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第七話 謁見の間で就活
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窓から差し込む優しい月明かりの中ショウは目が覚める。
あーベッドに倒れこむと同時に落ちたのか、濃い一日だったからなーと思いながらゆっくり目を開けると天使がいた。
……知らない天……天……天使?!天井言わせろ!
どこぞの天使が降りてきたかと思ったらルーか
……あー異世界に来ちゃったんだったなー、マジだったのかー改めて実感。
ルーがベッドの端に腰掛け上半身だけを、こちらに向けながら覗き込むような形で優しく話かけてくれる。
「起こした?ショウの寝顔、思ったより可愛かった。」
さらさらっと落ちる艶やかな長い銀髪を耳にかける仕草にゴクリと喉を鳴らし、なんとか声を出す。
「お、おはよう!あ、ずっと夜だけどおはようで合ってる?」
「合ってる。リールモルトの夜は明けないけど今は朝8時。」
この世界にも時間の概念があるのか、一日何時間なんだろう?
「一日って何時間?一年は何日あるの?」
「一日24時間。一年は700日」
一年なっが!地球とはえらい違いだなぁっと驚いているとドアの方から聞きなれない女性の声が聞こえてきた。
「ルーメリア様そろそろお時間でございます。」
ドアの側に姿勢よく立っていたのは、背はルーと同じ位で歳は28歳程、髪をタイトにアップにしている少しきつめの顔立ちの美人だった。
「うん、わがまま聞いてくれてありがとうイレスティ。」
「本来であればルーメリア様自ら迎えに行くなど……」
「私が迎えに行くって約束したから。」
「はぁ……もう慣れましたからいいですよ。」
イレスティと呼ばれた女性が溜息と共に肩を落としてから、ベットの近くまで歩いてくる。無駄のない洗練された動きだった。
「初めましてショウ様。わたくしはルーメリア様の専属侍女のイレスティと申します。以後お見知りおきを。」
侍女ってことはメイドさんだよなぁ……メイドさんなんだよなぁ……メイドさんなのに……なんでメイド服じゃないんだよぉ?!ただの黒のゆったりしたワンピースってそりゃないよ!メイド服は異世界では大事なの!必要なの!!邪神と同じぐらい定番なの!俺が絶対にメイド服革命を起こす!これ決定事項な!
「申し訳ないですがベットから降りて準備をしてくださいませ。湯浴みの準備は店主に申し付けておりますので。」
ハキハキとした物言いにどこかシャキッとしないといけない気にさせられる。
この人絶対二度寝してたら布団強引に引っぺがすタイプだわ。
「わ、わかりました!それで支度してからどこに行くのでしょうか?」
「城です。」
「え?」
「ですから、城です。こちらのルーメリア・レネ・リールモルト様はこの国の第一王女なので当然です。」
「はいはい嘘乙!」
「ショウ様は記憶喪失とルーメリア様からお聞きましたが、ルーメリア様が王女だと気付いたのですよね?」
俺はルーの方に目をやるとこちらを見つめながらルーが口を開く。
「ショウは私に向かってお姫様と言った。」
「ははは、俺がそんな事……」
『了解、ご案内願いしますねお姫様?』
『え、ええ!それじゃあ行きましょうナイト様』
…………………………めっちゃ言ってるぅぅうう!!!ただのネタだったのにガチもんのお姫様だった!!だからお姫様って言った時ちょっとぎこちなかったのか!そしてあの城の裏庭に出た抜け道は非常時とかに王族が使うあれか、国名言ってたなそういえば。やべー超馴れ馴れしく接してたわー。何回不敬罪で処されるの?
「言ってますね……」
「私が何者でも関係ないとも言ってくれた」
少し照れながらルーがいう。不敬罪どんとこいや!
「……それは流石に……」
『やっぱり全部バレてるよね、それでも私は私だから。今の私が私だから』
『ルーが何者でも関係ないよ、それにああいう秘め事なら大歓迎だよ』
…………………………こっちも言っちゃってるぅぅうう?!ルーは自分がお姫様とか関係なくこれが自分だから立場は気にしないで欲しいってのを伝えてたのか!俺はあの時のエロイ私は本当の私じゃないから忘れてって事だと思ってた……
「言ったねぇ~ははは」
乾いた笑いが自然と出る
「オホン。とーにーかーくー。準備をお願いします。国王様の前に出るのですから身だしなみはある程度整えて下さい。」
そういい終わると俺の手を掴んで引っ張り起こしドアの外に放り出した。
「どうしようこれ……」
ささっと風呂で体を綺麗にして、濡れた髪は風+火の通称魔法ドライヤーで乾かし急いで部屋に戻る。
「準備できたようですね、それでは表に馬車を用意してますからそれで城まで行きますよ」
馬車にしばらく揺られていると城の前に着いた。
「来ちゃった。」
いやこれ女の子が突然家に来て言うやつ!あざと可愛いやつ!
「ショウ、何言ってるの?」
やや釣り上がった綺麗な大きな赤い目で心配そうに俺を見る。
「あーごめん緊張しちゃって……」
「今日は状況説明をして欲しいだけと国王陛下もおっしゃってましたからそんなに固くならなくてもいいと思いますよ。」
悪戯に笑う彼女の笑顔に悪意を感じるのは気のせいだろうか?
「では参りましょう、ルーメリア様はお着替えがありますので少し後で向かいますので私が謁見の間までご案内致します。」
「じゃあショウ……がんばって……」
何を?!
一抹の不安を胸に城の中へと入ると、そこは高い天井に、顔を近づけると映りそうな位綺麗な床。窓から月明かりが差しこむ月光と優しい照明が城全体の雰囲気を柔らかくしている。ヴァンパイアの城って言うからにはもっとまがまがしい物だと思ってたけど、これは綺麗だなぁ。
「このドアの向こうで国王様でお待ちです。」
きょろきょろと周りと見ていると着いたらしい。
ふぅー深呼吸してドアを大きな両開きのドアを開けると真っ赤な絨毯の伸びた先、何段か高い位置ある王座に座る銀髪の超絶イケメン!30代半ばと思われる男性がいた。うんこの人がルーのパパんだわ!王様怖い!右側には金髪の30代程の色っぽい女性女性。その隣には11歳位の銀髪の可愛い女の子、あーあれが腸ぶちまけたルーの妹かな?超可愛い!幼女とは恋するものでは愛でる物なり!
左側にいる王様に似た面影がある20代前半位の銀髪超絶イケメンは……おそらくルーの兄かな?
下の段に居る身なりのいい人たちは貴族かな?そんなことを考えながら王の前まで歩いていくと、少し離れた場所で貴族であろう男からそこで良いと止められる。
「私がこの国の国王、レビルダ・アル・リールモルトだ。お前がショウで相違ないな?」
うわーガチの王様だ!威厳半端ねぇ!
「ハイ、ワタシガショウイイマス」
周りの貴族であろう人がざわつく。やっべ何か間違えたか?
「ほう、私の【威圧】にも屈しないか。ルーの言ったことは本当だったな」
ん?ルーも言ってたけど威圧ってなんぞ?そりゃ王様の威圧かんぱねぇけど関心されるほどか?
ザワザワと貴族達が話していると
「よい、そして静かにせよ!昨夜は娘を助けてくれたそうだな、先ず例を言おう。それでは昨日あった事を教えてくれんか?」
王の威厳半端ねぇ!一瞬で静まり返った!
そう静まった終わった所でルーが入ってきて俺の隣に来てくれる。心強い。
「お父様、遅くなって申し訳ありません。」
長い髪をアップに整え、昨日のワンピースではなくお姫様らしく白いドレスを着ている。綺麗だぁ
「よい、ショウとやら、話せ」
「はい、それでは……」
そういって昨日あった事をかいつまんで話した。
「そうか、ではやはりブラッティーウルフで間違いないか、そうなると少々面倒だな。宰相!」
「はっ!」
白く長いひげを生やした老人が前に出て跪いた。
あ?!あの時跪かなったからざわついたのか!
「早急に東の森との対策を考えよ。」
「はっ!早急に!」
「うむ、下がってよい。」
宰相は返事をして下がった
「つくづく不思議だなお前は、あの場所は本来人間が一人でいるような場所ではない。それにルーが弱らせたとはいえブラッティーウルフに止めを刺すとは……それでショウ、お前はこれからどうする?褒美は何か取らせるが、聞くところによると記憶がないのだろう?」
「はい、私は記憶がありません、魔術の使い方は体が覚えているようなのですが、戦い方などはまるでわかりません。私はヴァンパイではありませんのでおそらく外の人間でしょう、いずれ自分の記憶を取り戻す旅に出る為にも一先ずは戦い方を学びたいと思います。」
「ほぉ、それで褒美にルーのナイトとな。」
ん?ルーのナイト?なんぞ?
「ナイトとは姫を守る物ですよね?」
「そうだ姫を守る者だ。……貴様、わかっていたな?」
ん?
「はいわかっておりました。」
そりゃナイトって騎士でしょ?それぐらい知ってるわ!
