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お姉様に相談②
しおりを挟む「お父様に相談しましょう」
「お父様には、婚約解消は仕方ないと思わせてから言います」
「回りくどい真似をしなくても、わたくしに話した内容をそのままお父様に伝えればロリーナのお願いを聞いてくれるわ」
「私に無関心なお父様が聞いてくれるでしょうか……」
何故かポカンとした顔をしたお姉様。美女はどんな顔をしても美女ね……。
「……ロリーナに無関心?」
「はい」
「どうして?」
「わ、私を興味のないような顔でいつも見られますし、話し掛けても、ああやそうか、としか言ってくれなくて……」
「お父様はわたくしにもそんな感じよ。多分、お母様以外には基本無口よ。お父様がロリーナに無関心なんてないわ」
「そう、ですか?」
「そうよ。無関心なら、行事や出掛けから戻る度にプレゼントやお土産を渡したりしないわ」
言われてみるとそうだがそれはお姉様や義母のついで、では? と顔に出ていたらしい私に「まあ!」と鈴の音色を転がしたような声でお姉様は笑う。
「お父様ったら愛想が無いせいで全然伝わってないじゃない」
「私の母に対する負い目があるせいですよね」
「そうかもしれないけど、それだけで人に気を掛ける人じゃないわお父様は。お母様もそう。ロリーナが母君に似て顔を合わせづらそうにしているけれど、ロリーナの事をいつも気にしているわ」
父や義母に蔑ろにされたり、虐げられていると思った事はない。気まずげにされても義母は私に優しくしてくださる。父も教育に必要なら何でも習わせてくれた。お姉様と同じ淑女教育を受け、カラー侯爵家の娘として同等の扱いをしてくれる。お姉様は婿を取って家を継ぐ。私と同じで幼少期からの婚約者で、王国の第二王子ロードナイト様。銀髪に薔薇色の瞳を持つ。クリスタベル殿下の兄君だ。
未来の義妹になるからとロードナイト殿下は、侯爵夫妻の子じゃない私に親切に接してくれる優しい方だ。お姉様と一緒にいる光景は正に美男美女。グレン様とも親しく、グレン様の私に対する態度やクリスタベル殿下についてよく謝られる。
「ロードナイト殿下には、いつもグレン様との事で親切にしてもらいました。婚約解消になれば今までの殿下の親切心を無駄にしてしまうようで心苦しいですが、私は私を愛さない人と結婚するのは嫌なんです」
「そうねえ……別にシュタイン家と繋がりが無くても、我が家に損はないし。寧ろ、婚約解消になるのを嫌がるのはシュタイン家の方ね」
「我が家の魔法技術が欲しいのですよね」
「そういう事になってるわね」
「?」
どういう意味なのかと訊ねると「内緒」と語尾にハートが付きそうな機嫌で言われると聞けない。
「ロードナイト様にはわたくしから事情を話します。呆れ果てるでしょうが仕方ないと納得するでしょう」
「グレン様がクリスタベル殿下を好いていると知っていても、貴族というのは家の利益を優先しないといけませんから。よくよく考えるとグレン様も可哀想な方です」
「…………本当にね」
ギョッとしてしまう無感情な声に驚きつつ、早速婚約解消についてお父様に相談しましょうと立ち上がったお姉様に連れられ、私達は父がいるであろう執務室へと足を運んだ。
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