11 / 19
快楽に溺れる幸福
しおりを挟むいっそ、耐えられないくらい酷く抱いてくれたら、心にある恋心は粉々になって2度と修復されず、貴方を憎めるのに……。
「あっ、ああっ……! ん、フィロン様ぁ……!」
執拗に、丁寧に、味わうように秘部に顔を埋め、舌で愛撫するフィロン。両手を縛られた挙げ句、魔法で身体の感度を上げられたメリルはただ与えられる快楽に啼き、溺れるしかなかった。
仕草は乱暴でも、触れる手は宝物に触れるかのように優しい。1度でも乱暴に抱いてくれたらどれだけ気が楽になるか……理性を壊される快楽を与えられても、1度もフィロンに乱暴に抱かれたことがない。
イレーネの共犯者に力加減なく揉まれた胸も、初めは痛々しい色をしていたが、フィロンの魔法で癒された。が、感触が消えるようにと愛撫された。真っ赤な飾りは散々舐められ、指で愛撫されたせいでずっと硬いまま。
今のメリルに抵抗する術も嫌がる権利もない。フィロンの為すがままにされるだけ。
メリルの片脚を撫でていたフィロンの手が胸へ伸ばされた。他の男に触られた事実を消すように、優しい力で形を変えていく。時折り、手の平が飾りに触れると「んうっ」とメリルはピクピク反応する。
「あ……あ……!」
「ん、……んう……」
「ああ……! あん、あああぁ……!!」
魔法と胸の愛撫だけで濡れていた秘部に顔を埋められてからは、ずっと舌で刺激を与えられ続け、もう何度も達している。飽きずに割れ目の上にある突起を舐め、時に口に含み甘噛みされてはメリルの身体に強い快楽が走る。今も突起を強く吸われたメリルは甘い悲鳴を上げて達した。
回数はもう……覚えていない。
何度達しても、大きな疼きを鎮めてくれるソレをフィロンがくれない限り、メリルはこの淫獄から抜け出せない。
「……が……い、お願い……します、フィロン様……もう……入れて、ください……」
「うるさい……お前が悪いんだ」
「あ、あああぁ……!」
「お前が……お前が……」
「ふあ……ん……ああああああ……」
中を開かれ、入ったものが無遠慮に掻き回す。見なくても分かる。フィロンの指が入れられた。まだ1度も中を弄られていなくても、突起をずっと舐められ、吸われ続けたのでシーツに染みが出来る程濡れている中に入れられても痛みはなかった。指の動きに合わせてメリルの腰も揺れる。大粒の涙をぽろぽろと零し、フィロンの名を呼び続けてしまう。
強い刺激を与えられたら、更に強い刺激を欲してしまう。
淫らな水音を響かされ、いつもなら羞恥で嫌がるメリルだが、魔法で感度を上げられた今はそれすら新たな媚薬となってしまう。
メリルの一番感じる場所にフィロンの指が触れた。ピアノの鍵盤を叩くように触れられ、びく、びくと腰が跳ねる。
「だ、めえ……駄目……え……フィロン様あ……!」
「駄目? こんなに感じておいて、何が駄目なんだ」
「ひう、あ、ああっああ、壊れ……ちゃいます……」
「……前にも言っただろう。壊れても側に置いてやると」
感情も理性もなく、快楽を求め続ける人形になってしまっても?
