上 下
116 / 408
第一集 壱ノ巻

*芦屋の末裔

しおりを挟む
紫苑「ありがとう。清秋兄ちゃん。」


   あの後、紫苑は清秋に連れられて、先程正明と話していた廊下とは反対側の廊下の縁側に座っていた。


  
  清秋「いや。礼はいらないよ。それより、苦手な相手と話して疲れただろ。菓子とお茶を持って来る。」


  紫苑「え。そんな!悪いよ。清秋兄ちゃんだってさ、闘いの後に芦屋を牢に入れて、牢の術の強化してその後すぐに話会の司会したんだし。私より清秋兄ちゃんの方が疲れてるでしょ?」


清秋「別に大丈夫だ。」


   紫苑「大丈夫じゃないってば!私は、勿論従妹として心配もしてるけど、芦屋の事がある今、本家の当主が倒れでもしたらどうするのよ」


  清秋「それを言うなら、お前だって直系唯一の”姫”、それも強い霊力を持っている上に本家の血を直接引く人間だぞ。お前が体調を崩したって困るだろ。」



紫苑「た、確かにそうだけど。じゃあどうすれば...」


   現在、本家の使用人達は皆、話会後の宴会の準備や夕食の準備で動き回っており、誰も手の空いている者はいなかった。
だが、正直いって、紫苑も清秋も菓子を食べながら一休みしたいと思っていたのも事実だ。
だが、2人は忙しなく働く使用人にそれを言うのは悪いと思っていたのだ。



   清秋「なら、こうゆう時こそ創造式を使えばいい。丁度、今ならここには俺と紫苑以外は居ないからな。」


紫苑「そっか!その手があったわね。」


  .....こういった事は、陰陽師ならば誰もがすぐに思いつくのだが、疲れたふたりはすぐにその結論に達する事が出来なかったのだ。
   


   紫苑と清秋は、狩衣の袖の中から1枚の何もかかれていない符を取り出した。そして、そこに人型の式神創造の術言をかくと、その符を床に置いて呪文を唱えた。すると....


30秒ほどで使用人の服を着た男女の人型式が出来、その式は主に命じられるがまま台所へと向かった。





1分ほどして、式達が戻ってきた。式の手には、茶と和菓子の入っている皿を乗せたお盆があった。


   紫苑「ありがとう。」


  紫苑がそう言うと、紫苑の式はスッと消え、元の札に戻った。一方、清秋の式は、清秋が息を吹きかけると姿が消え、紫苑の式と同様に元の札に戻った。


   紫苑と清秋は、自分好みの温度に保たれた茶で喉を潤すと、和菓子に手を伸ばした。
紫苑の菓子も清秋の菓子も、季節の花をかたどった美しい菓子だ。そして紫苑は、持っていた自身のスマートフォンで菓子を撮影すると、口に菓子を入れた。(清秋はそのまま菓子を食べた。)




紫苑「おいしーー!(о´∀`о)幸せ!」


   その和菓子は、紫苑好みの甘さの菓子だった。そして、清秋の食べた菓子も、清秋好みの味だったようで、清秋は黙々と和菓子を食べ続けていた。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【R18】幼馴染の男3人にノリで乳首当てゲームされて思わず感じてしまい、次々と告白されて予想外の展開に…【短縮版】

うすい
恋愛
【ストーリー】 幼馴染の男3人と久しぶりに飲みに集まったななか。自分だけ異性であることを意識しないくらい仲がよく、久しぶりに4人で集まれたことを嬉しく思っていた。 そんな中、幼馴染のうちの1人が乳首当てゲームにハマっていると言い出し、ななか以外の3人が実際にゲームをして盛り上がる。 3人のやり取りを微笑ましく眺めるななかだったが、自分も参加させられ、思わず感じてしまい―――。 さらにその後、幼馴染たちから次々と衝撃の事実を伝えられ、事態は思わぬ方向に発展していく。 【登場人物】 ・ななか 広告マーケターとして働く新社会人。純粋で素直だが流されやすい。大学時代に一度だけ彼氏がいたが、身体の相性が微妙で別れた。 ・かつや 不動産の営業マンとして働く新社会人。社交的な性格で男女問わず友達が多い。ななかと同じ大学出身。 ・よしひこ 飲食店経営者。クールで口数が少ない。頭も顔も要領もいいため学生時代はモテた。短期留学経験者。 ・しんじ 工場勤務の社会人。控えめな性格だがしっかり者。みんなよりも社会人歴が長い。最近同棲中の彼女と別れた。 【注意】 ※一度全作品を削除されてしまったため、本番シーンはカットしての投稿となります。 そのため読みにくい点や把握しにくい点が多いかと思いますがご了承ください。 フルバージョンはpixivやFantiaで配信させていただいております。 ※男数人で女を取り合うなど、くっさい乙女ゲーム感満載です。 ※フィクションとしてお楽しみいただきますようお願い申し上げます。

【R18】騎士たちの監視対象になりました

ぴぃ
恋愛
異世界トリップしたヒロインが騎士や執事や貴族に愛されるお話。 *R18は告知無しです。 *複数プレイ有り。 *逆ハー *倫理感緩めです。 *作者の都合の良いように作っています。

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

【R18】もう一度セックスに溺れて

ちゅー
恋愛
-------------------------------------- 「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」 過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。 -------------------------------------- 結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。

【R18】散らされて

月島れいわ
恋愛
風邪を引いて寝ていた夜。 いきなり黒い袋を頭に被せられ四肢を拘束された。 抵抗する間もなく躰を開かされた鞠花。 絶望の果てに待っていたのは更なる絶望だった……

最愛の番~300年後の未来は一妻多夫の逆ハーレム!!? イケメン旦那様たちに溺愛されまくる~

ちえり
恋愛
幼い頃から可愛い幼馴染と比較されてきて、自分に自信がない高坂 栞(コウサカシオリ)17歳。 ある日、学校帰りに事故に巻き込まれ目が覚めると300年後の時が経ち、女性だけ死に至る病の流行や、年々女子の出生率の低下で女は2割ほどしか存在しない世界になっていた。 一妻多夫が認められ、女性はフェロモンだして男性を虜にするのだが、栞のフェロモンは世の男性を虜にできるほどの力を持つ『α+』(アルファプラス)に認定されてイケメン達が栞に番を結んでもらおうと近寄ってくる。 目が覚めたばかりなのに、旦那候補が5人もいて初めて会うのに溺愛されまくる。さらに、自分と番になりたい男性がまだまだいっぱいいるの!!? 「恋愛経験0の私にはイケメンに愛されるなんてハードすぎるよ~」

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

エロ・ファンタジー

フルーツパフェ
大衆娯楽
 物事は上手くいかない。  それは異世界でも同じこと。  夢と好奇心に溢れる異世界の少女達は、恥辱に塗れた現実を味わうことになる。

処理中です...