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パーティーも近い2

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 パーティー、という単語がヒントに思えるが。


「ミルティー様のドレスが用意出来ていないから……な訳ないわね。確かお父様が【聖女】お披露目の意味を兼ねているから、ミルティー様のドレスは王家側から用意されるって言ってたわね」


 装飾品の問題? なら、ラビラント伯爵家が用意していない訳がないがドレスだけ用意する王家じゃない。

 エスコートの問題? 正式発表があるまでは内密なのでエスコート出来ないことを……と考えるが2日前になって発覚する問題じゃない。

 残るは何か……あ、とシェリは大事な問題を思い出す。


「わたしのエスコート……?」


 デビュタントを終え、定期的に参加するパーティーでは必ずレーヴが迎えに来てシェリをエスコートしてくれた。

 嫌われていると自覚していながらも、婚約者だから嫌々でもエスコートをしてくれるレーヴが大好きだった。

 レーヴは律儀な男性だ。嫌っている相手に対しても、定期訪問にも遅れず休まず、贈り物や誕生日プレゼントも欠かさない。……会話だけは一切無くても。

 常に不機嫌な顔を見せられ続けても、そういった場面があるから諦めれらなかった。

 シェリは過去の思い出を払うように頭を振った。


「もう殿下はミルティー様の婚約者よ。わたしじゃない。考えを元に戻さないと」


 今大事なのは、レーヴが何に必死になっているか、だ。

 婚約解消が正式発表されるまでは婚約者の役目を果たす為にシェリを探してエスコートのことで話があるのかもしれない。


「……自分に都合の良いように考え過ぎね」


 止めよう、止めよう。

 シェリは図書室へ再度足を進めた。


 室内に入ると司書が受付にいて、利用している生徒はちらほらといる。

 シェリはカウンターまで行き、目的の本が返却されているか尋ねた。

 まだ返却されておらず、期限は2日後になっていると教えられた。来週に期待しようと些かしょんぼりと落ち込みつつ、時間潰しとして室内を歩くことにした。

 最新の書物から古い物まで、幅広いジャンルを扱うクロレンス王立学院の図書室の広さは王城内になる書庫室と負けていない。

 広すぎて本を探すだけで時間がかかる上、稀に迷子になることも。

 壁に案内図が貼られている為、大抵はそれを見て本を探す。

 ジャンルもなく、かといって特定の本は未だ返却されておらず、人の少なさを言い訳にシェリは本棚に並ぶタイトルを流し読みしていった。

 レーヴはちゃんとミルティーを見つけられただろうか。

 ズキリと痛む胸を手で抑え、力強く握り締めた。


「パーティーまで後2日か……。お父様にエスコートをお願いしないと」


 一頻り室内を歩いたシェリは何も借りず、図書室を出て外に出た。

 待たせていた馬車に乗り込み帰路につくのだった。

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