「ふん、全てお前の計画通りという事か、食えん奴だ。」
「おとーさま、おとーさまどういう事?」
あらキャワ!ルーの妹が話に割って入ってきた。
「こいつはこうなる事を予見していたのだ、こいつの希望は戦い方を学ぶこと。冒険者になる手もあるが誰かが教えてくれるわけではない、そして何よりも危険だ。そこでルーのナイトという訳だ。ある程度の安全や生活を保障されながら戦い方を学べるからな!」
えええええええええええ?!ちゃうちゃうちゃう!!そんなんちゃう!!!あなたのナイトとかただのギャグだからネタだから!
「でもおとーさま、そんな簡単におねーさまのナイトになれるのですか?昨日急に現れたただの人間ですよ?」
「そう、助けた褒美にはちと弱いな、だがこいつの恐ろしい所は他の者も巻き込んだということだ。今国中に広まりつつある噂を知っているか?」
「シルメはわかりません。教えて下さいおとーさま」
「うむ、それはこの男とルーが結婚する、だけではなくもう男女の一線を越えてしまっているという噂だ。」
何それ?!なんで?!どこで何がどうそうなった?!
「おねーさまその人と結婚するの?じゃあシルメのおにーさま?」
「シ、シルメ様!俺何かがおにーさまなんて……」
「じゃあおにーさまじゃないの?」
ルーと同じ赤い瞳をうるうるさせながら唇に人差し指を当て少し残念そうな顔で首をかしげるシルメ様。
ハイッ!俺がおにーさまですよ!あまりの可愛さに手の平を高速で返す。
「話を戻すぞ、やれ仕立て屋で仲睦まじそうにデートの約束をした、やれ食堂で一緒に故郷に来てくれとプロポーズしルーもOKした、やれ宿屋で男女の秘め事を済ませた様な発言、それに仮にも王女であるルーの頭を撫でたらしいではないか。昨日の今日なのに国中そこらかしこでルーの結婚を祝して飲み散らかしておる。」
………………全部心当たりがありすぎるーー!!!何故店員の様子がおかしかったのか今理解したわ!!頭の中で全てが繋がった俺は顔以外の場所から大量に汗が噴き出ていた。汗が手からしたたり落ちそうである。
「そして極めつけは……貴様首を出せ」
え?打ち首獄門?異世界ライフ二日目にして終了のお知らせ。
泣きそうになりながらローブを引っ張り首を出す。
すると周りが一気にザワついた。
「みな見よ。こやつはルーに首を噛まれておる。」
「ルーメリア様があの男の首を?」「何ということだ!」「何で俺じゃないんだ!」「あんな人間風情にルーメリア様が?!」「あの男が強引に噛ませたに違いない!断罪しろ!」
至る所から声が上がりわけがわからず唖然としていると王様がしびれを切らし怒鳴る
「お前たち静かにしろ!これはルー本人が望んでつけたと聞いている。そうだなルー?」
ルーが頬を赤く染め無言で頷く。その瞬間何人かの貴族がぎりぎりと歯を食いしばっているのがわかる。
「我々バンパイアにとって首を噛むというのは親愛の証だ。そんなルーに噛まれた証を持った男を国がないがしろにしてみろ、国民からの人気も絶大なルーだクーデターすらありうる。結婚はまぁ無理だな、あまりに身分が違いすぎる。親愛の証を持つものを側に置いとかないと国民がうるさい、それで丁度いいポジションというのがナイトだ。常に側にいるしな。こちらの落としどころも作り、国中に噂も広め周りを固めて断れない状況を作る。それがお前の筋書きだろ?全くとんでもない男だよ貴様は」
全然違いますけどぉぉぉおおおお?!?!ビビってるのバレたくなくてナイトとかかっこつけて、ちょっと仲良くなった女の子と初めてのイチャラブしただけなんですけどぉぉぉおおお?!どうしてこうなった?!っていうかルー!!首が親愛の証とか聞いてねぇぞ!だから首って言うのを戸惑ってのか!
「まぁよい、実際ルーにはナイトがいない。何故かわかるか?」
「いいえ」
「ヴァンパイアの持つ魅了の力は目を通して使われるが、我々王族はその力が他のヴァンパイアよりも強い。その中でもルーは特別だ。制御しきれておらん。目を合わせただけで誰しも魅了されてしまうのだ、ここにいる者達も我々血を分けた家族以外は魅了されてしまうのだよ」
だからルーは目を見て話すのが当たり前と言った時驚いたんだ、目を綺麗と言った時あんなに嬉しそうだったんだ。王女という立場が……制御できない魅了の力が……相手が魅了されるから一人の人としてしっかり向き合う事も出来ない。近づいてくるのはルーの美貌目当てで心なんて気にしちゃいない。寂しいのを隠して人と関わらないようにしてきたんだろうなぁ、なくなるのは辛いから……それならいっそ一人で……つくづく俺と似てるな……
「貴様にはそのルーの魅了が効かないらしいな、そういった意味でも確かにナイトに向いているといえる」
「ですが国王陛下!そんな得体のしれない男を国にとどまらせるなんて反対です!」
突然眼鏡をかけブロンドの髪をぴっちりセンターで分けた貴族が声を荒げる。さっき悔しがってた貴族の一人だ。
「私も反対です、国王陛下!怪しい事この上ない!」「私も反対ですぞ!」「そんなやつがやれるのなら私でも出来ます!陛下!どうかご一考を!」
次々貴族共が声を荒げる。
はぁなんだこいつら?!こいつらルーの見てくれと権力とかしか見てない野郎だろ!お前らに本当は一人で居たくないのに自分を守る為に一人でいる気持ちわかんのか?!少しでもルーの心に踏み込もうとしたのか?!踏み込めば笑ってくれるのに、お前らはそれすらしようとしない。貴様らごときではあの笑顔は守れん!
