私のものを何でも欲しがる義妹は、私の婚約者まで欲しがって困ってます。

十条沙良

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私のものを何でも欲しがる義妹は、私の婚約者まで欲しがって困ってます。

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今日は婚約者のロキ侯爵とアフタヌーンティーの予定。めったに会えないから朝から身体中ピカピカに磨いてもらって、準備に大忙し。

「 お嬢様どうしましょう。ロキ侯爵様からプレゼントされたシフォンのドレスが見当たらないんです。」
さっきまでお風呂の世話をしてくれていたメイドのミリーが、慌てて探している。

「 仕方ないわ。お待たせするといけないから、一番新しいドレスにしましょう。」

ロキ侯爵とお茶を飲もうとしたら義妹のカミラが、まるで当たり前のように私にプレゼントされたシフォンのドレスを着て現れた。

子供の頃からカミラは、両親の愛を一身に受けて育った。
それを確かめる為のように、私のものを欲しがった。

「 お姉様がイジワルをする。またイジワルされた。」
カミラは息を吐くように嘘をついて、そして両親はその嘘を全部信じた。

( あー、また嫌な事を思い出してしまった。子供の頃から私のものなら、なんでも欲しがる子だったけど、私の為の婚約者から送られたドレスを着るなんて、常軌をいっしてるよ。)

ロキもいつもの事とあきれ顔で、
「 アレクサ、あのドレスは気に入らなかったのかな?」

「 いいえ、なくなって困ってましたの。」
「 じゃあ、あのブローチも時計も帽子も?」
「 ええ、何のことわりもなしに持っていきました。」
「 ふーん。」

義母は義妹を、とにかく私よりもお金持ちになるように、画家に肖像画を描かせた。
輪郭の修正なんてレベルじゃない。
描いても描いても、もっともっととお金を弾まれ、画家にも生活があるから、これでOKってなった絵を量産した。
そして、その美しい絵を配りまくった。

目の前に現れたカミラを見て、
「 イヤイヤ、多少の誤差はありですが、もはや別人。無理無理無理。」
せっかく整った婚約も破棄されてしまった。
両親から、綺麗かわいいと賛美されて育ったカミラでも、世間ではそうでもなかったみたい。

「 どうして、お姉様じゃなくて私が婚約破棄されるの!なんでなんで!この家で一番は私よねー!」
カミラの癇癪はいつも通りだけど、キーキーうるさ過ぎ。

なんとなんとカミラは、自分こそがこの家の総領娘で結婚も自由自在だと思っていたみたい。

まぁ、子供の頃から私のものを全部取り上げても、両親から怒られた事なんて一度も無かったから、そうなのかも。

でも、貴族の家の正統後継者の地位だけは奪えないみたい。
だって私が父の長子だと貴族年鑑にちゃんと載ってるから。

この世界では家の財産を相続出来るのは長子のみ。
一子相伝で貴族の家は続いて行くのだから。

子供の頃から、この家に私の居場所は無かった。義母は義妹ばかり可愛がって、父も義母の言いなりだったから。

だから私は家族の事が好きじゃない。

婚約者のロキ侯爵と幸せな家族を作りたいと思ってるんだ。

別に隠すつもりでもなかったけど、義妹が色々バラしちゃった。

でも私は復讐はしないつもり。
考えるだけ時間の無駄だし、全て神様にお任せいたします。
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みんなの感想(1件)

美夕
2022.07.31 美夕

ん?結局どうなったの?

解除

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