天才少女の異世界転生

一話：いつの間にか転生していました。

   転生する前、美夜は知野  理子という名の高校生で、日本に住んでいた。そして、理子は１６歳という若さで亡くなったが、理子にも他の人々と違う点があった。それは...


理子はいわゆる”天才”だったのだ。しかも、顔立ちまで可愛いかった為、彼女は同性と異性問わず疎まれたり羨まれたり、恨まれたりしていた。


が、理子は別に自身の知識をひけらかしたいと思っていたわけでなく、自分の唯一の特技といえる勉強を頑張っていただけなのだ。


   しかも、父親が亡くなり母子家庭だった理子は、母親を手伝っていた為家事もそれなりに出来たし、運動や美術などの教科も得意とはいえないが、勉強以外の教科も平均的な成績であった。家も、お金持ちというわけではないが貧乏でもなく普通の暮らしをしていた。



だから、周囲の人間からみたら理子はほぼ完璧な人間にみえていたのだろう。



それゆえ、理子は真に友達といえる人間や恋人もいなく、やる事がなく母が居ない時は孤独を感じることもあった。



そんな毎日を過ごしていたときだった。



理子が美夜に転生するきっかけとなった事件が起こったのは...



 



＊


ある日。授業を終え、塾もなかった理子は、買い物を終え、家路を歩いていた。




そのとき....




「死ねぇ！知野  理子!!」


突然、理子の背後から1人の少女が飛び出してきた。


     理子（え...?）


そして、理子が気づいた時にはもう遅かった。



    理子（痛い...!）


少女を視界に捉えた理子は、痛みの為いつもより働きが鈍くなっていた脳を必死に回転させて自身の状況を考えていた。



    理子（あれは...確か同じ学校の...）


そして、理子は少女の手にナイフが握られているのに気が付いた。しかもナイフにはべっとりと血が付いていた。


さらに状況を詳しく知る為、理子は自身が1番痛みを強く感じる腹部を触った。



    理子（...血が、）


     理子（私...あのナイフで刺されたんだ...）


   理子（私、死んじゃうのかな。まだやり残した事、いっぱいあるのに。）


   

      そんなことを考えているうちに理子の意識は徐々に遠退いていった。