陰陽ノ花〜現代陰陽師奇譚〜

第一集 弐ノ巻

＊甘い夢の中で微睡む

紫苑視点



  呪文を唱えてはじめに感じたのは、自分の体から徐々に魂が抜け落ちて行く感覚だった。


それから一度、完全に意識が途絶えて、また目覚める感覚を感じた。



  その意識の中で、私の体は、段々水底に沈んで行くかのような。そんな感覚を感じた。



そして、どのくらいそんな感覚が続いたのか。


分からないけど、感覚では長い間夢の中を彷徨っていた気がする。



  そして、ようやく地に体が着く感覚を感じた私は、辺りを見渡した。




   紫苑（ここは....癒良の家....?）


  私は、自分の家以外だと本家と大阪分家...癒良の家には何回か来てる。


  紫苑（もしこの夢の世界の中でも家の構造がまったく一緒なら、癒良の居場所も見つけ易いわね。）



そう思った紫苑は、癒良を探す為、廊下を駆けて行った。