「国王陛下!」
「なんだ貴様!今我々が話しているだろう!」
「よい、話せ。」
国王の勘違いだけど乗ってやるよ!こんなやつらには任せられん!覚悟はもう決めた!
「ルーメリア様のナイトは私しか務まらないと思います。そちらにいる方々ではいざという時、ルーメリア様に魅了されてしまうのではないでしょうか?普段目を合わせなければ問題ないかもしれせんが、それが戦闘時ふとした際に目が合った場合身を賭して守り切れますか?私なら問題ありません。それに国民にはどう説明なさるのでしょうか?国民は恐れ多いですがルーメリア様と私が結婚すると思っています、ここで親愛の証を持つ私を無下に扱う事は得策とは思えません。そこでナイトなのです。常に側にいるとなれば問題ないでしょう。それにもし私がルーメリア様のナイトになれないとすると……私も次の手に出なければなりません。それは必ずしもお互いに利益があるとは言えないのです。なのでここで手を打つのがいいのではないでしょうか?」
言ったった!言ったったぞ!噛まずに言えた俺偉い!だがただのブラフ!頼む!押し切らせて!
国王は顎にしばらく手を当て考える。
「良いだろう。これ以上貴様に国をかき乱されてはたまらん。現状何か被害を受けているわけでもないし、ルーのナイトは長らく求めていたものでもある。いい落としどころだろう。異論は認めん」
よっしゃー!就活成功!即採用!住み込み飯付き美人付き!!!日本の企業が倒れる好待遇だろ!特に美人付きのとこな!思わずニヤついてしまう。
騒いでいた貴族達が手から血が出そうな力で拳を握りニヤついた俺の顔を睨みつける。
「はい、お任せください。全力で務めさせて頂きます。」
「うむ、ではもうよい下がれ」
一度頭を下げ、謁見の間を後にする足はひどく震えていた。
両開きの扉を出て大きなため息をつくと、肩に誰かの手が乗せられる
「お疲れさまでした。」
「イレスティさん、驚かせないでくださいよ。」
「それは失礼いたしました。それにしても……思ったよりもしっかりしているのですね」
「き、聞いてたんですか?」
「さぁどうでしょうか?」
彼女は舌を出し悪戯っぽく笑う。意外とお茶目なんだなぁ
そんな雑談をしているとルーが出て来て目が合うとクスクスと笑う。
「何でそんなに笑うんだよ!ルーのナイトになりたいっていうのは本当だぞ!」
「それはわかってる。これからも一緒にいれるのは嬉しい。だけどショウとお父様とのやり取りが面白くて、ふふっ」
「割とまともだったと思うんですが?」
「私だけは……全部わかってるから。」
それだけで全て伝わった。俺が大した男じゃないのも、ルーのお父さんが勘違いしてるって事もルーはわかってくれてるんだよな、そんな自分でも受け入れて貰えると思ったら凄く嬉しいな。
「ははは、やっぱりルーにはバレてたか」
「私とショウは似てるから」
「そうだね、俺もルーの事なら全部わかる気がするよ。」
「そう、じゃあ今の私の事もわかる?」
「んーそろそろお昼だしごお腹すいたとか思ってる?」
「全然違う。私今嬉しくて嬉しくて嬉しいんだよ!」
「……知ってた。流石にそんな可愛い顔みたらわかるよ!」
「私もショウがからかってるの知ってた。」
二人でニコニコしながら知らず知らずの内に、あまーい空気をまき散らす。
「な、な、なんですかこの甘ったるい雰囲気は!虫歯になりそうです!私がいるのをお忘れですかお二人共?」
「そういえばショウ伝言があるんだけど」
「無視?!」
伝言を聞いた俺は顔を真っ青にしながら城全体に響き位大きな声で叫んだ
「なんだってーーーーーーーーーーーーーーー?!」
あーベッドに倒れこむと同時に落ちたのか、濃い一日だったからなーと思いながらゆっくり目を開けると天使がいた。
……知らない天……天……天使?!天井言わせろ!
