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転換された好意1
しおりを挟む2人、影を重ねて帰って行くシェリとミエーレの後ろ姿が眩しい。
ずっと想いを寄せていた女性アデリッサと結ばれ、やっと本音を言えるようになれたレーヴの心中は穏やかじゃない。
シェリはずっとアデリッサに嫌がらせをしていた。それは、レーヴに想いを寄せているから。しかし、一目見てアデリッサを好きになったレーヴが涌いて出たシェリを好きにならず。また、嫌がらせの件もあり益々嫌いになった。個人の好き嫌いで相手は選べないからと、最低限の関わりしか持とうとしなかった。
なのに――
『第2王子殿下。いくらあなたでも、婚約者でもない令嬢を名前で呼ばないでいただけますか?』
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呆然とシェリとミエーレの後ろ姿を見続けていると、たおやかなアデリッサの声が現実に引き戻した。
「どうしたのですか……?」
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シェリ。シェリ。シェリ。シェリ。シェリ……
アデリッサと結ばれ、幸せなのに……シェリに他人行儀な振る舞いをされ、ミエーレと仲の良い光景を見て。
レーヴは幸福から不幸へ転がっていく……。
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