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所有物
しおりを挟むメリルの魔力が失われた――。
丁度、婚約が結ばれて3年が経過した日だった。
有り余る魔力容量を所持していながら魔力操作が下手くそで、毎日家庭教師と魔法の特訓をしていた。今日になって突然魔力が失われたらしい。
当時フィロンが聞かされたのは、メリルの魔力が失われた翌日。
ラウネル公爵家を訪れると戸惑った使用人達が今はメリルに会わせられないとフィロンに帰宅を促すも、この頃から急激に魔力が上昇し始めていたフィロンに一睨みされただけで黙り、メリルがいる私室へと案内された。
部屋の真ん中で静かに泣いていたメリルに近付いたフィロンはこう言い放った。
『魔力が無くなってもお前はおれのものだ』
魔力を失ったメリルはきっと婚約者の座から外される。しかし、他人嫌いのフィロンが唯1人好いている少女。次の令嬢をと探しても見つかる筈がない。
魔力が戻る可能性を視野に入れたのと他人嫌いのフィロンの為に成人を迎えるまでは婚約は継続された。
************
成人を迎えた今、婚約を継続させるのは不可能となった。
フィロンだって理解していた。だが、彼女が自分の傍から離れるのは許せなかった。魔力を失ったメリルに次の嫁ぎ先はない。あっても、後妻かよっぽど問題のある相手くらい。
元高位魔力保持者なだけあり容姿はかなり良い。地味な色合いに入る栗色の髪はメリルの清廉さを表し、青と紫の混じった大きな瞳は幼い顔立ちを引き立たせた。
父であるラウネル公爵が溺愛し、周囲との接触を最小限に抑えていたせいで大変純粋に育った。
異性との免疫も身内を除くとフィロンのみ。が、フィロンを前にすると緊張し過ぎて中々笑顔になれず固まってばかり。常に物腰柔らかい第2王子のネーヴェには、緊張を和らげ接する事が出来るのに。
「ん……で、殿下……」
フィロンの寝室の寝台に寝かされ、彼が覆い被さった時覚悟を決めたのに。メリルは不安で怖かった。あっという間にドレスを脱がされ裸にされた。
恥ずかしげに手の平で胸を隠そうとしても、大きな手に掴まれ開かれてしまう。
「メリル……」
「ん……」
フィロンの顔が近付き、怯えるメリルにキスをする。触れるだけの優しいキス。これだけでメリルの緊張と不安が幾分か消える。
キスをしながら、大きな手がゆっくり胸へ手を伸ばした。脇から掬うようにゆっくりと揉んでいく。
柔らかく、華奢で小柄な体型には似合わず胸だけは大きかった。これがまたメリルを社交界から遠ざけた原因の一つ。悪魔の下卑た視線をメリルに向けられたくない。自分以外の誰かにメリルを見られたくなかった。
「でん、か……」
メリルの声も、存在すら全て自分の物。
周囲がフィロンに見向きもされず、挙げ句、魔力を失ったメリルをどう評価していたかは知っていた。知っていて何もしなかった。周囲の評価が下がれば、メリルを欲しがる者はいない。だが、見目が元々良いせいで良からぬ相手に好意を抱かれているのは見過ごせなかった。そういう相手は大抵フィロンに始末されている。
キスをしながらメリルの胸を愛撫する。大きくて柔らかいそれを優しい力で形を変え、時偶掌に先端が触れると「あっ」とメリルは甘い声を発する。自分でも出した事がない声を出し、一気に恥ずかしさが上昇し顔が真っ赤になった。
両胸を両手で掴んだまま固くなった先端を口に含んだ。
「ああ……」
ピクン、とメリルの身体が震えた。さっきよりも甘さが強くなった声。フィロンの舌は丁寧に胸の飾りを舐め、転がる様に動かし、舐め終わると吸い付いた。
「きゃあ……あ……」
右はフィロンの舌が、左は指で弄られ、どちらもフィロンの愛撫に感じて固くなったまま。声が段々抑えられなくなっているメリルだが、もう1つ気付いている事があった。
