひそ話しをはじめた。
おでこに「迷惑」って文字が見えますよ、お父様・・・眉をしかめて不機嫌そうです。
さて、なんて答えるのが正解なのかな?
お父様に助けを求め見上げると、ふうとため息をつき首を横に2回振られた。
そうですよね~王家からの申し入れ、断ることはできませんよね・・・。
「わたくしでよろしければ」
不安げに見上げている殿下にそう答えると、
蕩けるような甘い笑顔でまたぎゅっと抱きしめられた。
その後お父様は陛下に呼びだされ退室、お母様と二人客室に通されそのまま王城に一泊することになった。
お父様が戻ってきたのは深夜だったらしい。
7歳児は夢の中です。
お父様と陛下は従兄弟で同級生、陛下からすると気兼ねなく付き合える数少ない友人ポジだ。
諸々の手続きの後、私室に招かれたお父様は、腹いせに陛下のコレクションボードから高いお酒の封を次々と切ってやったとか・・・。
しかし陛下は、うはうはなのである。
王国は一夫一妻、側室制度はないが公妾制度はある。現王は王妃様にベタ惚れなので公妾はもちろんいない。
男児二人なので国外には婿にはだせない、次男は長男のスペアなのだ・・・。
高位貴族で歳の合う令嬢の最高位は侯爵家、
公爵家は2家あるが、令嬢は私だけだ。
お父様は王家との婚姻に反対だったので、私は婚約者候補にも入っていなかった。
だから、まさか第二王子が会ったその日にプロポーズ、その相手が先王の妹の孫ときたもんだ・・・王様してやったりである。
しかし、我が家と王家の縁がこれ以上強固になると国のパワーバランスまずいのでは?
自分の人生より国の行く末を憂う7歳児ってどうなんだ・・・。
そんなことより眠りたい、後のことは起きたら考よう・・・。
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次話、やっとキラキラネームの理由 ٩( 'ω' )و
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