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*弐ー②

第四集:野望

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*康名視点*



 突然表れたその場を支配する重苦しくい空気に、話室に居た全員の表情が険しく張り詰めた顔に変わる。



この霊力の気も、威圧感も嫌という程身に覚えがあった。この気は....



  清秋「祖父さん...」



....清秋と紫苑の祖父。....俺の父親である本家先々代当主のものだ。




康名(あの人が先々代宗家の権限を取り戻そうとしていたのは知っていた。だけどまさか...こんな白昼堂々と攻めて来るとは。)





伝説の魔物達を引き連れたあの人は、不敵な笑みを浮かべている。その様はとても不気味だ。




 清秋「話会の様子を見に来ただけにしては、随分と物々しいな。」




清秋がすかさず刀印を組むと、俺も含めた全員が一斉に刀印を組む。そして清秋は、桔梗結界の強度を強め戦闘を開始した。


 増輝「まさか、一人ひとりかかってくるつもりか。面倒な...」 



 そう言うと、父さんは伝説の妖怪のうちのひとり,金毛白面九尾を飛ばして来た。俺・清秋・紫苑ちゃん・癒良君・光留・土御門の現当主の6人は瞬時に結界を張ったから何とも無かったが、他は全員倒れていた。 




 九尾「 ほう。流石、あの者達は霊力が強いだけある。妾の気に当てられた様子が全く無いのう。じゃが...折角精気を吸うのならばやはり、若く美しい男の精気を吸いたいものじゃ。そう、例えば...本家の現当主や土御門の現当主のような者が妾の好みじゃ。」
 


  正明「貴女が普通に美しい人間の女性ならば、その誘いに乗ってもいいんですがね。いくら美しい女性でも、陰陽師の末裔として妖狐の誘いに乗るわけにはいきません。だから....その誘いはお断りします。」



 正明「臨、兵、闘、者、皆、陣、列、在、前」 



土御門の当主は、刀印を組み直すと九字を使い九尾を攻撃した。が、その攻撃は、九尾の持つ扇によって防がれてしまう。




 九尾「妾がただ、千年間封印されていただけじゃと思うなよ?千年もの間、暗い封印場所の中でひたすらに主らに対する怨みと憎しみを燃やし力を溜めていたのじゃ!その恨みと憎しみを力に変えてな!」



 正明「我々...陰陽師,特に安倍の直系に対する怨みと憎しみですか。随分と筋違いな思いですね。貴女が僕達の先祖に封印されたのは、貴女が散々好き勝手やった報いでしょう。」 



  それを聞いた九尾は、怒りの形相を浮かべて巨大な狐火で土御門の当主を攻撃した。が。




    九尾「なっ...」

   (わ、妾の狐火が効いていないじゃと?!)



土御門の当主が青龍符を使いその炎を消した為、攻撃は効いていなかった。



 正明「いくら大妖怪とはいえ、神の水に妖の焔が効くはずないでしょう?」


   九尾「な、何故じゃ?!お前は人間!しかも、伝説通りに先祖が白狐の血を引いているわけでもあるまいに!何故!何故 人間が言霊も唱えずに青龍の力を使うことができるのじゃ!」



  正明「何故?貴女は自分で言ったじゃないですか。僕達の霊力が強いのだと。ある程度霊力が強ければ、言霊を使わなくとも神の御力を使うことだって出来るんですよ。」

 
 土御門の当主は、新たな符を取り出し、こう呟いた。
 

  正明「 御敵の名、金毛白面九尾,玉藻前と申す。御敵の名、金毛白面九尾,玉藻前と申す。 我の意のままに、これを拘束せよ。」



紫苑「ふ、札に命じた...?じゃあ、あれは拘束符じゃなくて式なの...?」


  正明「そうですよ。これは、僕が何も書かれていなかった符に霊力を籠め,桔梗紋を描き入れて作った創造式です。」

      


 正明「さて。お遊びの時間はそろそろ終わりにしましょうか。」





正明「臨、兵、闘、者、皆、陣、列、在、前...滅。」


 九尾「ぎゃあぁあぁ!」




九尾は、土御門の当主の九字が止めとなり、完全に滅せられた。
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