トウキデン

一、

「桃香ちゃーんっ！」


ぎゅっ



支度を終えた桃香が学校に向かおうとしていると，突然、桃香が桃香の後ろから走ってきた少年に抱き着かれた。



桃香「.....権斗（けんと）、いつも言ってるでしょ。いきなり抱き着かないで頂戴。」


「えぇー、いいじゃん。少しくらい。ああ、桃香ちゃんの髪、良い香り。」


桃香「匂いを嗅がないで頂戴！この変態っ」


しばらくすると、権斗と呼ばれた少年は、しぶしぶ桃香から離れた。しかし.....



「桃香ー！」


ぎゅっ



桃香は、またも後ろから走ってきた少年に抱き着かれた。




桃香「ちょっと真（しん）！本当にもうっ！毎日毎日いい加減にして頂戴！」




「おはよ。桃香さん。」


桃香「おはよう。それより陽っ！早く真をどかして頂戴！」



「はいはい。分かりましたよ。お姫様。」


桃香「陽まで！ふざけないで早くして頂戴っ」


桃香に陽と呼ばれた少年は、制服のポケットから1枚の札を取り出すと、素早く結界を張った。そして....



陽「彼の者，申宮 真。速やかに桃園 桃香から離れ給え。」



札を持った手を胸の前にもってくると、そう呟いた。すると.....



真「うぉっ、」



真は桃香から引き離された。




陽「たく、真も権斗もいい加減にしてよね。毎回毎回、桃香さんに迷惑かけて。真を引き剥がす俺の身にもなってよ。」



「相変わらず、皆さん仲が良いですね。」



4人がぎゃぎゃーと言い合っていると、第三者の声が聞こえた。




桃香・権斗・真・陽「「「「颯輝さん！」」」」



権斗・真・陽「「「お早うございます。颯輝さん。」」」




颯輝「はい。お早うございます。皆さん、早く行かないと、鬼門の結界の修繕に間に合いませんよ。」