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*弐ー②

第四集:野望

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結界が壊され、先々代の安倍の宗家の姿が露になると、安倍の宗家は再び剣を召喚した。


  安倍の宗家は剣を畳に突き刺すと、先々代の宗家を取り囲むかのように符を貼っていく。よく見ると、その符は晴明桔梗の形になるように張り巡らされている。しかも、先々代の宗家は雷虎の雷に体が痺れているのか、身動きひとつとっていない。



 増輝「何をするつもりだ?...っ!」



安倍の先々代宗家は、符を貼り終えた直後から先程のまま動かなくなってしまった。


 
  増輝「剣を術の寄り代にしたのか。流石、歴代当主の中でも晴明公にならぶ実力を持つだけある。だか、甘いな。」


増輝「火気をもって金気を制す。火剋金。」




  でも、寄り代の符は先々代宗家が術によって出した火によって全て燃えてしまった。安倍の宗家は剣を抜き取ると、再び攻撃をし始めた。





  清秋「臨、兵、闘、者、皆、陣、列、在、前」



   霊力の強い者相手に闘い続けるのは、実に不利だ。そう思い、どうやって闘おうかと考えていると、唄うような滑らかな言霊が聞こえてきた。


歌が聞こえた方を見ると、手に剣を持った安倍の宗家が居た。安倍の宗家は、その剣を使って先々代の宗家を攻撃していく。しかし、それからしばらくして安倍の宗家はまた離戦してしまった。



安倍の宗家が離戦すると、私はすかさず闘いに加わった。




唯幸「式神招来。」



 唯幸「白虎。あの方を攻撃なさい。」 



 白虎[承知いたしました。]


なかなか攻撃が効かず、どうしたものかと思っていると、土御門の当主の声が聞こえてきた。




  正明「天壇招置。」


   正明「天壇を守護する四方の神,四神よ。我が名は土御門家十五代当主・土御門 正明也。四神獣よ。我にその御力、お貸しください。」




土御門の当主がそう呟くと、土御門の当主の背後に四神型の影が現れた。




    正明「神炎(しんえん)。」



そう呟いた直後。姿が変わった。黒い髪も瞳も、火のように赤かった。その姿はまるで...




   唯幸(今の土御門の当主は、人間じゃない...朱雀だ...)



朱雀そのもののようだった....






芦屋「式神招来。」




道摩法師の末裔が、式符に手を翳してそう呟く。すると、符の中から白い龍が現れた。



  芦屋「あいつを攻撃してくれ。」


 
   白龍[解りました。]



白き龍は、かまいたちを使って攻撃していくが、それも全て防がれてしまう。





  唯幸( このままでは、確実にやばいですね。だからといって闘い続けて疲れてきている安倍の一族に協力を仰ぐのは気が引ける...でも、あの芦屋の末裔の男を信用していいものかどうか...)






そうやって考えている間にも、あちらは次々と攻撃してくる。




  唯幸(考えている暇はないか...)




唯幸「霊力を併せて攻撃しましょうか。」



芦屋「そうだな。」




私と芦屋道満の末裔は、互いの式神の風気を併せて攻撃していく。が、それもまったく効く様子が無い。





   唯幸,芦屋「「臨、兵、闘、者、皆、陣、列、在、前」」





私は白虎の力を使い、安倍の先々代宗家を攻撃する。だがその攻撃はすぐに防がれてしまい、私は続けて攻撃をしていく。



土御門の当主は、朱雀を憑依させたまま攻撃をし続けた。さすがの安倍の先々代宗家もその攻撃はかわす事が出来ず、手に火傷を負っているようだ。




     清秋「十二将神招来。」


      清秋「不殺討敵,急急如律令。」





  先々代宗家はその攻撃を何とかかわしたが、再び急激に霊力を消耗してしまったようだ。が...また先程の符を破くと、それを飲み込み、霊力を回復させてしまった。








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