姫と妖の園

弐

妖界

  樟葉「妖界から手紙がきた。」


懸「どんな内容ー？」


  樟葉「それが……姫を妖界へ連れて来いと。」


美矢「なんでも妖界に住む妖達に姫を会わせるんだと。」


   懸「…差出人は誰？」


樟葉「鴉天狗の前長。学園長の父上だよ。」


美矢「天狗か。天狗は神と崇められるほど妖力が強い。どうする？樟葉。」


   懸「どうするも何も連れて行けるわけないじゃん！危険だよ！」


樟葉「危険なのは重々わかっている。だが断ったら妖界と人間界との大戦が起こりかねない。」


「それは大丈夫じゃ。」


   樟葉「銀様、何故こちらに？」


銀「鴉天狗の長がこの学園に手紙を出したのを知っての。余は許可しておらぬのじゃが。大戦にならぬよう余がとめる。万が一なったとしても余がとめるから大丈夫じゃ。」
それと、余は姫を妖界に連れて言った方が良いと思うぞ。」


   懸「でっ、でも天狐様、まだ姫は完全に力が目覚めていないんです。だから今妖界に行くのは危険かと。」


    銀「主らが守ればよかろう。その為の守護妖怪じゃろうが。それに、妖界に行った方が姫の力が強くなるかもしれぬ。」


樟葉「………そうですね。わかりました。でも、連れて行くかどうかは姫のご意志を聞いてからにします。」