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無職46日目− 3

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 おばさんは風をきって走る、いや走っているのはおばさんではなく自転車だが。
 季節は初夏、空が高い。買い物かごもキャリーバックもメッシュなので風を感じる。今日は湿度も低く吹く風も爽やかだ。
 自宅から15分、大きな橋のたもとにそれはあった。目測で縦2.5m、横3mの盛り上がった土、海外のシロアリの巣のような形状の土手ダンジョン。
 規制テープもなければ、訪れる人もいないダンジョンは、風景と同化しひっそりと佇んでいる。
 おばさんは、手前のサイクリングロードの端に自転車を止め、キャリーバックから俺を出し抱え、砂地を歩く。

「ふ~ん、これがダンジョンの入り口か・・・」
 おばさんは入り口手前で止まり薄暗い内部をしげしげ見る。

「ちょっとだけ入ってみようか~?」
「な~」
 おばさんは俺を抱えたままダンジョン内に立ち入った。
  
「ひんやりしてんだね、今日はライトがないから陽が入るとこまでね」
 おばさんは躊躇なくずんずんと進んでいったが、10mも進むと先は真っ暗だった。
「ほんとに何にも出ないね、今日はここまでか~、ミーちゃん戻ろ!」 

 戻ろうとしたその時、ずー、ずりずーずり
 暗闇の中、何かが這いずる音を捉えた俺は、抱きかかえられた腕から身をよじらせ地面に降りた。 
「ミーちゃん?!」 
 俺が胸元を蹴ったのでおばさんは後ろに数歩たたらを踏んだ。
  
「うぅぅーうぅぅ、シャーーッ!!」
 俺は低い唸り声をあげ対象を威嚇したが、それは止まることなく、ゆっくりこちらに近づいてくる。
  
(見えた!あれはスライム?!)輪郭のはっきりしない黒い陽炎のようなスライムを視覚にとらえた。
 俺は黒いスライムに向け低い姿勢からジャンプし左前脚で抑え込み、右前脚の爪で切り裂いた。
  
 ビチャッ!
 しまった!千切れたスライムの半身が左後方へとんでいき壁にあたりちょうどおばさんの前あたりに落ちた。

 黒いコールタールのようになった半身はそれでもずりずりとおばさんに近づいていく。

 (みずき!!)

 俺は脚の下のスライムの半身を数回切り裂き、おばさんの元に戻ろうと・・・したが。

「なにこれ?キモっ!!」おばさんは厚底スニカーでばすっと踏んづけた。
「うげっ!まだ動く!!キモっ!!」おばさんは右足で容赦なく4-5回踏みつけたあと、とどめにかかとでぐりぐりと地面にこすりつけた。

「えっ?」
 動かなくなったスライムは黒い煙のあと消え、後には小さい輝石のようなものが残されたのだった。

→→→→→→
おばさんの名前がやっとでました!
みずきです。
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