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第四集
狛犬の式神▽
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紫苑「狛犬…あ・・居た。」
<人間?!ナンデ人間ガ…>
あれから約30分。輝樹の林に到着した紫苑は、狛犬はどこかと探していたが、件の狛犬は思いの外はやく見つかった。
紫苑「怖がらないで。」
紫苑は、優しい声色でそう言うと、一歩一歩狛犬に近づいた。しかし.....
<近くな!人間ナンカ嫌いだ!散々神様に頼ったクセニ!神様の事を忘れて…!>
狛犬から返ってきたのは、明らかな拒絶で。紫苑はそれ以上、狛犬に近くのを躊躇ってしまった。
紫苑(・・・まずい....暴走寸前だわ....!)
しかし、一瞬躊躇ったが、紫苑はそれでも諦めなかった。
狛犬は、なおも近づいてくる紫苑に攻撃をしてきたが、紫苑は自身のからだ全体に防御用の結界を張り巡らせていたため、無傷である。そして....
遂に紫苑が、狛犬の目の前まで到着した。
〈何なの?君って馬鹿なの?そんなに早く死にたいなら、今すぐ殺してあげ.....〉
狛犬は呆れた表情で紫苑を見据えた。そして、再び口を開いたが....
きゅっ
〈な、何だよ、いきなり....〉
その言葉を言い終えるよりも、紫苑が行動を起こす方がはやかったようだ。紫苑は狛犬の首に手を回し、その身を抱きしめた。
紫苑「あなたがこんな風になってしまったのは、私達人間のせいだわ。ごめんなさい。でもね、私は、これ以上あなたに苦しんでほしくないの。」
〈.....僕は人間が嫌いなんだよ、それなのに、今日初めて会った人間を信用しろっていうの?〉
紫苑「そうね、それは無理な話かもしれない。でもね、このままじゃあ、あなたは私達に祓われて死んでしまうわ。死んでしまったら何も出来ないのよ。」
〈....死んでしまったら何も出来ない。か。確かにそうだね。わかった。ひとまず君について行ってみるよ。けど、勘違いしないでよね。人間の事、完全に認めたわけじゃないから。君の式神になるつもりもない。〉
ーーこうして、狛犬は紫苑について来たのだ。そして、紫苑と過ごす内に狛犬は徐々に紫苑の人柄を認め、自ら式神契約をしたいと言うようになった。
「君の式神にしてくれないかな」
紫苑「え、どうしたの。」
「君みたいな人間なら、信じても良いかな。って思ったんだ。だめ?」
紫苑「ダメじゃないわ。むしろ、式神が増えるのは心強いもの。私が名前を付けてもいいのかしら」
「いいよ。」
紫苑「そうねぇ、あなたのいた林には、確か藺草が生えていたわ。じゃあ....あなたの名前は、藺折。藺折なんてどうかな?」
「いおり...いい名前だね。ありがとう。」
<人間?!ナンデ人間ガ…>
あれから約30分。輝樹の林に到着した紫苑は、狛犬はどこかと探していたが、件の狛犬は思いの外はやく見つかった。
紫苑「怖がらないで。」
紫苑は、優しい声色でそう言うと、一歩一歩狛犬に近づいた。しかし.....
<近くな!人間ナンカ嫌いだ!散々神様に頼ったクセニ!神様の事を忘れて…!>
狛犬から返ってきたのは、明らかな拒絶で。紫苑はそれ以上、狛犬に近くのを躊躇ってしまった。
紫苑(・・・まずい....暴走寸前だわ....!)
しかし、一瞬躊躇ったが、紫苑はそれでも諦めなかった。
狛犬は、なおも近づいてくる紫苑に攻撃をしてきたが、紫苑は自身のからだ全体に防御用の結界を張り巡らせていたため、無傷である。そして....
遂に紫苑が、狛犬の目の前まで到着した。
〈何なの?君って馬鹿なの?そんなに早く死にたいなら、今すぐ殺してあげ.....〉
狛犬は呆れた表情で紫苑を見据えた。そして、再び口を開いたが....
きゅっ
〈な、何だよ、いきなり....〉
その言葉を言い終えるよりも、紫苑が行動を起こす方がはやかったようだ。紫苑は狛犬の首に手を回し、その身を抱きしめた。
紫苑「あなたがこんな風になってしまったのは、私達人間のせいだわ。ごめんなさい。でもね、私は、これ以上あなたに苦しんでほしくないの。」
〈.....僕は人間が嫌いなんだよ、それなのに、今日初めて会った人間を信用しろっていうの?〉
紫苑「そうね、それは無理な話かもしれない。でもね、このままじゃあ、あなたは私達に祓われて死んでしまうわ。死んでしまったら何も出来ないのよ。」
〈....死んでしまったら何も出来ない。か。確かにそうだね。わかった。ひとまず君について行ってみるよ。けど、勘違いしないでよね。人間の事、完全に認めたわけじゃないから。君の式神になるつもりもない。〉
ーーこうして、狛犬は紫苑について来たのだ。そして、紫苑と過ごす内に狛犬は徐々に紫苑の人柄を認め、自ら式神契約をしたいと言うようになった。
「君の式神にしてくれないかな」
紫苑「え、どうしたの。」
「君みたいな人間なら、信じても良いかな。って思ったんだ。だめ?」
紫苑「ダメじゃないわ。むしろ、式神が増えるのは心強いもの。私が名前を付けてもいいのかしら」
「いいよ。」
紫苑「そうねぇ、あなたのいた林には、確か藺草が生えていたわ。じゃあ....あなたの名前は、藺折。藺折なんてどうかな?」
「いおり...いい名前だね。ありがとう。」
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