どこぞの天使が降りてきたかと思ったらルーか
……あー異世界に来ちゃったんだったなー、マジだったのかー改めて実感。
ルーがベッドの端に腰掛け上半身だけを、こちらに向けながら覗き込むような形で優しく話かけてくれる。
「起こした?ショウの寝顔、思ったより可愛かった。」
さらさらっと落ちる艶やかな長い銀髪を耳にかける仕草にゴクリと喉を鳴らし、なんとか声を出す。
「お、おはよう!あ、ずっと夜だけどおはようで合ってる?」
「合ってる。リールモルトの夜は明けないけど今は朝8時。」
この世界にも時間の概念があるのか、一日何時間なんだろう?
「一日って何時間?一年は何日あるの?」
「一日24時間。一年は700日」
一年なっが!地球とはえらい違いだなぁっと驚いているとドアの方から聞きなれない女性の声が聞こえてきた。
「ルーメリア様そろそろお時間でございます。」
ドアの側に姿勢よく立っていたのは、背はルーと同じ位で歳は28歳程、髪をタイトにアップにしている少しきつめの顔立ちの美人だった。
「うん、わがまま聞いてくれてありがとうイレスティ。」
「本来であればルーメリア様自ら迎えに行くなど……」
「私が迎えに行くって約束したから。」
「はぁ……もう慣れましたからいいですよ。」
イレスティと呼ばれた女性が溜息と共に肩を落としてから、ベットの近くまで歩いてくる。無駄のない洗練された動きだった。
「初めましてショウ様。わたくしはルーメリア様の専属侍女のイレスティと申します。以後お見知りおきを。」
侍女ってことはメイドさんだよなぁ……メイドさんなんだよなぁ……メイドさんなのに……なんでメイド服じゃないんだよぉ?!ただの黒のゆったりしたワンピースってそりゃないよ!メイド服は異世界では大事なの!必要なの!!邪神と同じぐらい定番なの!俺が絶対にメイド服革命を起こす!これ決定事項な!
「申し訳ないですがベットから降りて準備をしてくださいませ。湯浴みの準備は店主に申し付けておりますので。」
ハキハキとした物言いにどこかシャキッとしないといけない気にさせられる。
この人絶対二度寝してたら布団強引に引っぺがすタイプだわ。
「わ、わかりました!それで支度してからどこに行くのでしょうか?」
「城です。」
「え?」
「ですから、城です。こちらのルーメリア・レネ・リールモルト様はこの国の第一王女なので当然です。」
「はいはい嘘乙!」
「ショウ様は記憶喪失とルーメリア様からお聞きましたが、ルーメリア様が王女だと気付いたのですよね?」
俺はルーの方に目をやるとこちらを見つめながらルーが口を開く。
「ショウは私に向かってお姫様と言った。」
「ははは、俺がそんな事……」
『了解、ご案内願いしますねお姫様?』
『え、ええ!それじゃあ行きましょうナイト様』
…………………………めっちゃ言ってるぅぅうう!!!ただのネタだったのにガチもんのお姫様だった!!だからお姫様って言った時ちょっとぎこちなかったのか!そしてあの城の裏庭に出た抜け道は非常時とかに王族が使うあれか、国名言ってたなそういえば。やべー超馴れ馴れしく接してたわー。何回不敬罪で処されるの?
「言ってますね……」
「私が何者でも関係ないとも言ってくれた」
少し照れながらルーがいう。不敬罪どんとこいや!
「……それは流石に……」
『やっぱり全部バレてるよね、それでも私は私だから。今の私が私だから』
『ルーが何者でも関係ないよ、それにああいう秘め事なら大歓迎だよ』
…………………………こっちも言っちゃってるぅぅうう?!ルーは自分がお姫様とか関係なくこれが自分だから立場は気にしないで欲しいってのを伝えてたのか!俺はあの時のエロイ私は本当の私じゃないから忘れてって事だと思ってた……
「言ったねぇ~ははは」
乾いた笑いが自然と出る
「オホン。とーにーかーくー。準備をお願いします。国王様の前に出るのですから身だしなみはある程度整えて下さい。」
そういい終わると俺の手を掴んで引っ張り起こしドアの外に放り出した。
「どうしようこれ……」
ささっと風呂で体を綺麗にして、濡れた髪は風+火の通称魔法ドライヤーで乾かし急いで部屋に戻る。
「準備できたようですね、それでは表に馬車を用意してますからそれで城まで行きますよ」
馬車にしばらく揺られていると城の前に着いた。
「来ちゃった。」
いやこれ女の子が突然家に来て言うやつ!あざと可愛いやつ!
