10 / 44
10話
しおりを挟む「あああっ!」
指とは質量も硬さも比べられないモノが一気に入ってきた。
一瞬息が出来なくなるも身を裂く痛みが何時までも襲ってこないので恐る恐る息を吸い、吐く。ちゃんと呼吸をしていくと中にある大きなモノの存在感がより増す。
「ラヴィニアっ、力を抜いて」
苦し気なメルの声につられ、チラリと下を見た。
下半身とメルのお腹がくっ付いているように見える。閨教育は全て夫となるメルに委ねるようにと家庭教師に教えられてきた。母親が前以て教える知識に関しては後妻がラヴィニアを嫌っていることから習わず、シルバース夫人も閨教育については一切口出ししてこなかった。
メルを見上げた。澄んだ空色の瞳に戻っていて、言われた通り息を吐いて力を抜きたいのに上手く抜けない。
「無理……!」
「もう、痛くしないから、ラヴィニア良い子だから」
「んう……!」
ゆっくり、ゆっくりと息を吐いて力を抜いていく。
それに合わせメルも動いた。途端体に力を入れてしまう。メルの手が優しく胸を掴み先端を舌で転がし、もう片方を指で弄りだした。
「ああ……ん、あぁ……め、る……」
「動くよ」
「ああ……!」
胸への愛撫でまた中が濡れたのを実感し、体から幾分か力が抜けてきたのを見計らいメルが律動を始めた。さっきまでの痛がるラヴィニアにお構いなしな乱暴な仕草とは違う、ラヴィニアへの気遣いが見て取れる動き。
「あう……ああぁ……」
「ラヴィニア……痛くないか?」
「だい……じょ、ぶ……んんっ」
「なら、いい」
「んあ!」
とん、と心臓のある箇所を指で触れられ、体が大きく跳ねた。触れられただけで強い快楽が押し寄せ、中にいるメル自身を強く締め付けた。よりリアルに感じてしまったメル自身の大きさと硬さ、熱さに恥ずかしさと興奮を覚え、繋がる部分からは愛液が溢れて止まらない。
ラヴィニアのお尻から伝ってシーツにポタポタと落ちる雫は何重にも重なると大きな染みとなっていく。
慣れてくるとメルの動きに合わせて嬌声を上げていた。
抱かれる恐怖も緊張もなくなり、メルに与えられる快楽に溺れるだけ。
止まらない涙をメルの指が掬い、ペロリと舌で舐めとり妖しく笑う。
「ラヴィニア、言ってごらん。俺で感じてるって」
「ぁ……はあ……あああっ! メル……メルの……気持ち、いい……よ……!」
「良い子……」
言ってしまうと心に重みが加わり、息苦しさを覚えた。
自分でメルとの行為に溺れていると自覚しても、言葉にするのとしないのとでは違いがある。
メルの指が結合部の上でぷっくりと膨れている赤い突起をそっと擦った。新たな刺激を与えられラヴィニアの中は締め付けを強くし、喘ぐ声に甘さが増した。
「メル……メル……!」
「いいよ、俺の名前をもっと呼ぶんだ。
……もう何処にも逃がしてやらない、ずっと我慢して優しくしていたのが馬鹿らしくなる」
「メル……?」
快楽に溺れ嬌声を上げながら、メルの最後の言葉が気になった。喘ぎながら不思議そうに見上げたら、見られたくないのか、互いの隙間を無くすほど抱き締められメルの顔が胸に埋められた。
激しくなった律動に合わせ、抜き差しを繰り返すメル自身が段々と大きくなっていき、ラヴィニアは思考を捨て去った。
メルの熱い吐息が胸に掛かって時折心臓の辺りを口付けるから、過剰に体が反応し、中を強く締め付けた。
「く……ラヴィニア、……そろそろ……」
「あ、あ、あ、あぁっ、いやあ……怖いぃ……!」
「このまま俺に任せて、身を委ねていいからっ」
得体の知れない感覚が怒涛の勢いで押し寄せて来てシーツを強く掴んだ。抱き締めてくる腕の力が増す。何度も強く腰を打ち付けられ、最奥に届く度に頭が真っ白になって意識が飛びそうになる。
同じ行動を繰り返されている内、くぐもった声をメルが漏らすと中に熱くてドロドロとしたモノが出された。広がる熱に感じて震えていると漸くメル自身が抜かれた。圧迫感がなくなり、中は寂しそうに大きく開いていたが奥からドロリとしたモノが流れ出た。それすらも今のラヴィニアには感じる要素となり、微かに声を漏らした。
「うあ……」
放出して中から流れ出た精をメルが指で掬ってラヴィニアの中へ擦り付けるように戻していく。快感を与える動作じゃないから刺激は弱くても、達したばかりのラヴィニアにはそれだけで強い刺激となる。
全て中に戻したメルは次に背中と膝裏に手を回して抱き上げてきて、手も使わず隣室への扉を開け更に違う部屋の扉を開けた。そこは浴室で湯船にはたっぷりと入れたての湯が準備されていた。
ミルク色の水面には薔薇の花弁が浮かんでいてラヴィニアは湯船に降ろされた。初めて抱かれた疲労から今は眠くて仕方なく、後ろをメルが座って抱き締めなかったら湯に沈んでいっただろう。
うとうととしているその後ろ、メルにより長いオレンジの髪を後頭部に一つに纏められた。
「寝ていいよ。洗ったらちゃんと拭いた後服を着せてあげるから」
「……うん……」
重く頷いたラヴィニアの瞼はすぐに閉じられた。最後、無意識にメルの名前を呼んだとラヴィニア自身は知らない。
後ろから抱き締める腕の力だけが増した。
「ラヴィニア……」
強引に抱いてしまったせいで要らぬ疲労を与えてしまった。予定では初夜のつもりで優しくする筈だったのに。
