3 / 6
PARK What do you wanna do.
【3】
しおりを挟む
二人は公園の公衆トイレにはいった。見つめ合う乃蒼も、さっきまでとまるで顔つきの違う颯に戸惑っていた。たまらず反らした視線の下で、颯のズボンがふくらんでいる。目の置き場に困ったように、
「……ベンチで話していた人は彼女さんですか?」
と乃蒼が訊いた。
颯も、スラリと伸びた足から、頭のてっぺんまで、探るような目つきで乃蒼を見上げていった。少女たちのなかで一番背が高い乃蒼でさえ、颯の胸までしかなかった。
「ちがうよ。なんで? 気になる?」
不安そうに、うん、と返事をする乃蒼に、
「彼女じゃないよ」
と、颯がつづけた。わかった、と答えた乃蒼からも、
「あたしもいわなきゃいけないことがある」
と、告白があった。今度は颯が不安そうになって、なに? と尋ねた。
「……実は、あたし、はじめてじゃないんです」
と、乃蒼が頬を赤くしていう。
年のわりに妙に色っぽいのはそういうことだった。でも颯にしてみれば、ぜんぜんかまわなかった。処女はまな美で体験済みだったからだ。
二人はたったひとつしかない個室にはいった。洋式トイレのカギは壊れていて、ちゃんと閉まらなかった。
年下の少女とはいえ、抱き寄せた乃蒼の体は少しだけ丸みを帯びていた。どちらともなくまた見つめ合えば、乃蒼の瞳が優しく潤みだす。うっとりとしだして、酔っ払ったみたいにどんどん顔つきが変わっていった。
「こんどはゆっくりキスしてみよっか?」
顔を近づけると、乃蒼がそっと顔をあげた。
颯が、かがみながらキスをした。唇に押しかえしてくる弾力がある。はんびらいた口から、乃蒼の吐息が鼻にかかる。さっきあげたガムの清涼な香りがした。きっと、乃蒼にもおなじ香りがかかっているはずだ。
「舌だして。俺のように絡めあって」
「……恥ずかしいです……」
「じゃあ。いま噛んでいるガム、俺にちょうだい」
そういって、颯は絡ませ合った舌から、乃蒼のガムを受け取った。
「できるじゃん」
と、褒められた乃蒼の顔が真っ赤だ。
「吸ってあげる」
と颯がいって、恥じらいながら突きだす乃蒼の舌を、ちゅ、ちゅ、ちゅ、っと唇にふくんでいった。ああ……と女らしくなってしまう乃蒼の下唇の裏にまで、颯の舌先がはいりこんでいく。まるで生き物のように這いずるその舌に冒され、吐息が甘くなっていく。重ね合う二人の唇から、ツーっと糸が引いてこぼれていった。
お互いの鼻をつぶしながら、キスはだんだん熱っぽくなっていく。乃蒼は、首筋を張り詰めさせてくちづけをうけた。
颯が薄目を開けても、乃蒼のほうはぎゅっと瞼を閉じたままであった。いくら初体験を済ませたとはいえ、颯と較べ経験はまだまだ浅いらしい。
かわいらしい頬にキスをすると、くすぐったそうに乃蒼が顔をそむけた。颯がそっと顎をつかんであげさせる。ううう……とくぐもった声を洩らす乃蒼の頬を、下からべろん、と舐めあげた。
「やべ……汗おいっしい……」
そういいながら、汗でまとまった前髪をかきあげてやり、おでこも舐めあげる。あぐぐぐぅ……と眉根を引き寄せる乃蒼へ、おかまいなしに愛撫を浴びせていく。
「顔すっげえうまい」
とまでいわれた乃蒼の開いた目が宙をさまよっている。
「毛穴までガンミしてるよ……」
とささやいた颯が、乃蒼の顔を両手でつつむ。
乃蒼が、颯を見つめかえして息を荒げた。舌だして、という催促になかなか応じない乃蒼の鼻先まで、颯はおいしそうに舐めあげていく。乃蒼はびっくりして、颯を見つめたまま舌がだせない。
颯は、乃蒼を罰するように、鼻先からおでこまで一気に舐めあげてやった。乃蒼は地団駄を踏みながら、舌腹までを突きだし、やっとさしだした。
颯は気をよくして、その舌腹に絡まっていく。そればかりか、舌腹と舌腹を対称にくっつけるような下品なディープキスさえした。しだいに、乃蒼から鼻がかった声が洩れだす。そして唾液が絡み合う卑猥な音が、個室に溜まっていくのであった。
「……ベンチで話していた人は彼女さんですか?」
と乃蒼が訊いた。
颯も、スラリと伸びた足から、頭のてっぺんまで、探るような目つきで乃蒼を見上げていった。少女たちのなかで一番背が高い乃蒼でさえ、颯の胸までしかなかった。
「ちがうよ。なんで? 気になる?」
不安そうに、うん、と返事をする乃蒼に、
「彼女じゃないよ」
と、颯がつづけた。わかった、と答えた乃蒼からも、
「あたしもいわなきゃいけないことがある」
と、告白があった。今度は颯が不安そうになって、なに? と尋ねた。
「……実は、あたし、はじめてじゃないんです」
と、乃蒼が頬を赤くしていう。
