1 / 1
私のものを何でも欲しがる義妹は、私の婚約者まで欲しがって困ってます。
しおりを挟む今日は婚約者のロキ侯爵とアフタヌーンティーの予定。めったに会えないから朝から身体中ピカピカに磨いてもらって、準備に大忙し。
「 お嬢様どうしましょう。ロキ侯爵様からプレゼントされたシフォンのドレスが見当たらないんです。」
さっきまでお風呂の世話をしてくれていたメイドのミリーが、慌てて探している。
「 仕方ないわ。お待たせするといけないから、一番新しいドレスにしましょう。」
ロキ侯爵とお茶を飲もうとしたら義妹のカミラが、まるで当たり前のように私にプレゼントされたシフォンのドレスを着て現れた。
子供の頃からカミラは、両親の愛を一身に受けて育った。
それを確かめる為のように、私のものを欲しがった。
「 お姉様がイジワルをする。またイジワルされた。」
カミラは息を吐くように嘘をついて、そして両親はその嘘を全部信じた。
( あー、また嫌な事を思い出してしまった。子供の頃から私のものなら、なんでも欲しがる子だったけど、私の為の婚約者から送られたドレスを着るなんて、常軌をいっしてるよ。)
ロキもいつもの事とあきれ顔で、
「 アレクサ、あのドレスは気に入らなかったのかな?」
「 いいえ、なくなって困ってましたの。」
「 じゃあ、あのブローチも時計も帽子も?」
「 ええ、何のことわりもなしに持っていきました。」
「 ふーん。」
義母は義妹を、とにかく私よりもお金持ちになるように、画家に肖像画を描かせた。
輪郭の修正なんてレベルじゃない。
描いても描いても、もっともっととお金を弾まれ、画家にも生活があるから、これでOKってなった絵を量産した。
そして、その美しい絵を配りまくった。
目の前に現れたカミラを見て、
「 イヤイヤ、多少の誤差はありですが、もはや別人。無理無理無理。」
せっかく整った婚約も破棄されてしまった。
両親から、綺麗かわいいと賛美されて育ったカミラでも、世間ではそうでもなかったみたい。
「 どうして、お姉様じゃなくて私が婚約破棄されるの!なんでなんで!この家で一番は私よねー!」
カミラの癇癪はいつも通りだけど、キーキーうるさ過ぎ。
なんとなんとカミラは、自分こそがこの家の総領娘で結婚も自由自在だと思っていたみたい。
まぁ、子供の頃から私のものを全部取り上げても、両親から怒られた事なんて一度も無かったから、そうなのかも。
でも、貴族の家の正統後継者の地位だけは奪えないみたい。
だって私が父の長子だと貴族年鑑にちゃんと載ってるから。
この世界では家の財産を相続出来るのは長子のみ。
一子相伝で貴族の家は続いて行くのだから。
子供の頃から、この家に私の居場所は無かった。義母は義妹ばかり可愛がって、父も義母の言いなりだったから。
だから私は家族の事が好きじゃない。
婚約者のロキ侯爵と幸せな家族を作りたいと思ってるんだ。
別に隠すつもりでもなかったけど、義妹が色々バラしちゃった。
でも私は復讐はしないつもり。
考えるだけ時間の無駄だし、全て神様にお任せいたします。
10
お気に入りに追加
8
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
さようなら、あなたとはもうお別れです
四季
恋愛
十八の誕生日、親から告げられたアセインという青年と婚約した。
幸せになれると思っていた。
そう夢みていたのだ。
しかし、婚約から三ヶ月ほどが経った頃、異変が起こり始める。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】婚約破棄からの絆
岡崎 剛柔
恋愛
アデリーナ=ヴァレンティーナ公爵令嬢は、王太子アルベールとの婚約者だった。
しかし、彼女には王太子の傍にはいつも可愛がる従妹のリリアがいた。
アデリーナは王太子との絆を深める一方で、従妹リリアとも強い絆を築いていた。
ある日、アデリーナは王太子から呼び出され、彼から婚約破棄を告げられる。
彼の隣にはリリアがおり、次の婚約者はリリアになると言われる。
驚きと絶望に包まれながらも、アデリーナは微笑みを絶やさずに二人の幸せを願い、従者とともに部屋を後にする。
しかし、アデリーナは勘当されるのではないか、他の貴族の後妻にされるのではないかと不安に駆られる。
婚約破棄の話は進まず、代わりに王太子から再び呼び出される。
彼との再会で、アデリーナは彼の真意を知る。
アデリーナの心は揺れ動く中、リリアが彼女を支える存在として姿を現す。
彼女の勇気と言葉に励まされ、アデリーナは再び自らの意志を取り戻し、立ち上がる覚悟を固める。
そして――。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
[完結]君に好きだと伝えたい〜婚約破棄?そうですか、貴方に愛を返せない私のせいですね〜
日向はび
恋愛
表情は動かず、愛の言葉は囁けない。そんな呪いをかけられた伯爵令嬢の元に愛する人から婚約破棄の手紙がとどく。さらに彼は腹違いの妹と恋をしているという。絶望しながらも、全ては自分の責任と別れを決意した令嬢は愛するひとに別れを告げるために彼の家へ訪れる。そこで煌めくナイフの切っ先を目にした彼女は、愛する人を守るためその身をナイフの前に曝け出すのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
もうあなた様の事は選びませんので
新野乃花(大舟)
恋愛
ロベルト男爵はエリクシアに対して思いを告げ、二人は婚約関係となった。しかし、ロベルトはその後幼馴染であるルアラの事ばかりを気にかけるようになり、エリクシアの事を放っておいてしまう。その後ルアラにたぶらかされる形でロベルトはエリクシアに婚約破棄を告げ、そのまま追放してしまう。…しかしそれから間もなくして、ロベルトはエリクシアに対して一通の手紙を送る。そこには、頼むから自分と復縁してほしい旨の言葉が記載されており…。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約者である王子の近くには何やら不自然なほどに親しい元侍女の女性がいるのですが……? ~幸せになれるなんて思わないことです~
四季
恋愛
婚約者である王子の近くには何やら不自然なほどに親しい元侍女の女性がいるのですが……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
ん?結局どうなったの?