姫と妖の園

壱

灰色の妖狐

－－－昔々。黒い妖狐と白い妖狐が番い灰色の妖狐が生まれた。



「きったねぇ色！」


「くすくす。狐じゃなくて鼠なんじゃない？」


  その妖狐はその毛色故、年寄りからも若者からも男からも女子どもからもいじめをうけていた。しかし彼は九尾だった為、彼に面と向かって暴力を振るったり殺そうとする者はいなかった。



   ーー妖狐の力の強さは、毛色や尾の数に比例する。


尾の数は、力の弱い順に、一本、二本、三本と徐々に増えていく。


その最高位が、樟葉達”九尾の狐”だ。


さらに、毛色に関しては、妖狐の中で”四貴狐”、よんきこと呼ばれる力の強い妖狐達がいる。


その、四貴狐は、金狐，銀狐，黒狐，白狐の四種族である。


  そして、現在妖界を治めている妖王は、九尾の銀狐で数少ない神格化された妖狐のうちのひとり、”銀の天狐”である。銀の天狐は、妖の王であり、現在いるすべての妖狐のトップでもある為、妖狐の首長でもあるのだ。


また、妖狐に限らず、妖や魔物は、力の強いものは皆、普通の妖と違う瞳の色をもっている。
普通の妖と魔物（悪魔など）は、全員一様にして琥珀色の瞳をもっている。


が。



力の強い魔物と妖は、赤や緋色、紅色や金色、紫色などの瞳をもっている。それらのオッドアイ（異色虹彩）の瞳をしているものだっている。




雪葉「という、話なのよ。」



柚葉（....つまり、黒いきつねや白いきつねで、九尾の樟葉たちは、かなり強いあやかしということ?しかも、樟葉たちはみんな金やむらさきの目だし....)



樟葉「……柚葉様、灰色の妖狐に会ってみたいと思いますか？」


柚葉「え？うん。会ってみたいと思うわ。」


樟葉「少し歩きますがよろしいですか？」


柚葉「べつにいいわ。」

･･･････････････････
柚葉「ここ…？」


柚葉の目の前には森林と草むらがあった。 


しゅっ！ 

   と、突然柚葉と樟葉に向かって刀のような光がとんできた。しかし樟葉が簡易結界を張りそれを防いだ。


「黒狐？！」 

草むらから何ものかが姿をあらわした。 


「急にすみませんでした!!!」


そして樟葉に頭をさげた。 


樟葉「……頭を上げてください。」


柚葉は訳がわからず何も言えないでいる。 


  樟葉「貴方の名前を教えてください。」


「灰理と申します。」


樟葉「僕は桜 樟葉です。」


灰理「桜？じゃあ黒狐の長の家族？」


 樟葉「はい。こちらの方は柚葉様。僕の主です。」


灰理「もしかして…この人、姫か？」


  樟葉「ええ。そうです。」