年のわりに妙に色っぽいのはそういうことだった。でも颯にしてみれば、ぜんぜんかまわなかった。処女はまな美で体験済みだったからだ。
二人はたったひとつしかない個室にはいった。洋式トイレのカギは壊れていて、ちゃんと閉まらなかった。
年下の少女とはいえ、抱き寄せた乃蒼の体は少しだけ丸みを帯びていた。どちらともなくまた見つめ合えば、乃蒼の瞳が優しく潤みだす。うっとりとしだして、酔っ払ったみたいにどんどん顔つきが変わっていった。
「こんどはゆっくりキスしてみよっか?」
顔を近づけると、乃蒼がそっと顔をあげた。
颯が、かがみながらキスをした。唇に押しかえしてくる弾力がある。はんびらいた口から、乃蒼の吐息が鼻にかかる。さっきあげたガムの清涼な香りがした。きっと、乃蒼にもおなじ香りがかかっているはずだ。
「舌だして。俺のように絡めあって」
「……恥ずかしいです……」
「じゃあ。いま噛んでいるガム、俺にちょうだい」
そういって、颯は絡ませ合った舌から、乃蒼のガムを受け取った。
「できるじゃん」
と、褒められた乃蒼の顔が真っ赤だ。
「吸ってあげる」
と颯がいって、恥じらいながら突きだす乃蒼の舌を、ちゅ、ちゅ、ちゅ、っと唇にふくんでいった。ああ……と女らしくなってしまう乃蒼の下唇の裏にまで、颯の舌先がはいりこんでいく。まるで生き物のように這いずるその舌に冒され、吐息が甘くなっていく。重ね合う二人の唇から、ツーっと糸が引いてこぼれていった。
お互いの鼻をつぶしながら、キスはだんだん熱っぽくなっていく。乃蒼は、首筋を張り詰めさせてくちづけをうけた。
颯が薄目を開けても、乃蒼のほうはぎゅっと瞼を閉じたままであった。いくら初体験を済ませたとはいえ、颯と較べ経験はまだまだ浅いらしい。
かわいらしい頬にキスをすると、くすぐったそうに乃蒼が顔をそむけた。颯がそっと顎をつかんであげさせる。ううう……とくぐもった声を洩らす乃蒼の頬を、下からべろん、と舐めあげた。
「やべ……汗おいっしい……」
そういいながら、汗でまとまった前髪をかきあげてやり、おでこも舐めあげる。あぐぐぐぅ……と眉根を引き寄せる乃蒼へ、おかまいなしに愛撫を浴びせていく。
「顔すっげえうまい」
とまでいわれた乃蒼の開いた目が宙をさまよっている。
「毛穴までガンミしてるよ……」
とささやいた颯が、乃蒼の顔を両手でつつむ。
乃蒼が、颯を見つめかえして息を荒げた。舌だして、という催促になかなか応じない乃蒼の鼻先まで、颯はおいしそうに舐めあげていく。乃蒼はびっくりして、颯を見つめたまま舌がだせない。
颯は、乃蒼を罰するように、鼻先からおでこまで一気に舐めあげてやった。乃蒼は地団駄を踏みながら、舌腹までを突きだし、やっとさしだした。
颯は気をよくして、その舌腹に絡まっていく。そればかりか、舌腹と舌腹を対称にくっつけるような下品なディープキスさえした。しだいに、乃蒼から鼻がかった声が洩れだす。そして唾液が絡み合う卑猥な音が、個室に溜まっていくのであった。
2
お気に入りに追加
108
あなたにおすすめの小説
如月さんは なびかない。~片想い中のクラスで一番の美少女から、急に何故か告白された件~
八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」
ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。
蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。
これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。
一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

転校して来た美少女が前幼なじみだった件。
ながしょー
青春
ある日のHR。担任の呼び声とともに教室に入ってきた子は、とてつもない美少女だった。この世とはかけ離れた美貌に、男子はおろか、女子すらも言葉を詰まらせ、何も声が出てこない模様。モデルでもやっていたのか?そんなことを思いながら、彼女の自己紹介などを聞いていると、担任の先生がふと、俺の方を……いや、隣の席を指差す。今朝から気になってはいたが、彼女のための席だったということに今知ったのだが……男子たちの目線が異様に悪意の籠ったものに感じるが気のせいか?とにもかくにも隣の席が学校一の美少女ということになったわけで……。
このときの俺はまだ気づいていなかった。この子を軸として俺の身の回りが修羅場と化すことに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる