陰陽ノ花〜現代陰陽師奇譚〜

第一集 壱ノ巻

芦屋の末裔

　芦屋｢橋姫演舞。｣


芦屋がそう言うと、橋姫が舞い、橋姫の手から水が出現した。さらに、それを弾丸の様にすると、紫苑達を攻撃した。
しかし、紫苑達も術を使い慣れているという点では、芦屋と同じ。紫苑，清秋，癒良の3人は、霊力を合わせて橋姫の攻撃を防いだ。


    芦屋｢氷雨。｣


次に芦屋は、堅く鋭い氷の矢を雨にして紫苑達を攻撃してきた。


   紫苑｢急急如律令！水蘭！氷雨をあっちに反しなさい！｣


そして、紫苑が式神にそう命じると、氷雨が芦屋に反され、芦屋に当たった…かと思うとそうではなかった。 


   芦屋｢焔炎解氷。｣


芦屋が、先ほどの紫苑達の術をコピーし、焔と炎の合わせ技で氷をとかしたのだ。

   
    清秋「急急如律令。雷虎、雷であいつを攻撃しろ。」


清秋は、自身の式である雷虎にそう命じると、雷虎が芦屋に向かって雷を落とした。だが。


   芦屋「中々いい雷だったよ。だが、これくらいじゃ俺にダメージは与えられない。」


芦屋は、それを身固めの術によって素早く防いだ。元々霊力が強い上に、紫苑の霊力の一部を取り込んだ芦屋は、かなり強い。



   紫苑，清秋，癒良（（（芦屋からもう１つ、芦屋の霊力以外の強い霊力を感じる。もしかして芦屋は...）））



ーー芦屋  道満の霊を憑依させているのか。



3人は、そう思い、再び芦屋を見る。すると。



   紫苑，清秋，癒良（（（芦屋の息が乱れてる....）））


そう。息が荒く、疲れているのは、紫苑達だけではなかった。
それもその筈。芦屋は闘い続けているだけでなく、自身の先祖とはいえ強力な霊を憑依させているのだ。体に負担がかからない筈がない。憑依させているのが自身の先祖霊でなくば、とっくに倒れていてもおかしくはない。



   癒良｢急急如律令！川姫！｣



それに気付いた癒良は、直ぐ様自身の式・川姫に命じた。




　癒良が命じると、川姫は芦屋に寄っていく。そして、芦屋に口づけをした。 


芦屋｢なっ…玄…武…うっ｣


　そのまま芦屋は倒れた。川姫が芦屋の精力を吸ったのだ。闘って体力を消耗していた芦屋には、一たまりもなかった。芦屋は川姫の力を玄武に吸わせようとしたのだが、間に合わなかった。