オカン気質の公爵令嬢〜転生しても代わり映えしません!

himahima

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リザ・デュボア、転生したらリシャール王国筆頭公爵家の一人娘だった。
もちろん地球にそんな国は存在しない、所謂異世界転生だ。

前世、日本の下町で生まれ育った平凡な私が、何故こんな大それた転生をしたのかは謎だ。

物心ついたときからゆっくりと前世をおもいだした。
木から落ちたとか、池にはまってとか、突然思い出すテンプレなシチュエーションは残念ながらなかった。  

現世のお母様は身体が弱く、子供は私一人しか産めなかったが、お父様が異母妹を市井から連れてくるとか、後継の為に遠縁の男児を養子にするとか、お約束設定もま~ったくなく、恵まれた環境ですくすくと成長した。

お母様もすっかり元気になり、結婚20年、少女のように可愛い妻にお父様はメロメロだ。

成長とともに今世と前世がうまく混ざり合い大きな混乱もすっかり今世に馴染んでいった。

前世オタク傾向だった私は、転生先が魔法がある世界と知って心の中で小躍りした。

王家に連なる名家に生まれ、プラチナブロンドに真っ白な肌、耀く翡翠色の目、当代一の魔法の素質、人生イージーモード!! 

前世苦労したからご褒美かな?と内心ほそく笑んだことは許してほしい。

しかし、貴族社会で一つだけ避けては通れない問題、それは政略結婚だ。

ところが、我が公爵家はこれ以上権力を拡大する必要なし、この国は女性も爵位を継げる

もう、どうしてこの世界は私にこんなに甘いのかしらと不思議に思ったりした。

前世独身で生涯を閉じた私に、結婚は未知との遭遇だが、伯爵家の次男あたりを婿にとりのんびり領地経営…などと、特大の餅を描いた絵を掲げていたが…ある日その絵は特大シュレッダーでマイクロカットされてしまった……。


それは7歳の春、リシャール王国第二王子殿下の5歳のお誕生日を祝うお茶会で起こった。

王妃様の横には小柄な第二王子ジュリアン殿下がちょこんと座っていた。
筆頭公爵家である我が家族は最初に挨拶に伺う。
お父様がご挨拶とお祝いの言葉を述べてる後でお母様と私は視線を落として静かに佇んでいた。
そのまた後ろに子どもを連れた貴族夫妻が列を成す。

そしてその子供は女児、女児、女児…怖っ!

そう、ジュリアン殿下にはまだ婚約者がいなかった。

4歳年上の第一王子である、アルベルト殿下には生まれた時から隣国の王女という政治的にも地位的にも国内貴族令嬢では太刀打ちできない婚約者がいたのだ。

そのため5年前、王妃さまの第二子ご懐妊の号外が空を舞う頃、野心ある貴族達は子作りに勤しんだ。

そして一年後、建国以来初のベビーラッシュを迎えジュリアン殿下の婚約者候補が量産されたのだった。

2歳年上だし、ショタでもない、王子妃の地位などにミクロヒメカメレオン程も興味のない私はカーテシーのみでその場を去ろうとした。

その瞬間、つまらなそうにガーデンチェアの四隅をむしっていたジュリアン殿下がくわっと両目を見開き、いままでの緩慢な動きから想像もできないスピードで駆け寄ってきた。

「ぐえっ」

そのスピードを落とすことなくむぎゅっと抱きしめられ変な声がでた。
ほぼタックルである。

まだ私より10センチは小さい殿下は私の胸に顔を埋めて微動だにしない。

べつにつるペタなんで気にしませんが、すんすんと匂い嗅がれてるんですが…これどうにかなりませんか?

あせった王妃様が引き離しにかかるが、普段表情が乏しく、感情もあらわにしないと噂の王子殿下がうーうーと大きな声で必死の抵抗、諦めた王妃様は後ろに控えていた、近衛と侍従に指示をだす。

お茶会どころではなくなり、そのままコアラ王子ごと近衛騎士に抱えられ宮殿の応接室へ移動することになった。

移動中コアラ王子ことジュリアン殿下は母親に抱かれる子供のような柔和な顔で私の顔を見つめていた。








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