陰陽師少女は、神の嫁。〜龍嫁恋話〜

壱話

1・婚約者は龍神さま⁈－③不思議な夢



沙良彩「っ...!」

　目が覚めた沙良彩は、目の前の人物を見て驚きのあまり言葉を失った。


沙良彩「なんて、綺麗なの....」


　そして、次に出た言葉はそんな言葉だった。
その声はさほど大きくないが、沙良彩のその言葉は相手にも聞こえたようだ。
先程まで無表情だった相手は、わずかに顔をしかめた。


「我の見た目の事など、どうでもよい事だ。それより沙良彩、先程も言ったが、我は大切な話があって参った。」


沙良彩「...あの、貴方は誰なんですか？どうして私の名前を？」


「そうさな。その事も話さねばなるまい。故あってまだ名は言えぬが、我は龍神。我々は、元はこの国の隣国の天界で天帝に仕える一族だったが、我の父が天帝の命により1,300年程前にこの国に移った。本家の龍と一部の分家の龍のみ本国に残して。そして、それ以来我が一族はこの国の神の一員として社を持ち、土地神として生きている。」

　

沙良彩（龍神...なる程、たしかにそんな感じね。）


　沙良彩の眼前にいる男は、まず、日本人の男性の平均より背が高い。そして、和服を着ている。

ここまでは、普通の人間でも居るだろう。


しかし。





その男は、明らかに異質な見た目をしているのだ。






銀色の巻き髪に、琥珀色の瞳。果ては、頭からは角が生えている。



明らかに純粋な人間ではない。そう感じさせるには充分な見た目を男はしていた。