「ショウ、何言ってるの?」
やや釣り上がった綺麗な大きな赤い目で心配そうに俺を見る。
「あーごめん緊張しちゃって……」
「今日は状況説明をして欲しいだけと国王陛下もおっしゃってましたからそんなに固くならなくてもいいと思いますよ。」
悪戯に笑う彼女の笑顔に悪意を感じるのは気のせいだろうか?
「では参りましょう、ルーメリア様はお着替えがありますので少し後で向かいますので私が謁見の間までご案内致します。」
「じゃあショウ……がんばって……」
何を?!
一抹の不安を胸に城の中へと入ると、そこは高い天井に、顔を近づけると映りそうな位綺麗な床。窓から月明かりが差しこむ月光と優しい照明が城全体の雰囲気を柔らかくしている。ヴァンパイアの城って言うからにはもっとまがまがしい物だと思ってたけど、これは綺麗だなぁ。
「このドアの向こうで国王様でお待ちです。」
きょろきょろと周りと見ていると着いたらしい。
ふぅー深呼吸してドアを大きな両開きのドアを開けると真っ赤な絨毯の伸びた先、何段か高い位置ある王座に座る銀髪の超絶イケメン!30代半ばと思われる男性がいた。うんこの人がルーのパパんだわ!王様怖い!右側には金髪の30代程の色っぽい女性女性。その隣には11歳位の銀髪の可愛い女の子、あーあれが腸ぶちまけたルーの妹かな?超可愛い!幼女とは恋するものでは愛でる物なり!
左側にいる王様に似た面影がある20代前半位の銀髪超絶イケメンは……おそらくルーの兄かな?
下の段に居る身なりのいい人たちは貴族かな?そんなことを考えながら王の前まで歩いていくと、少し離れた場所で貴族であろう男からそこで良いと止められる。
「私がこの国の国王、レビルダ・アル・リールモルトだ。お前がショウで相違ないな?」
うわーガチの王様だ!威厳半端ねぇ!
「ハイ、ワタシガショウイイマス」
周りの貴族であろう人がざわつく。やっべ何か間違えたか?
「ほう、私の【威圧】にも屈しないか。ルーの言ったことは本当だったな」
ん?ルーも言ってたけど威圧ってなんぞ?そりゃ王様の威圧かんぱねぇけど関心されるほどか?
ザワザワと貴族達が話していると
「よい、そして静かにせよ!昨夜は娘を助けてくれたそうだな、先ず例を言おう。それでは昨日あった事を教えてくれんか?」
王の威厳半端ねぇ!一瞬で静まり返った!
そう静まった終わった所でルーが入ってきて俺の隣に来てくれる。心強い。
「お父様、遅くなって申し訳ありません。」
長い髪をアップに整え、昨日のワンピースではなくお姫様らしく白いドレスを着ている。綺麗だぁ
「よい、ショウとやら、話せ」
「はい、それでは……」
そういって昨日あった事をかいつまんで話した。
「そうか、ではやはりブラッティーウルフで間違いないか、そうなると少々面倒だな。宰相!」
「はっ!」
白く長いひげを生やした老人が前に出て跪いた。
あ?!あの時跪かなったからざわついたのか!
「早急に東の森との対策を考えよ。」
「はっ!早急に!」
「うむ、下がってよい。」
宰相は返事をして下がった
「つくづく不思議だなお前は、あの場所は本来人間が一人でいるような場所ではない。それにルーが弱らせたとはいえブラッティーウルフに止めを刺すとは……それでショウ、お前はこれからどうする?褒美は何か取らせるが、聞くところによると記憶がないのだろう?」
「はい、私は記憶がありません、魔術の使い方は体が覚えているようなのですが、戦い方などはまるでわかりません。私はヴァンパイではありませんのでおそらく外の人間でしょう、いずれ自分の記憶を取り戻す旅に出る為にも一先ずは戦い方を学びたいと思います。」
「ほぉ、それで褒美にルーのナイトとな。」
ん?ルーのナイト?なんぞ?
「ナイトとは姫を守る物ですよね?」
「そうだ姫を守る者だ。……貴様、わかっていたな?」
ん?
「はいわかっておりました。」
そりゃナイトって騎士でしょ?それぐらい知ってるわ!