涙で濡れた視界でフィロンを見上げた。冷たい紺碧の瞳には、吸い込まれそうな暗闇と途方もない執着があった。フィロンは時折り、メリルに見せては気絶するまで抱く。
悲鳴に近い啼き声を上げるメリルが嫌々と頭を振る。沸き上がる初めての感覚に戸惑いを隠せない。脚を閉じるように力が入るが、察したフィロンは閉じるなと片手でメリルの片脚を開かせた。
中を掻き回す指の動きが激しくなるのと同時に水音も強くなり。止まらない蜜がメリルの尻を伝ってシーツにポタポタと落ちていく。
「やだっ……やだあ……! フィロン様ぁ怖い……!」
「いい……そのまま感じていろ」
「怖い……ああっ……あああ……!!」
弾けるような強烈な快感が襲った瞬間、大量の愛液が出た。フィロンに感じて零れるいつもの愛液とは違い、さらさらとした水分。達したばかりのメリルは違う意味で顔を真っ赤に染めた。フィロンの腕だけでなく、服にもかかり濡れていた。
「ああ……ああっ……」
真っ赤になるべきなのか、真っ青になるべきなのか。もう成人を迎えた大人なのにお漏らしをしてしまった。耳まで赤くなり、顔を合わせられずシーツに押し付けた。
何を言われるかと震えていれば、指よりも質量も熱さも硬さも違うモノが一気に挿入された。
「あ、ああ……っ!!」
驚きと突然の快楽にメリルの思考が追い付かない。欲していたフィロン自身を挿入された勢いでまた漏らしてしまったのが分かる。はくはくと呼吸が儘ならないメリルをフィロンが欲情した瞳で見下ろす。衣服も既に脱いでおり、真っ白な肌、引き締まった身体を目にし、フィロンを締め付けた。
「……淫乱」
低い声で囁かされた淫靡な言葉。きっと、さっきからの粗相に怒っているのだと悟ったメリルが謝罪の言葉を口にしようと開いた時。間髪入れずにフィロンが舌を入れてきた。甘く、蕩けるような口付けがずっと大好きなメリルは、無意識の内にまたフィロン自身をきゅうきゅう締め付けた。後頭部と背中に腕を回され抱き締められるが、自分には抱き締め返すことができない。フィロンに両腕を縛られてしまったから。
「ん……ん……ふ……」
「……そうやって……快楽に溺れて、おれに感じていたらいい」
「あ……んん……フィロン……様……」
「お前が淫乱だと知るのもおれだけだ……、だからもっと淫乱になれ。おれの前だけで……」
「ああっ……!」
再度囁かされた淫靡な言葉には、気のせいか愛情が籠っている錯覚があった。キスをしながら髪を撫でるのはフィロンの癖のようなもの。キスをされる快感、頭皮を撫でる痺れるような快感は全部フィロンだから感じられる。フィロン以外の相手だと不快にしかならない。イレーネの共犯者に力加減なく胸を揉まれた時、快感など全くなかった。痛みと不快感しかなかった。
キスをしながらフィロンが律動を始めた。ゆっくりと、中を堪能する動きがメリルは好きだ。長くフィロンを感じられるから。
「ああ……はあ……ん……フィロン様……もっと……」
「そう急かすな……あ……はあ……」
太く、硬いものに中を抉られる感覚を狂おしい程求めていた。メリルと呼ばれる度にフィロン自身を何度も締め付けて、その度に直に感じるフィロン自身にメリルはまた感じて、大量の蜜を零していく。
「メリル……メリル……おれの、メリル……」
「はい……私は……フィロン様の、ものです……」
「そう、だ……お前は……おれのものだ。おれの……おれだけの……」
「きゃあ!」
譫言のように自分のものだと言い続けるフィロンはどこか不安定で。フィロン、と言いかけたメリルが口にしたのは嬌声だった。中をぐるりと回され、強い抉りにだらしなく唾液を口端から零した。舌で唾液を舐め取ったフィロンに口付けられ、厭らしい舌使いに虜となってしまう。何度も同じ動きをされたメリルの身体は達したのと同時に3度目の愛液を吹き出してしまった。フィロンの腹が濡れた。
途端、溶けていた理性が戻った。泣きそうになるメリルの頬にフィロンが口付けた。
「あ、や……フィロン様……ごめ……なさい……私……」
「これはお前が思っているものじゃない。お前がおれに感じ過ぎているだけだ」
「ほ……本当ですか……」
「嘘を言う必要が何処にある。……集中しろ」
「ああ……!」
今までこんなことはなかった。だから余計、漏らしてしまったと混乱し、羞恥が勝った。フィロンの言う通りならこれは何なのか気になったメリルだが、宣言通り、急に動きが激しくなったフィロンだけしか意識を向けなくなった。
