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凋落
三/五
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ベッド中央に体を寄せた荒川看護師。カーテンの向こうに一度注意を遣り、息づかいさえ慎重にさせ、蒼甫の下腹部にまた顔を戻すと、テキパキと看護師然とした仕草で検診衣と一緒にボクサーブリーフを足首まで下ろした。
蒼甫が足裏を合わせる恰好で股ぐらを露骨にひらき、リラックスできる腰の位置を確かめる。簡易ベッドが軋み、荒川看護師がまたぞろカーテンを気に掛ける。
荒川看護師が向き直ると、ベッドのうえで諸だしの下半身を悶えさせ、早くしろ、と蒼甫が急かした。荒川看護師が、蒼甫を見る。蒼甫のほうだって荒川看護師から目を離そうとはしない。すでに男の顔つきとなっている。男女は見つめ合い、互いに額まで朱くさせながらも、荒川看護師が看護師の顔を崩すことはなかった。だから、屹立した肉径を触る時も患者に対する手つきさながら臆するところがまるでない。ひょい、と肉径を持ってすぐ、口中に肉冠を含んでいく。
「うわ……粘っこい……」
と、洩らした蒼甫の手を握り締めてきた。そのあと、咥えたまま蒼甫を恨みがましく睨みつけてくる。どうやら、声を出すな、ということなのらしいが。
音が出ることをとにかく嫌うだけあって、荒川看護師の唇はよく吸いついた。口中ではとめどない涎れが溢れ、肉冠をまんべんなく濡らし、唇の僅かな隙間から肉径を垂れていく。やがて洟息が過分に荒くなり、臍の辺りまでこそばゆく撫でる。
蒼甫が、枕の上にもろ手を敷いて荒川看護師を安閑と眺めた。
荒川看護師の頭が激しく前後しだす。ものすごいマシンガンフェラだ。ピンサロ嬢が引くくらいの。火が点いたらベッドが軋んでもお構いなしで、後ろで結わえてあった髪が首から垂れ下がり、頭の前後に合わせ、内腿を優しく刷いてくれる。荒川看護師から握られていた手を、蒼甫が握り返す。頬をすぼめたまま股ぐらから気がつき、荒川看護師がこちらを見つめる。
「そのまましゃぶれ……」
返事すら惜しんで荒川看護師が従う。
目が気持よさそうだ。首ねや額に筋を立て、耳朶まで真っ赤にさせてしゃぶりついている。ごきゅごきゅ、と咽頭を小気味よく鳴らし、時折、溶けだしたアイスキャンディを舐めるかのように下から上へと規則よく舐めあげる。また、せわしなく舌さきを動かし、雁首の溝をこよなく這いずる。蒼甫が、人差し指をくい、くい、と上げ、こっちに体をせり上がってこい、と催促した。
「へへ。しゃぶるの好きなんだね……」
と囁く蒼甫の唇に指を触れ、「早く逝って……怪しまれる」と哀願した。
「それはお前の都合だろ……」
と、蒼甫が目を合わせて答える。
つと、荒川看護師は瞳を潤ませ、眉根をきつく引き絞って、ぶるると首を左右に振る。股ぐらに顔を戻すとしゃぶりつき、頬をすぼめ、顎さきをたわめ、腔内をすすぐみたいに唾を泡立たせながら肉冠を愛撫した。よほど慌てているようである。
「早く逝かせたいなら、匂い嗅がせて」
いまの荒川看護師に断れるはずがない。「どうすればいいの……」と、泣き言をいう胸もとをざっくりと開けさせた。月なみな純白のブラジャーではある。だが、その白さに負けず劣らず、肌が抜けるようにぬめ白い。
眼前に迫るふくよかな胸の谷間に鼻を埋めた。甘酸っぱい汗と、どこか花粉のような匂いがある。持ち重りのある柔肌の弾力に息をすることさえ忘れかけ、窒息しそうになる。荒川看護師は、「アア…ッ……」と蒼甫の頭をきつく抱き、手コキに合わせ、髪の毛に指を立てて搔き乱した。
