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摂津国にある森で、一人の男が椿の木から樹液を採っていた。
大膳大夫の安倍益材(あべ ますき)である。大膳大夫というのは宮中に仕え料理を作る下級の役人で、益材は貴族や皇族が食べる椿餅の材料になる樹液を採取していたのだ。
益材は今は下級役人におさまっているが、実は益材の家系は、奈良時代に唐(現在の中国)に留学した遣唐使である阿倍仲麻呂(あべのなかまろ)や飛鳥時代の左大臣である阿部内麻呂など優秀で名の知れた人物を多く輩出している家系なのだ。
にもかかわらず、下級役人としてしか宮中に居られない自分と没落してしまった自分の家に苛立ちと悔しさ、怒りを感じていた。
そんな状況を打破しようと、益材は毎日信太森の稲荷神社に参拝していた。
摂津国にある森で、一人の男が椿の木から樹液を採っていた。
大膳大夫の安倍益材(あべ ますき)である。大膳大夫というのは宮中に仕え料理を作る下級の役人で、益材は貴族や皇族が食べる椿餅の材料になる樹液を採取していたのだ。
益材は今は下級役人におさまっているが、実は益材の家系は、奈良時代に唐(現在の中国)に留学した遣唐使である阿倍仲麻呂(あべのなかまろ)や飛鳥時代の左大臣である阿部内麻呂など優秀で名の知れた人物を多く輩出している家系なのだ。
にもかかわらず、下級役人としてしか宮中に居られない自分と没落してしまった自分の家に苛立ちと悔しさ、怒りを感じていた。
そんな状況を打破しようと、益材は毎日信太森の稲荷神社に参拝していた。
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