陰陽ノ花〜現代陰陽師奇譚〜

＊弐ー②

第一集 紫苑視点

紫苑「母さん。あのね、相談したい事があるの。」


   ある日。この日、家に居た紫苑は、両親の部屋を訪ねた。父である当主は、仕事の為本家に行っており、部屋には居なかった。



「どうしたの?相談なんて久しぶりだわ。上手く答えられるかしら。」



そう言うと、母は紫苑の目を真っ直ぐに見据えた。
紫苑は、自分の最近の感情について母に全てを話した。




「なるほど...紫苑、貴女の感情の正体がわかったわ。」



そう言って、母はにっこりと微笑んだ。


「それは、“恋“よ。」


紫苑「恋...?」


「そうよ。つまりね、紫苑はその相手の事が好きなのよ。おめでとう。紫苑。貴女にもそんな相手が出来たのね。」

「相手は一族内の人?」


紫苑「う、うん。」


（なら、相手は清秋か癒良君かしら？）


「良かったじゃない!それなら、その相手と結婚も出来るわね。」


紫苑「け、結婚...？！」

「好きな人と結婚できるなんて、この一族では稀よ。でも、母さんも父さんも紫苑には幸せになってもらいたいの。好きな人と結ばれるなんて最高に幸せじゃない。」