いまそこにある媚肉

島村春穂

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電話しているのに……揉まれすぎて

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 魔の触手は、まだもう一本空いている。もっと虐めてやろうと、肩に抱えていたM字に開く太腿から腕をまわし、肉層の分かれ目にある先端を捏ねくりだした。ちぢれ毛が繁茂していて、その全容がはっきりとは見えないが、おそらく包皮から覗いた肉芽があるはずであった。感触はあった。愛らしい固い引っ掛かりがある。女のエキスを浴びて、ひどくヌメっていた。


 匠の愛撫は見た目には乱暴だったが、注意深く女の道具を扱っていた。その指戯に、貴子は高ぶらずにはいられない。


 さっきから、匠の肩に重ねた小さな手が、愛撫めいてさすっているし、吐息を弾ませながら相づちをうち、その時々で甘ったるいため息さえつく。眉根を苦しそうに引き絞っておいて、口もとは愉悦に歓んでいた。いまや、その姿というのは、妻でも継母でもない。もはや外面の微笑ではなかった。


 匠は、たったこの数分のあいだに熟女の躰を知り得て、もとの冷ややかな眼差しを、胸から垂れこぼれる双つの肉房に投げかけていた。下から眺めるその肉房は、ヘタからぶら下がる瓜のような迫力がある。


 どぉん、と量感たっぷりに、下乳の谷間に深い溝ができていて、八の字にたゆんでお腹にくっついて載っかっている。まるでお尻のようだ。


 肉房のさきが、光を反射して色づいているし、匠が固くシコる乳頭を口に含むと、貴子が、その愛撫を受け入れるようにして、首にまわした腕で、匠の頭を自分に抱き寄せた。


「うぅうん…ッ…うぅんぅうん…ッ…あぁん、あぁん…ッ…っ……」
 M字に開いた股ぐらが筋ばってきた。匠の首に脚を巻き付けているから、肉房に愛撫をつづけられながら、上体をあがってこられると、貴子の態勢がきつくなった。


 差しあげた淫処を丸出しにする恰好となり、恥骨が緊張して盛り上がった。肉洞のなかでは、指腹二本が膣襞を押し込み、釣り針のような形で引っ掛かっていた。


「ひぃんうぅん…ッ…ひぃうぅうん…ッ…うぅ」
 匠の肩にまわしていた手が、シャツをぎゅう、っと握り締めた。だめっ、と言葉にならない声を洩らし、ずっと恐れていたところを探り当てられた。肉片が膨れたあたりだ。ここを指腹二本で引っ掻かれた。


「あぁん!…ッ…くくっ、ああぁ!…ッ…あぁんふぅん!…ッ…っ…うぅんうぅんッ、な、なんでもないよぉ…っ…ッ……」
 言い訳めいて、貴子の相づちがおおくなっていく。素足の五指がぜんぶ披いて、反り返ってきた。


「うぅんッ……じ、時間…っ…まだァ…ァ…だいじょうぶだよぉ…ォ…うぅんッ…ッ……」
 肉洞に刺さったままの指腹が、情感たっぷりに肉襞を愛撫した。芳香する牝汁を肉襞に馴染ませながら、腫れた肉片を引きずり、輪重の皺をすりこぎ潰して、肉洞の蠢きを楽しまれている。


 匠が、肉房のさきに口づけた。上目で貴子の顔を注意深く窺い、睨みつけながらだ。乳頭に付いた唾液を舐めとるようにして、舌先がせわしく動いた。シコりきったかぐろい乳頭が、あちこちに転がされてしまう。茱萸のような弾力があって、舌触りがよい。右に左に、上から下に、舌が這うほうに捩じらされていくうち、かぐろい乳頭が唾液まみれに黒光りだす。


「あんッ…ッ…うぅんッ…っ…はぁんッ…ぅ…うぅんあんッ…っ…わかったァ…っ…ッ……」
 恨みがましい目つきを伏せ、目じりには妖艶な皺を寄せて、誤魔化しきれないうめき声がでた。


 淫処から、いやらしい音がどうにもとまらない。くちゅくちゅくちゅくちゅっと、なかから溢れてきて汚れてしまう。


「そうだねっ……たッ、匠さんにも、いっとくぅッ…っ…うぅんッ、わかったァ…ッ…っ……」
 と貴子は、下唇をさげて形相を変えた。歯を剥き出し、頬が盛り上がって、ほうれい線が深く刻まれた。


「……うぅんッ…だ…だいじょうぶッ、だよぉッ…ォ…なんでもォ…ッ…ない…ッ…うぅんッうんッ……なっ、なんでもないよぉッ…ォ…なんでもないってぇ…ッ……」
 手マンする腕の振動が椅子にまで伝わり、古びた床がギシギシ擦れた。その振動に引きずられ、貴子のほうも声がうわずってきてしまう。


「うぅんッ…ッ…うぅんうぅんッ……うぅんッうんうんぅんッ…ッうぅっうぅんッ…うぅッ……ッ…っ……」
 肉洞に指腹が引っ掛かったまま、股ぐらごと持ちあげんばかりに、腕がはげしく振動しだした。蜜壺から朱い肉片を食みださせ、飛沫あげる女のエキスが姦しくなってきた。


 手マンから、お米のとぎ汁のような白濁がこぼれてきた。ものすごい量だ。匠の腕を伝い、肘からもしずくが垂れ落ちてきているではないか。その白濁は、椅子の縁からもしずくとなって垂れ落ち、古びた床板を黒光りさせていた。


「うぅんッ…っ…なんでもォ……だいじょうぶッ…ぅ…うぅんッ…っ…だいじょうぶだよぉ…ォ…ッ……」
 ひき付くような振るえが、豊腰から走っていた。


 余韻にうめきながら、不律動に全身をビクビクさせ、柘榴のように朱く割れた女の穴蔵から、圧せられるようにして指腹が引き抜かれた。その刹那、ピュピュっと勢いよく白濁のエキスが噴射した。


 濡れたあわいの肉ビラが妖しく蠢き、肉片の瘤を食みださせながら秘口が蠕動する様子は、さながら、アワビの活き造りといった具合であった。噴き出した潮やら女のエキスやらで、海藻のような匂いが鼻を衝いた。


 匠は、厚ぼったいあわいの肉ビラをくつろげるようにして、貴子が粗相をした体液を淫処にまんべんなく塗りたくってやった。


「ううぅん……うぅんッうぅんッ…っ……」
 余韻に収縮する女の蜜壺から、一段と濃い白濁の愛液がドロリ、としずく谷を流れていった。


「うぅん……わかったぁ……うぅんうん……匠さんにも伝えとくね……うぅん…っ……」
 とても気だるそうに、貴子がやっと会話をつづけていた。


 匠が、そろり、と貴子から離れた。二三歩、後じさったあと、忍び足から床がギシギシ鳴った。


「うぅん……じゃあまた……うぅん、それじゃあ、じゃあね……」
 受話器から耳を離したとたん、貴子の表情がたちまちに歪む。


 そうっと受話器を置いたあとも放心したままで、片脚をテーブルに投げ出したっきり動けず、逝かされたあとの蕩けた淫処を差しだしたまま、言い尽くせない顔色を浮かべ、ひどく狼狽したのだった。



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