「ふん、全てお前の計画通りという事か、食えん奴だ。」
「おとーさま、おとーさまどういう事?」
あらキャワ!ルーの妹が話に割って入ってきた。
「こいつはこうなる事を予見していたのだ、こいつの希望は戦い方を学ぶこと。冒険者になる手もあるが誰かが教えてくれるわけではない、そして何よりも危険だ。そこでルーのナイトという訳だ。ある程度の安全や生活を保障されながら戦い方を学べるからな!」
えええええええええええ?!ちゃうちゃうちゃう!!そんなんちゃう!!!あなたのナイトとかただのギャグだからネタだから!
「でもおとーさま、そんな簡単におねーさまのナイトになれるのですか?昨日急に現れたただの人間ですよ?」
「そう、助けた褒美にはちと弱いな、だがこいつの恐ろしい所は他の者も巻き込んだということだ。今国中に広まりつつある噂を知っているか?」
「シルメはわかりません。教えて下さいおとーさま」
「うむ、それはこの男とルーが結婚する、だけではなくもう男女の一線を越えてしまっているという噂だ。」
何それ?!なんで?!どこで何がどうそうなった?!
「おねーさまその人と結婚するの?じゃあシルメのおにーさま?」
「シ、シルメ様!俺何かがおにーさまなんて……」
「じゃあおにーさまじゃないの?」
ルーと同じ赤い瞳をうるうるさせながら唇に人差し指を当て少し残念そうな顔で首をかしげるシルメ様。
ハイッ!俺がおにーさまですよ!あまりの可愛さに手の平を高速で返す。
「話を戻すぞ、やれ仕立て屋で仲睦まじそうにデートの約束をした、やれ食堂で一緒に故郷に来てくれとプロポーズしルーもOKした、やれ宿屋で男女の秘め事を済ませた様な発言、それに仮にも王女であるルーの頭を撫でたらしいではないか。昨日の今日なのに国中そこらかしこでルーの結婚を祝して飲み散らかしておる。」
………………全部心当たりがありすぎるーー!!!何故店員の様子がおかしかったのか今理解したわ!!頭の中で全てが繋がった俺は顔以外の場所から大量に汗が噴き出ていた。汗が手からしたたり落ちそうである。
「そして極めつけは……貴様首を出せ」
え?打ち首獄門?異世界ライフ二日目にして終了のお知らせ。
泣きそうになりながらローブを引っ張り首を出す。
すると周りが一気にザワついた。
「みな見よ。こやつはルーに首を噛まれておる。」
「ルーメリア様があの男の首を?」「何ということだ!」「何で俺じゃないんだ!」「あんな人間風情にルーメリア様が?!」「あの男が強引に噛ませたに違いない!断罪しろ!」
至る所から声が上がりわけがわからず唖然としていると王様がしびれを切らし怒鳴る
「お前たち静かにしろ!これはルー本人が望んでつけたと聞いている。そうだなルー?」
ルーが頬を赤く染め無言で頷く。その瞬間何人かの貴族がぎりぎりと歯を食いしばっているのがわかる。
「我々バンパイアにとって首を噛むというのは親愛の証だ。そんなルーに噛まれた証を持った男を国がないがしろにしてみろ、国民からの人気も絶大なルーだクーデターすらありうる。結婚はまぁ無理だな、あまりに身分が違いすぎる。親愛の証を持つものを側に置いとかないと国民がうるさい、それで丁度いいポジションというのがナイトだ。常に側にいるしな。こちらの落としどころも作り、国中に噂も広め周りを固めて断れない状況を作る。それがお前の筋書きだろ?全くとんでもない男だよ貴様は」
全然違いますけどぉぉぉおおおお?!?!ビビってるのバレたくなくてナイトとかかっこつけて、ちょっと仲良くなった女の子と初めてのイチャラブしただけなんですけどぉぉぉおおお?!どうしてこうなった?!っていうかルー!!首が親愛の証とか聞いてねぇぞ!だから首って言うのを戸惑ってのか!
「まぁよい、実際ルーにはナイトがいない。何故かわかるか?」
「いいえ」
「ヴァンパイアの持つ魅了の力は目を通して使われるが、我々王族はその力が他のヴァンパイアよりも強い。その中でもルーは特別だ。制御しきれておらん。目を合わせただけで誰しも魅了されてしまうのだ、ここにいる者達も我々血を分けた家族以外は魅了されてしまうのだよ」
だからルーは目を見て話すのが当たり前と言った時驚いたんだ、目を綺麗と言った時あんなに嬉しそうだったんだ。王女という立場が……制御できない魅了の力が……相手が魅了されるから一人の人としてしっかり向き合う事も出来ない。近づいてくるのはルーの美貌目当てで心なんて気にしちゃいない。寂しいのを隠して人と関わらないようにしてきたんだろうなぁ、なくなるのは辛いから……それならいっそ一人で……つくづく俺と似てるな……
「貴様にはそのルーの魅了が効かないらしいな、そういった意味でも確かにナイトに向いているといえる」
「ですが国王陛下!そんな得体のしれない男を国にとどまらせるなんて反対です!」
突然眼鏡をかけブロンドの髪をぴっちりセンターで分けた貴族が声を荒げる。さっき悔しがってた貴族の一人だ。
「私も反対です、国王陛下!怪しい事この上ない!」「私も反対ですぞ!」「そんなやつがやれるのなら私でも出来ます!陛下!どうかご一考を!」
次々貴族共が声を荒げる。
はぁなんだこいつら?!こいつらルーの見てくれと権力とかしか見てない野郎だろ!お前らに本当は一人で居たくないのに自分を守る為に一人でいる気持ちわかんのか?!少しでもルーの心に踏み込もうとしたのか?!踏み込めば笑ってくれるのに、お前らはそれすらしようとしない。貴様らごときではあの笑顔は守れん!