この時間がずっと続けばいいのに……そう願ってしまう自分は、どこまで貪欲で我儘なのだろう。もうフィロンにはイレーネがいる。確かに今日彼女が行った行いは誉められたものじゃないが、好いている男性に他の女がいれば誰だって嫉妬する。メリルがイレーネの立場でも嫉妬する。
(でも……私にはその資格がない。魔力を失った私には……)
魔力を失う前からも、キスはされても、いつも冷たい視線しか貰えなかったので結婚しても冷えきった関係になっていた可能性もある。それでも、フィロンの隣にいる正当な理由が婚約者という立場だけだった。
イレーネが今後どうなるのかメリルには分からない。きっと、その後を知ることは出来ない。知りたがればフィロンの機嫌が悪くなる。フィロンが機嫌を損ねた原因が不明でも、イレーネの名前が出ると不機嫌になるのなら口に出さないでおこう。
「あぁ……ああっ……ん……フィロン様……あっああ……」
中を行き交うフィロン自身の膨らみが増している上、フィロンも余裕のない表情で息が荒い。限界が近い証拠。大きな手が胸を包んだ。激しい律動をされても胸を愛撫する手付きはとても優しい。指で頂を弾かれ、中をきゅんっと締め付けてしまった。苦しげに呻いたフィロンが険しい顔でメリルの耳に顔を埋め、舌で刺激を与えた。
「ひ、あ、ああっああ……! んんっ……!」
「っ……お前の中はとても熱くて……気持ちがいい……はあ……メリル……メリル……」
「ん……!!」
耳元で色気が多分に含まれ、熱い息を掛けられながら囁かれるときゅうきゅう締め付けているフィロン自身を更に締め付けてしまった。行為中、耳を刺激されるのに弱いと知ったフィロンが繋がると余計刺激してくるのはいつものことなのに。
ぶるぶると身体を震わせて達したメリルの中にどろりとした熱が広がった。癖になってしまう気持ちよさに喘ぐ。
豊満な膨らみに顔を埋めているフィロンの髪を撫でたくてもずっと縛られているせいで出来ず。もう解いてほしいとメリルが言うと、しゅるりと戒めは外れた。腕が自由になったメリルはフィロンの頭をそっと抱き締めた。青みがかった銀糸は汗でしっとりと濡れている。
「ひう」
可笑しな声が出たのは、胸に顔を埋めているフィロンに突起を舐められたせい。更に、まだ入れられたままのソレがいつの間にか質量と硬さを取り戻していた。待って、と言う前に背中に腕を回されたメリルは仰向けになったフィロンの上に乗せられた。
「あぁ……!」
初めての体勢と深くなった挿入に背が弓形になった。力なくフィロンの胸元に倒れると上から尻を掴まれ、下から突き上げられた。
「や、待ってください……!」
「言った、だろう。お前が2度と、馬鹿なことを言えないようにしてやると」
「あっああぁ、あ、あ、あ」
魔法の効果はフィロンが消し去るまでずっと続くのだろう。強く突かれる度に軽く絶頂してしまう自分の厭らしい身体に嫌になりながらも、ずっとフィロンに求めてほしくてメリルは望まれるままに快楽に溺れた。
31
お気に入りに追加
977
あなたにおすすめの小説
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
王太子殿下の執着が怖いので、とりあえず寝ます。【完結】
霙アルカ。
恋愛
王太子殿下がところ構わず愛を囁いてくるので困ってます。
辞めてと言っても辞めてくれないので、とりあえず寝ます。
王太子アスランは愛しいルディリアナに執着し、彼女を部屋に閉じ込めるが、アスランには他の女がいて、ルディリアナの心は壊れていく。
8月4日
完結しました。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【完結】夫は私に精霊の泉に身を投げろと言った
冬馬亮
恋愛
クロイセフ王国の王ジョーセフは、妻である正妃アリアドネに「精霊の泉に身を投げろ」と言った。
「そこまで頑なに無実を主張するのなら、精霊王の裁きに身を委ね、己の無実を証明してみせよ」と。
※精霊の泉での罪の判定方法は、魔女狩りで行われていた水審『水に沈めて生きていたら魔女として処刑、死んだら普通の人間とみなす』という逸話をモチーフにしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる