陰陽ノ花〜現代陰陽師奇譚〜

第四集 弐ノ巻

東京分家初代当主

＊癒良視点



(体が勝手に動く。ここは、どこや？)



　ある日の真夜中。癒良は自分の車に乗り高速に乗ってある場所にいた。...ある場所とは、東京分家である。結界が張ってあるが、癒良は傍系家系とはいえ、安倍･土御門一族の人間なので、簡単に中に入る事が出来た。癒良は裏門を使い、東京分家の中にある墓の前まで歩く。
墓の前に着くと、癒良の意思とは関係なく、手は刀印を組み、口は勝手に動く。


　しばらくすると、何かが地面に落ちる音がした。...そこには、安倍　佳月の墓に貼ってあった大量の札が落ちていた。



かづき【やっと外に出られた。...外界を見るのは何百年ぶりか。感謝するぞ。大阪分家の当主よ。お前の役目は終わった。もう帰るとよい。】




かづきが刀印を組み呪文を唱えると、癒良はふらふらと自分の車へと戻っていった。