「国王陛下!」
「なんだ貴様!今我々が話しているだろう!」
「よい、話せ。」
国王の勘違いだけど乗ってやるよ!こんなやつらには任せられん!覚悟はもう決めた!
「ルーメリア様のナイトは私しか務まらないと思います。そちらにいる方々ではいざという時、ルーメリア様に魅了されてしまうのではないでしょうか?普段目を合わせなければ問題ないかもしれせんが、それが戦闘時ふとした際に目が合った場合身を賭して守り切れますか?私なら問題ありません。それに国民にはどう説明なさるのでしょうか?国民は恐れ多いですがルーメリア様と私が結婚すると思っています、ここで親愛の証を持つ私を無下に扱う事は得策とは思えません。そこでナイトなのです。常に側にいるとなれば問題ないでしょう。それにもし私がルーメリア様のナイトになれないとすると……私も次の手に出なければなりません。それは必ずしもお互いに利益があるとは言えないのです。なのでここで手を打つのがいいのではないでしょうか?」
言ったった!言ったったぞ!噛まずに言えた俺偉い!だがただのブラフ!頼む!押し切らせて!
国王は顎にしばらく手を当て考える。
「良いだろう。これ以上貴様に国をかき乱されてはたまらん。現状何か被害を受けているわけでもないし、ルーのナイトは長らく求めていたものでもある。いい落としどころだろう。異論は認めん」
よっしゃー!就活成功!即採用!住み込み飯付き美人付き!!!日本の企業が倒れる好待遇だろ!特に美人付きのとこな!思わずニヤついてしまう。
騒いでいた貴族達が手から血が出そうな力で拳を握りニヤついた俺の顔を睨みつける。
「はい、お任せください。全力で務めさせて頂きます。」
「うむ、ではもうよい下がれ」
一度頭を下げ、謁見の間を後にする足はひどく震えていた。
両開きの扉を出て大きなため息をつくと、肩に誰かの手が乗せられる
「お疲れさまでした。」
「イレスティさん、驚かせないでくださいよ。」
「それは失礼いたしました。それにしても……思ったよりもしっかりしているのですね」
「き、聞いてたんですか?」
「さぁどうでしょうか?」
彼女は舌を出し悪戯っぽく笑う。意外とお茶目なんだなぁ
そんな雑談をしているとルーが出て来て目が合うとクスクスと笑う。
「何でそんなに笑うんだよ!ルーのナイトになりたいっていうのは本当だぞ!」
「それはわかってる。これからも一緒にいれるのは嬉しい。だけどショウとお父様とのやり取りが面白くて、ふふっ」
「割とまともだったと思うんですが?」
「私だけは……全部わかってるから。」
それだけで全て伝わった。俺が大した男じゃないのも、ルーのお父さんが勘違いしてるって事もルーはわかってくれてるんだよな、そんな自分でも受け入れて貰えると思ったら凄く嬉しいな。
「ははは、やっぱりルーにはバレてたか」
「私とショウは似てるから」
「そうだね、俺もルーの事なら全部わかる気がするよ。」
「そう、じゃあ今の私の事もわかる?」
「んーそろそろお昼だしごお腹すいたとか思ってる?」
「全然違う。私今嬉しくて嬉しくて嬉しいんだよ!」
「……知ってた。流石にそんな可愛い顔みたらわかるよ!」
「私もショウがからかってるの知ってた。」
二人でニコニコしながら知らず知らずの内に、あまーい空気をまき散らす。
「な、な、なんですかこの甘ったるい雰囲気は!虫歯になりそうです!私がいるのをお忘れですかお二人共?」
「そういえばショウ伝言があるんだけど」
「無視?!」
伝言を聞いた俺は顔を真っ青にしながら城全体に響き位大きな声で叫んだ
「なんだってーーーーーーーーーーーーーーー?!」
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