私の担任は元世界的スター

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修学旅行

修学旅行 1

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今日から修学旅行ッ!集合時間は朝が早い為、私と隼人はランニングを無しにし別々で学校へと向かった。


「おはよう~」
「莉緒おはよう!」
「葵は朝から元気だな…朝早すぎなんだよ」
「健人ってば眠そう」
「あれ、隼人は?」
「まだ来てないみたいだね」
「アイツが遅刻とか珍しいよな」
「だねぇ」


そんな話をしていると、慌てて走ってきた隼人が隣のクラスへ合流しているのが見えた。なかなか寝坊なんてしないのに珍しい事もあるもんだ。





レオが出席を取り終わると、クラス毎のバスに乗り込んだ私達。バスが走り出せばガイドは挨拶を始める。

私の席は1番前…通路挟んでレオの隣に座れたのは幸運ではあるけど、レオは金木先生の隣でガイドの話を聞いてるフリしながら寝ていた。

私も大人しく外の景色を眺めるも、背後から男子のふざけた質問が飛んでくる。


「バスガイドさんバスト幾つ~?」
「…はぁ…お前らさ。俺は究極に眠いんだ…お前らのくだらねぇ質問で、いちいち起きなきゃなんねぇの分かるか?」
「おっ綾城おはよw」
「あァ?テメェらちょっかい禁止。次やったらそのグループ自由行動無しな」
「えぇぇ!!!」
「男子のバーカw」


レオに怒られた男子達を笑う女子一同。レオはバスガイドさんに「ウチの生徒がすみません」なんて笑いかけているが、私が気に入らないのはガイドさんの表情だ。

嬉しそうに照れ照れしちゃってさ?絶対にこういう機会とかを狙って男探すタイプだっ!

窓からガイドさんへ視線を移し睨んでいると、背後に座っていた葵が苦笑いを浮かべながら私に飴を差し出してくれた。


「まぁこれでも舐めて落ち着きなって」
「…ありがと」


そんなこんなであっという間に空港へと着いた
私達。クラスメイトはバスを降りて行き、私もバスを降りて隼人を探して居れば、さっきのガイドさんがレオに声を掛けているのを見付ける。


「あの!もし良かったら連絡先など交換しませんか?//先程のお礼がしたくてっ」


お礼?
え、アレだけの事で?
断れッ断るんだレオッ!


「すみません、勤務中ですので」
「そ、そうですよね!すみませんッ!」


レオが断った!!!


私は思わず「勝ったッ!!!」と声を出しガッツポーズしてい、隣に居た葵は少し驚いた顔をする。


「え?何が?」
「あっごめん。何でもない」


その後、私達は先生の説明を受け飛行機に乗り込んで沖縄へと向かった。






ーーーーー


沖縄


「来たぜ沖縄ッ!!」
「健人、初めから飛ばすと疲れるよ?」
「よゆーよゆー!」
「にしても沖縄ってまだ暖かいね」
「だよな!もう秋だってのによ」


沖縄に到着した事でテンションMAXの健人。葵がそれに応えていると担任であるレオに誘導され、空港の広場にクラス別で整列する。


「お前ら騒ぐなァ、これから3日間お世話になるバスガイドさんの案内で、クラス毎にバスへ乗る。朝みたいな失礼したグループは連帯責任、自由行動は中止で勉強会だからな」
「「はーい」」


レオと共にバスに乗り込むと、バスガイドは案内を始める。しかしこのバスでの私の席は1番後ろ…レオとガイドが話してても全然聞こえない場所ッ!


「では今日から3日間、皆さんの旅に同行させていただきます。神咲と申します♪よろしくお願いします」


バッチリ厚化粧にニコニコ笑顔…さっきすれ違った時なんか香水臭かったしッあの人も絶対に男探ししてるタイプじゃんか…!


