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遠距離恋愛してるつもりなのは聖女の私だけだったの?婚約者は浮気してました。
しおりを挟む我が祖国は隣国のエダインド王国と戦争をしています。お互いの攻撃は日に日に激しくなり、両国とも一歩も引きません。
私はドルーアル王国の聖女ゼフィ・ルーアンと申します。
普段の平和な日々は城で祈りを捧げておりました。
しかし隣国との戦争が激しくなり、聖女の私は戦場に派遣されました。
私の回復魔法はとても役にたつからです。
祖国を守る為の結界を張り巡らすだけでも毎日大変だと思っていました。
でも聖女となった日から婚約者になったスチュアート王子の為にも頑張っています。
長いあいだ遠距離恋愛で、なかなか会えませんけれども祖国を守る為ですもの。
毎日命懸けで頑張りました。
それからしばらくして、やっと長い戦争に勝利しました。
1年以上ぶりに都に帰る事になった私は、他の事はほっぽり出して大急ぎで城へ戻りました。
都は戦勝パレードでお祭り騒ぎです。
国民は皆、平和を噛みしめお酒を飲みダンスをして楽しそうです。
私は聖女としてパレードの最前列に席がありましたが、婚約者のスチュアート王子に一刻も早く会いたくて城へ急いで行きました。
いつも私の周りにいる精霊達に連れられて、私は城の秘密の花園へと向かいました。
そこは私が誰の助けも借りずに一人で丹精込めて作った花園です。
私の秘密の花園で婚約者のスチュアート王子は、王子の幼なじみのカミーユと抱き合っていました。
私が声をかけようかと近づくと2人はキスをしました。
いつものように、そうするのが当たり前のように、慣れているようにです。
「 スチュアート王子、ただいま戻りました。」
私がやっと声をかけると、
「 なんだ帰って来たのか。ちょうど良かった。
君が居ない間ずっとカミーユが聖女として、この国を守り抜いたんだよ。」
スチュアート王子はカミーユの嘘を信じているみたいです。
「 そんな訳ありません。カミーユは嘘をついています。この国の聖女は私です。」
「やっぱりカミーユの言っていた通りになったね。ゼフィはカミーユの手がらを横取りするだろうって僕達はわかってたんだ。真実の聖女はカミーユだから、お前はクビだ。そして婚約は破棄させてもらうからな。さっさと出て行けよ。」
こんな男を婚約者として信じていたなんて。
今まで命を懸けて戦場で戦って来た私をなんだと思ってるんだろう。
カミーユはスチュアートの首に両手を絡ませて勝ち誇ったような目をして私を見ています。
そして婚約者だったスチュアートはそんなカミーユを大切なもののように目を細めて見つめていました。
その姿を見て私はやっと悟りました。
「 わかりました。出て行きます。」
「 わかりましただって、ほら言った通りになったでしょう?ダーリン。」
カミーユは私に聞こえるように、わざと大きな声でスチュアートに話しかけます。
私は城を出ました。
精霊達に頼んで、全ての事を人々の前に映してもらいました。
せっかく戦争に勝ったのに祖国がなくなる事がわかった人達の列が私の後ろに続きました。
祖国には魔獣が侵入して、山は噴火し水はニガヨモギの味になり、荒廃しました。
国民達をそれぞれが行きたいところまで送りました。
私は戦争での勝利に導いた聖女として世界中の国から聖女のオファーが殺到しています。
今はどこへ行くか迷っているところです。
私が怒って祖国に復讐したなんて変な噂を流してる人がいるみたいですけど、私は復讐なんてしていません。
そんな事しなくてもいいんです。
だって全ては神さまの言う通りですから。
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