フィロンもそれは分かっているのだろう。胸の愛撫を止め、お腹を唇で触れつつ下がった。触れる度にピクピク反応するメリルが可愛くて、臍に口付けを落とすと「きゃっ」と可愛い悲鳴を上げた。
もじもじと太腿を擦り合わせる脚を左右に開いた。違う意味で顔を赤くしたメリルが声を上げようとする前に、フィロンは濡れているそこに顔を埋め表面を下から上へ舐めた。
「ひゃあぁっ」
胸を舐められていた時とは全く異なる快感に全身が震えた。また、侍女にですら見せた事も触らせた事もない場所を舐められて混乱した。
「だめ、だめですっ殿下、そんなとこ、きたな……きゃん!」
「うるさい……ん……」
「ああっ、あぁ……あんん……! 殿下ぁ……!」
「メリル……メリル……」
両膝の裏を掴んで脚を閉ざさないようにし、舐めていると甘い蜜を零す中心を夢中になって啜る。メリルはまだ、完全には魔力が失われていないらしい。蜜に微かに宿る魔力がフィロンの身体に流れ、熱を持たせる。魔力の相性が良いのは幼少期から知っている。
甘い声を上げるしかないメリルだが、言葉の中にフィロンの名前はない。フィロンはメリルと呼んでも、メリルは初めての顔合わせの日以降フィロンの名を呼んだことがないのだ。毎回真っ赤で強張った顔をするだけ。
理由が分からなくてフィロンはその都度苛つき、メリルに対し当たりがきつくなっていった。
「ひゃあっ!」
割れ目の上でぷっくりと膨らむ突起を吸うと更に反応を良くしたメリル。一旦顔を上げて、指で突起に触れた。ぴくぴく反応する。
「で、殿下ぁ……!」
「どうした、気持ちいいのか?」
「分かり、ませんっ、でも、ああっ!」
初めての快楽が怖くて青と紫の混じった瞳から止まらない雫が流れ落ちる。突起を親指で潰すと甲高い声を発して腰を浮かせた。荒く呼吸を繰り返すメリルにフィロンは意地の悪い笑みで問う。
「メリル」
「はあ……はあ……は、い……」
「どれがいい?」
「え……」
何を指しての質問か分からないメリルが意味を問おうとすると、また間に顔を埋めた。メリルが声を発する前にフィロンは突起を舐めた。
「ああっああぁ」
「んう……」
「ひ、ああぁっ、だめぇ、舐めちゃっだめぇ」
「なら……これがいいのか?」
「きゃああぁ……!」
舐めるのを止めて指で弄り出した。人差し指で擦られてもメリルの甘い悲鳴は止まらない。ひくひくと動くそこからは大量の蜜を溢れさせていた。
「どっちがいいんだ? 答えろ、メリル」
「分か、りませんっ! わかり、ああぁ」
初めてなのに気遣いのない快楽を与えられて思考回路が正常に機能する筈がない。フィロンの指が突起弄りから、ひくひくと動く中心に入った。途端に身体を強張らせたメリルの為に、もう片方の手で突起を弄った。
指1本を食い千切らんばかりに締め付けてくる。メリルの為に解さないといけない。かなり濡れてすんなりと入ったがメリルは辛そうに顔を歪めていた。
「痛いか?」
半分しか入っていないがメリルはフィロンに首を縦に振るしか出来なかった。
指を入れていない手で閉じようとする脚を開かせ、間に顔を埋めたフィロンは突起を口に含んだ。吸って、舐めてを繰り返しながら指で中をゆっくりと解していく。
段々とメリルも身体から力を抜き始めた。メリルへ目を向けると、苦痛に歪んでいた表情はまた快楽に染まり始めていた。
そろそろいいか、とフィロンは指を抜いて顔を上げた。
「で……か……」
シーツに乱れる栗色の髪、真っ赤に染まった顔、涙で濡れた青紫の瞳、華奢な身体には似合わない豊満な膨らみ、無駄肉のない括れ、ミルク色の肌。
全部、全部フィロンのもの。
「メリル……お前がおれの側を離れるのは許さない」
――身体や心は勿論。魔力さえもメリルの全てはフィロンのもの。
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