「ねぇ莉緒、そんなイライラしてたら、せっかくの修学旅行楽しめないよ?」
「そうだけどっ、何かさっきから楽しそうに話してるの気になる」
「金木先生も居るから大丈夫だってw」


それはそうかもしれないけど…
そういう問題じゃない


変わらず不貞腐れて居ると、ガイドさんは私たち生徒に声掛けをする。


「~右手にありますのが~です…って事で、此処でゲームをしましょう!連想ゲームです♪私が言った言葉を連想し答えてください。私がネタ切れ前に皆さんが連想出来なかったら皆さんの負けです!」


そう言って突然始まった連想ゲーム。
私は外を眺めながら静かに聞くことにした。


「先ずは沖縄!沖縄と言えば?」


…沖縄…シーサー
シーサー…獅子…ライオン…レオ


参加する気もないのに、頭の中で勝手に連想されていく言葉。気付けば私は「ハンバーグ」と口に出して居たらしく、突然の私の言葉に葵はキョトンと目を丸くしていた。


「へ?」
「え?」
「はい、肉からのハンバーグ貰いました♪次は魚です!」


驚く葵と戸惑う私を他所に、ゲームを進めていくバスガイドさん。葵は私に「参加しないと思ってた」と笑顔を向けた。

もちろん、参加するつもりなんて無かった。私はただレオの事を考えてたら、彼の手作りハンバーグが恋しくなっただけなんだから。



ーーーーーーーー

そんなこんなで、最初の目的地である有名な城が建つ公園に来た私達。バスを降り広場に集まると、ガイドさんはレオからお弁当を渡され共に配り始める。

全て配り終える頃、ガイドさんはレオの元へ駆け寄った。


「綾城先生ッこっちの列、1つ足りないです」
「あっではこれを渡して下さい」
「ありがとうございます、それと前から三番目の子が車酔いをしたらしく…」
「分かりました、ありがとうございます」
「いえッ!」


…ニコニコしたバスガイドさん。
レオってばモテすぎじゃない?
まぁ顔だけは良いもんな…俳優出来るほどだし
でも…

「あの笑顔いる?」
「莉緒、大人の世界は愛想がキモなのよ」
「レオには要らない」
「はいはいw」



先生方の説明を受け、ご飯タイムとなった私はレオと昼を食べようと試みた…が、クラスの女子に先手を打たれ私はタイミングを失う。


「むぅ…」
「まぁまぁ、とりあえず飯食おうぜ」
「綾城は人気だもんねw」
「……ぃただきます」


食事を終えた後、バスガイドさんの丁寧な案内を聞きながら城を見学し今夜泊まるホテルへと移動するが、その間もレオと話せる機会は1度も無かった。


「莉緒と同じ部屋で良かったぁ」
「それな、葵以外の女子とか話せないし」
「未だにって…それはそれで凄いよ」
「アハハ…」
「えっとこの後は?今が17時だから18時は男子が風呂で、女子は20時からだっ」
「夕飯は19時だよね?」
「うん!2時間程暇だよねぇ何かする?」
「葵ゲーム持ってきたでしょ?それやろ」
「お、バレてましたかw」


しかし1時間もすれば持って来ていたトランプもボードゲームも飽きてしまった。二人だけで時間を潰すにも限界がだったんだ。


「少し散歩する?」
「それ有り」


暇つぶしに部屋の外へ出ると直ぐに、通りすがった女子の言葉が耳に入る。どうやら昼間のガイドさんがレオと共に広間のソファーで楽しげに話していたそうだ…。


「大人の女性って綾城似合うよねぇ」
「あのままくっつかないかなー?」


そんな言葉に思わず“歳が近いと話も楽しいのかな?”なんて…疎外感を感じてしまう。


「どうしよ葵ッ…このまま良い雰囲気とかなったら…私、生きて行けない…」
「莉緒は大袈裟過ぎだってwたまたま居合わせたんじゃないの?」
「でもその“たまたま”が、人生の転換地点とかもあるしっ…たとえ1晩限りでも私は嫌だよ」
「なら見に行こうよ」
「へ?」
「だから綾城とガイドさんの様子見に行って、邪魔してやればいいんだって♡」


そう言って私の手を掴んだ葵は、広間の方へと走り出した。私、まだ心の準備出来てないよッ!?


邪魔って何話せば良いのッ!?















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