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婚約者の言い訳
しおりを挟むやっと仕事に復帰出来るまでに回復したところに、婚約者のサミエル王子がやって来た。
「 しつこく誘われたんだ。君と別れるつもりは無いよ。」
静かに聞いている私に、王子は続けた。
「 ほら、目の前に美味しそうなフルーツがあったら君も食べるでしょう?僕はただフルーツを食べただけなんだよ。」
「 あの女の子がフルーツ?あなたは私が目の前の若くて綺麗な男を食べてもいいの?」
「そんなの殺すでしょう。」
王子は目をギラギラさせて言った。
(ああ、そうだった。前にもこんな事があったわ。)
王子はタバコを吸う。
私は自分の健康の為に吸うつもりは無いけれど
も、こう聞いた。
「 彼女がタバコを吸ったら、どう思うの?」
「 キスの時まずい変な味がするから嫌だ。
吸わないでね。」
そう、王子は自分にとことん甘く、彼女が自分と同じ事をすることは決して許さない。
私はこの人の何を愛していたのだろう。
美しい見た目?
国王からしきたりによって決められた婚約者。
心から尽くせば愛されると思っていた。
私の周りの大勢のご先祖様や守護霊様や天使様や精霊達が、全力でささやいた。
この男では無い。
この人はやめなさい。
あなたはこの男では幸せになれ無い。
この男はきっと繰り返すよ。
婚約はやめやめ。
私の心の中に直接語りかけてくれた。
曇っていた視界が晴れるのがわかった。
フワフワして宙に浮いてるみたいだったのが、地に足が着いた。
私は自分を取り戻した。
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