「……早く逝ってぇ……お願いよぉ……」
下唇を悲痛な面持ちで下げ、糸を引きずるような声音で哀願する。もぞもぞと蒼甫の上衣のなかに入ってきた指腹が乳首を責める。
「……ふおおぉ……」
「やだん……乳首責められて感じるなんてぇ…っ…やらしいひと…ッ……」
乳頭を甘噛みしてそれはもう嬉しそうだ。
互いの瞳にそれぞれの顔が映り込みそうなくらい見つめ合えば、くちづけは荒川看護師のほうからしてきた。歯磨き粉の匂いが仄かに残る吐息を幾分か乱し、舌さきを入れ、蒼甫がこれに調子を合わせると、唇を使い舌腹にまで吸いついてくる。互いの唾液が夢中で粘り合い、吐息が熱っぽくなってくると、下唇のなかに舌さきを入れ、歯茎さえ愛撫する。瞳を開けたまま、荒川看護師からの熱烈なくちづけである。視線は虚空を彷徨い、目尻を下げた時にできる小皺が妙に色っぽかった。
「……お願い…っ…逝ってよぉ、逝ってぇ……」
手コキから淫靡な音が粘る。雁首の溝に五指を立て、姦しく上下した。絡み合った二人の下でベッドが揺れる。その激しさのあまり、ベッドの足が床を擦る。
「荒川さん! 大丈夫ですかあ」
ベテラン看護師の声だ。カーテンの下から、彼女の足が見えた。
「はい!……いま、行きます!」
荒川看護師から口を押さえられ、悪あがき程度にだが肉径にも手を宛がわれて隠されていた。その間、荒川看護師は宙空をジッと睨み、息さえ止めているようであった。
カーテンから見える足が遠ざかる。
「……ごめんなさい……埋め合わせは必ずします……」
蒼甫から離れるなり、荒川看護師は急いで白衣の乱れを整えた。蒼甫が、髪、とジェスチャーすると、二、三髪の毛を撫でつけてこれも直した。
「あとでね」
そう微笑みかけると科を作ってみせ、蒼甫のおでこにキスをする。
蒼甫から離れるときにはもうすっかり看護師の顔つきに戻っていて、普段の調子でカーテンから出て行った。
蒼甫が足裏を合わせる恰好で股ぐらを露骨にひらき、リラックスできる腰の位置を確かめる。簡易ベッドが軋み、荒川看護師がまたぞろカーテンを気に掛ける。
荒川看護師が向き直ると、ベッドのうえで諸だしの下半身を悶えさせ、早くしろ、と蒼甫が急かした。荒川看護師が、蒼甫を見る。蒼甫のほうだって荒川看護師から目を離そうとはしない。すでに男の顔つきとなっている。男女は見つめ合い、互いに額まで朱くさせながらも、荒川看護師が看護師の顔を崩すことはなかった。だから、屹立した肉径を触る時も患者に対する手つきさながら臆するところがまるでない。ひょい、と肉径を持ってすぐ、口中に肉冠を含んでいく。
「うわ……粘っこい……」
と、洩らした蒼甫の手を握り締めてきた。そのあと、咥えたまま蒼甫を恨みがましく睨みつけてくる。どうやら、声を出すな、ということなのらしいが。
音が出ることをとにかく嫌うだけあって、荒川看護師の唇はよく吸いついた。口中ではとめどない涎れが溢れ、肉冠をまんべんなく濡らし、唇の僅かな隙間から肉径を垂れていく。やがて洟息が過分に荒くなり、臍の辺りまでこそばゆく撫でる。
蒼甫が、枕の上にもろ手を敷いて荒川看護師を安閑と眺めた。
荒川看護師の頭が激しく前後しだす。ものすごいマシンガンフェラだ。ピンサロ嬢が引くくらいの。火が点いたらベッドが軋んでもお構いなしで、後ろで結わえてあった髪が首から垂れ下がり、頭の前後に合わせ、内腿を優しく刷いてくれる。荒川看護師から握られていた手を、蒼甫が握り返す。頬をすぼめたまま股ぐらから気がつき、荒川看護師がこちらを見つめる。
「そのまましゃぶれ……」
返事すら惜しんで荒川看護師が従う。
目が気持よさそうだ。首ねや額に筋を立て、耳朶まで真っ赤にさせてしゃぶりついている。ごきゅごきゅ、と咽頭を小気味よく鳴らし、時折、溶けだしたアイスキャンディを舐めるかのように下から上へと規則よく舐めあげる。また、せわしなく舌さきを動かし、雁首の溝をこよなく這いずる。蒼甫が、人差し指をくい、くい、と上げ、こっちに体をせり上がってこい、と催促した。
「へへ。しゃぶるの好きなんだね……」
と囁く蒼甫の唇に指を触れ、「早く逝って……怪しまれる」と哀願した。
「それはお前の都合だろ……」
と、蒼甫が目を合わせて答える。
つと、荒川看護師は瞳を潤ませ、眉根をきつく引き絞って、ぶるると首を左右に振る。股ぐらに顔を戻すとしゃぶりつき、頬をすぼめ、顎さきをたわめ、腔内をすすぐみたいに唾を泡立たせながら肉冠を愛撫した。よほど慌てているようである。
「早く逝かせたいなら、匂い嗅がせて」
いまの荒川看護師に断れるはずがない。「どうすればいいの……」と、泣き言をいう胸もとをざっくりと開けさせた。月なみな純白のブラジャーではある。だが、その白さに負けず劣らず、肌が抜けるようにぬめ白い。
眼前に迫るふくよかな胸の谷間に鼻を埋めた。甘酸っぱい汗と、どこか花粉のような匂いがある。持ち重りのある柔肌の弾力に息をすることさえ忘れかけ、窒息しそうになる。荒川看護師は、「アア…ッ……」と蒼甫の頭をきつく抱き、手コキに合わせ、髪の毛に指を立てて搔き乱した。
「……早く逝ってぇ……お願いよぉ……」
下唇を悲痛な面持ちで下げ、糸を引きずるような声音で哀願する。もぞもぞと蒼甫の上衣のなかに入ってきた指腹が乳首を責める。
「……ふおおぉ……」
「やだん……乳首責められて感じるなんてぇ…っ…やらしいひと…ッ……」
乳頭を甘噛みしてそれはもう嬉しそうだ。
互いの瞳にそれぞれの顔が映り込みそうなくらい見つめ合えば、くちづけは荒川看護師のほうからしてきた。歯磨き粉の匂いが仄かに残る吐息を幾分か乱し、舌さきを入れ、蒼甫がこれに調子を合わせると、唇を使い舌腹にまで吸いついてくる。互いの唾液が夢中で粘り合い、吐息が熱っぽくなってくると、下唇のなかに舌さきを入れ、歯茎さえ愛撫する。瞳を開けたまま、荒川看護師からの熱烈なくちづけである。視線は虚空を彷徨い、目尻を下げた時にできる小皺が妙に色っぽかった。
「……お願い…っ…逝ってよぉ、逝ってぇ……」
手コキから淫靡な音が粘る。雁首の溝に五指を立て、姦しく上下した。絡み合った二人の下でベッドが揺れる。その激しさのあまり、ベッドの足が床を擦る。
「荒川さん! 大丈夫ですかあ」
ベテラン看護師の声だ。カーテンの下から、彼女の足が見えた。
「はい!……いま、行きます!」
荒川看護師から口を押さえられ、悪あがき程度にだが肉径にも手を宛がわれて隠されていた。その間、荒川看護師は宙空をジッと睨み、息さえ止めているようであった。
カーテンから見える足が遠ざかる。
「……ごめんなさい……埋め合わせは必ずします……」
蒼甫から離れるなり、荒川看護師は急いで白衣の乱れを整えた。蒼甫が、髪、とジェスチャーすると、二、三髪の毛を撫でつけてこれも直した。
「あとでね」
そう微笑みかけると科を作ってみせ、蒼甫のおでこにキスをする。
蒼甫から離れるときにはもうすっかり看護師の顔つきに戻っていて、普段の調子でカーテンから出て行った。
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