他の男の肌を何度も見たと言い、挙句プリムローズを話に出され自制が利かなくなった。他に好きな男がいるという話が嘘だと知ったのは半月以上前。それまではどこの誰だと徹底的に調べ上げた。幸いにもラヴィニアは出奔時、メルが贈ったプレゼントを持って行った為に居場所は最初から把握していた。
ラヴィニアに贈った品全てに居場所を把握する魔法が掛けられていると知るのは贈った本人のみ。ラヴィニアは気付いていない。ラヴィニアの居場所をあまりにも早く突き止めた時、早過ぎると両親に指摘され正直に話すと呆れ果てられた。
ラヴィニアが消えた途端、ラヴィニアの代わりとして異母妹のプリシラを婚約者にと話をしに来たキングレイ侯爵夫人にはシルバース家一同呆れ果てた。メルとラヴィニアの婚約はシルバース夫人と亡くなったラヴィニアの母が生まれた子供が男女だったら婚約させようと約束したから。他人同然である後妻の娘プリシラと婚約させる義理はない。
事実を教えただけなのに侯爵夫人は喚き、プリシラは「メル様あああああぁ!」と泣き叫ぶ始末。
公爵家の騎士に外へ追い出されて漸く帰って行った。
二人の突撃を皮切りに翌日から突撃者が増えていった。
ラヴィニアに好きでいてほしくて敢えて優しい振りをしていたメルにも原因があると母に指摘された時は項垂れた。
「怖がられたら…………ラヴィニアを閉じ込めたくなる」
小さな体を逃がさないよう抱き寄せ、頭に頬を乗せた。
絶対に、二度と逃がしたりしない。
「……」
ラヴィニアに刻んだある魔法の証が心臓付近に浮かんでいる。触れると強制的に快楽を引き起こすそれを行為中、何度か指で触れ口付ける度にラヴィニアは面白いくらい反応した。
今触れたらラヴィニアは飛び起きてしまう。
触れるのは行為中だけにしよう。
青の瞳に似合うドレスも宝石も沢山用意してある。
明日の朝着せるドレスはどれにするか、その前に朝食はラヴィニアの好きなメニューは当然でデザートも付けないといけない。
暇を持て余して退屈にさせるのも駄目、刺繍だけではなく読書も出来るよう書庫室も作らせてある。
「明日は何をしよう」
1,166
お気に入りに追加
2,686
あなたにおすすめの小説

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
急に運命の番と言われても。夜会で永遠の愛を誓われ駆け落ちし、数年後ぽい捨てされた母を持つ平民娘は、氷の騎士の甘い求婚を冷たく拒む。
石河 翠
恋愛
ルビーの花屋に、隣国の氷の騎士ディランが現れた。
雪豹の獣人である彼は番の匂いを追いかけていたらしい。ところが花屋に着いたとたんに、手がかりを失ってしまったというのだ。
一時的に鼻が詰まった人間並みの嗅覚になったディランだが、番が見つかるまでは帰らないと言い張る始末。ルビーは彼の世話をする羽目に。
ルビーと喧嘩をしつつ、人間についての理解を深めていくディラン。
その後嗅覚を取り戻したディランは番の正体に歓喜し、公衆の面前で結婚を申し込むが冷たく拒まれる。ルビーが求婚を断ったのには理由があって……。
愛されることが怖い臆病なヒロインと、彼女のためならすべてを捨てる一途でだだ甘なヒーローの恋物語。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
扉絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(ID25481643)をお借りしています。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。
そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。
相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。
トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。
あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。
ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。
そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが…
追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。
今更ですが、閲覧の際はご注意ください。

番から逃げる事にしました
みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。
前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。
彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。
❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。
❋独自設定有りです。
❋他視点の話もあります。
❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる