天才少女の異世界転生

一話：いつの間にか転生していました。

「美夜姫様、朝でございますよ。おはようございます。」


「ん....」


    ある国の城の一室。姫、と呼ばれた少女が侍女に起こされその目を覚ました。
その歳の頃は、７歳くらいである。ぱっちりとした目に、さらさらで艶のある黒い髪、形のよい唇...いわゆる美少女だ。しかし、彼女には他の人々と違う点があった。
それは...彼女の両目は、銀色に輝いているのだ。しかも、額には王族の証である月の紋様がある。（王族の男性は太陽の紋。）

ちなみに、両目とも銀色の瞳なのは王族の直系の女性のみで、王族の直系の男性は両目とも琥珀色の瞳である。傍系の場合は、紋様だけ王族と同じで片目が茶色、片目が銀や琥珀色である。






「姫様、今日はいよいよ”七彩儀”ですね！


  しちさいぎ、とは、7歳（しちさい）を祝い神に七色の絹の布を奉納する儀である。
貴族や王族や裕福な家庭の子どもは絹以外の生地でできた七色の布を奉納するが、昔は一般家庭には王宮から七色の布が渡され、それを儀式に使っていた。

そして、儀式の最後に巫女と姫巫女（巫女の姿をした王女）が奉納舞を舞った後、儀式終了を国王が告げたら一般国民も参加できるパーティーが始まるのだ。このため、七彩儀の日は1日中この国がいつも以上に賑わう。七彩儀は7歳の誕生祝いも兼ねている為、儀式は儀をうける王族の誕生日当日におこなわれるのだ。


ちなみに、七彩儀の前にも大々的な儀式があるが、それは３歳と５歳の時におこなわれる。日本の七五三のようなものだ。だが、その中でも七歳儀は1番大々的で豪華な儀である。なぜかというと...



この国では、昔から子どもは７歳までは人間と神の領域の間にある存在とされており、７歳からは人間の領域に近い存在になるとされているからである。




    ーーしかし実は美夜の前世で亡くなるまで過ごした場所はこの世界ではなかった。