凌辱カキコ

島村春穂

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極彩色情狂

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 荒川は股ぐらにある充の顔を圧し潰してやっと自分の躰を支えていた。それだから、鼻と口を塞がれた充のほうはたまらない。ふごふご、と豚ッ鼻を鳴らして必死で酸素を求め、僅かばかりに空いたすき間で深呼吸したその時には愛液やら小水やらがどっと口中に押し寄せてきて、額まで真っ赤にさしてむせ返っていたが、股ぐらに何とか手をかけて退かせようとしたそのどさくさで、こんどは、ぬるり、と偶然にも人差し指がとば口に沈み込んでいった。


 思いがけないタイミングに驚いた荒川は、もんどり打つほど強烈にのけ反った。これには何事かとこんどは充のほうでも驚いてしまう。このまま倒れられたら危ないと、半ば反射的にとば口に沈んだ人差し指を、くいと、手前にやったものだから、荒川は荒川で、のけ反った躰が半ば生理的に引っ張られていき、脚を踏ん張りやっと態勢を立て直した。天井に向いた荒川の額から小粒ほどの汗がどっと噴き出してきた。


「すげえ……」
 初めて目の当たりにした女の躰の不思議に充が感嘆しきった。とば口の指を釣り針のようにさして手前に引けば、女体はかがみ、奥のほうへとずんずん入っていけば、のけ反ったりする。たったの指さき一本で、男の充よりもずっと体格のよい未熟女の躰が前へ、後ろへ、また右や左へと回るのだ。


「おもしれえ」
 そう充が呟いた通り、明らかにその手つきは遊んでいた。いま捏ねくっているところと、下から見上げる荒川の顔との間でせわしく視線を行き来させながら、「ウケるんですけど」と、童貞風情に言われている有様である。


 さっきもんどり打った勢いで額まで真っ赤にさした顔面は益益紅潮し、噴き出た小粒ほどの汗が化粧と混じり合って脂っぽく照らついている。『男に力づくで奪われてみたい』。確か、荒川はそういうことをラインで蒼甫に告白をした。その念願が叶ったいま、顔じゅうの筋肉を弛緩させて愉悦に呻いている。引きずった咆哮も、充が振るう指さき一つで一オクターブほどかん高くなり、また地を這うように低くもさせることができた。得意満面になった充は、まるで世界的に有名な交響楽団の名指揮者にでもなったかのような鷹揚な態度である。目を深く瞑り、耳を澄まして音色を聴き、そして悦に入っていた。


 荒川は充の好きなように泣かされてしまい、そのあいだにもとば口から溢れ出てくる分泌液の量は目に見えて増えていった。こき使われればそれだけ、くちゅくちゅくちゅくちゅ、下のお口のほうからも景気よく泣かされてしまうのだ。膝小僧がまたぞろ笑いだし、それと同時にパンプスのヒールが一緒になって踊る。荒川はたった一人で交響楽団員を何役もやらされ、指揮者である充を名指揮者の真似事なんかではなく、いままさに一人前の本物の男にすべく心地よい音色をどこまでも抒情的に奏でるのであった。


 童貞をこじらせた男に自信を与えるにはそれは十分すぎた。そして、青年期になるまで童貞であったような男に自信など与えてはならなかったことを、荒川はまだこの時には知る由もなかったのである。余裕がでてくれば、とば口を弄る手つきも抑えきれないわがままとなって変わってくるものだ。さっきまではただ悪戯に指を出し容れさせ、せいぜい釣り針のような形で引っ掛けるだけであったものが、段々と女の内容を探るような脂っこいものになっていった。


「うへえ。ここ捩れてるんだ」「ここって盛り上がってるんだね」「すげえ、ここんとこなんて谷間まである」「ねえ、奥ってどこまであるの?」「子宮孔って下がってくるって、ほんと?」
 人差し指は躰の中にほとんどが沈まってしまい、他の指が丸まっていたから、その状態のまま上下に動かしていると、どことなく拳でアソコを叩いているように見えた。荒川はまた一段と声をあげて泣いた。火のついたように泣きだし、泣いて泣いて幾筋ものうれし涙を目尻から気配を感じさせないように流している。そして、とば口も泣いている。くちゅくちゅくちゅくちゅ、姦しいくらいの大泣きだった。


「思ったんだけど、ここ二本でもよくね」
 一度指を抜かれたところに、こんどは二本指が刺さった。躊躇いはなかった。「うほほ、締まる!」


 いまでは荒川が恥毛を掻き上げている恥骨辺りというのが何となく盛り上がってきている。連続的な官能に充血をしているせいか、肉層の突端がかぐろく色づき、とば口を捏ねくられていくのに合わせて、上質なゼラチンのようにぷるぷる振るえているのだ。


「すげ、指が引きずられていく!」
 それだから、おのずと指腹が掻くような手つきに変わっていった。これに伴ってとば口から鳴る音色も変わっていった。手マンする腕が濡れてきていた。噴いた潮が肉洞にも流れ込み、愛液とともに掻き出されているのだ。とば口から姦しく鳴る音色も下品極まりなかったが、下唇を悲愴に歪めて吠える荒川の咆哮もマゾっ気たっぷりの見事なものであった。


「イぃグぅ!」
 一言だけそう遺言を残し、荒川は遠くに逝った。


 三度目に気をやったその未熟女然とした低い声音はトイレじゅうに木霊して、残響がやがて消えていくと、辺りは恐ろしいほど静まりかえっていった。



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