35 / 46
第35話 大ピンチ(かもしれない)
しおりを挟む
路地裏に一歩足を進めると、なるほど空気がひんやりと冷たい。
賑やかな表通りとは違って、人はいなく、ぞっとるぐらい寂しい。
だが、確かに奴はこの辺りにいる。
しばらくそうして走り回っていると、少し開けた場所に出た。
ゴミだらけで、まるで山のように積み重なっている。
嫌な臭いが鼻をつく。まずいな、やつの臭いを逃してしまいそうだ。
そのときだった
ゴミの山の影から何者かが飛び出した。咄嗟に私は身を捻り、その攻撃を避ける。
「ちっ」
そいつが舌打ちをした。
「あら、あんまりなご挨拶じゃない」
「……黙れ、ノコノコこんなとこまで追ってくるなんて、脳ミソ足りてないんじゃないか? 」
おーおー、あんまりな言われようだ。
「ご心配なく、私は怪我一つしませんから」
私の一言でキレたらしい黒づくめが、バッと飛びかかってきた。
怒りに任せた攻撃ほど避けやすいものはない。
私は彼の鳩尾辺りに蹴りを食らわす。ごほっと彼は悶絶し、しばらくその場でぴくぴくと痙攣していた。
「……うそ、だろ、早い」
「獣人を舐めすぎだよ、お兄ちゃん」
伊達に王子さまの護衛をやっていない。あ、護衛なんてやったことないか。
私はグイとそいつの襟を持って引っ張りあげる。
「そんじゃ教えて貰いましょうか。貴方の狙いは何? なぜアステルたちを狙ったの? 」
「言うわけないだろ」
ふむ、そう来たか。ま、だよね。
「じゃ、質問を変えるね」
私は鋭い爪を剥き出しにすると、ひたりと彼の首筋に押し付ける。
「教えなさい、さもないとかっきるわよ。言っとくけど私はアステルほど優しくないの」
「ひっ……」
わずかにそいつの顔色が変わった。
うんうん、やっぱり脅しは効果抜群だな。
しかし
「なんちゃって、教えると思うか? 」
「は? 」
そのとき、私の足を銃弾が掠めた。 チリチリとした痛みが走り、私は思わず倒れ込む。
「何やってるんだNo.5。こんな犬と遊んでいるな」
顔をあげるとそこには何人もの黒づくめ。あー、やっぱり他に仲間がいたのか。
「すまない、油断した」
No.5と呼ばれたのがアステルたちを襲ったやつだ。
「良いか? 王位継承式までにアステルを殺せ。それが任務だ」
「分かってるよ、No.2」
No.2というのが私に銃を撃った奴らしい。むむむ、許せぬ。
「そんで、この番犬はどうする? 」
「殺せ。所詮ただの奴隷だ。誰も分かるまい」
了解、とNo.5が答え、私に向かって銃を突き付けた。
あーあ、これで私の今世も終わりか。前世よりは良い人生だったかな。
……なんちゃって
獣人の秘密、特別に見せてあげる
賑やかな表通りとは違って、人はいなく、ぞっとるぐらい寂しい。
だが、確かに奴はこの辺りにいる。
しばらくそうして走り回っていると、少し開けた場所に出た。
ゴミだらけで、まるで山のように積み重なっている。
嫌な臭いが鼻をつく。まずいな、やつの臭いを逃してしまいそうだ。
そのときだった
ゴミの山の影から何者かが飛び出した。咄嗟に私は身を捻り、その攻撃を避ける。
「ちっ」
そいつが舌打ちをした。
「あら、あんまりなご挨拶じゃない」
「……黙れ、ノコノコこんなとこまで追ってくるなんて、脳ミソ足りてないんじゃないか? 」
おーおー、あんまりな言われようだ。
「ご心配なく、私は怪我一つしませんから」
私の一言でキレたらしい黒づくめが、バッと飛びかかってきた。
怒りに任せた攻撃ほど避けやすいものはない。
私は彼の鳩尾辺りに蹴りを食らわす。ごほっと彼は悶絶し、しばらくその場でぴくぴくと痙攣していた。
「……うそ、だろ、早い」
「獣人を舐めすぎだよ、お兄ちゃん」
伊達に王子さまの護衛をやっていない。あ、護衛なんてやったことないか。
私はグイとそいつの襟を持って引っ張りあげる。
「そんじゃ教えて貰いましょうか。貴方の狙いは何? なぜアステルたちを狙ったの? 」
「言うわけないだろ」
ふむ、そう来たか。ま、だよね。
「じゃ、質問を変えるね」
私は鋭い爪を剥き出しにすると、ひたりと彼の首筋に押し付ける。
「教えなさい、さもないとかっきるわよ。言っとくけど私はアステルほど優しくないの」
「ひっ……」
わずかにそいつの顔色が変わった。
うんうん、やっぱり脅しは効果抜群だな。
しかし
「なんちゃって、教えると思うか? 」
「は? 」
そのとき、私の足を銃弾が掠めた。 チリチリとした痛みが走り、私は思わず倒れ込む。
「何やってるんだNo.5。こんな犬と遊んでいるな」
顔をあげるとそこには何人もの黒づくめ。あー、やっぱり他に仲間がいたのか。
「すまない、油断した」
No.5と呼ばれたのがアステルたちを襲ったやつだ。
「良いか? 王位継承式までにアステルを殺せ。それが任務だ」
「分かってるよ、No.2」
No.2というのが私に銃を撃った奴らしい。むむむ、許せぬ。
「そんで、この番犬はどうする? 」
「殺せ。所詮ただの奴隷だ。誰も分かるまい」
了解、とNo.5が答え、私に向かって銃を突き付けた。
あーあ、これで私の今世も終わりか。前世よりは良い人生だったかな。
……なんちゃって
獣人の秘密、特別に見せてあげる
0
お気に入りに追加
2,468
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します
みゅー
恋愛
乙女ゲームに、転生してしまった瑛子は自分の前世を思い出し、前世で培った処世術をフル活用しながら過ごしているうちに何故か、全く興味のない攻略対象に好かれてしまい、全力で逃げようとするが……
余談ですが、小説家になろうの方で題名が既に国語力無さすぎて読むきにもなれない、教師相手だと淫行と言う意見あり。
皆さんも、作者の国語力のなさや教師と生徒カップル無理な人はプラウザバック宜しくです。
作者に国語力ないのは周知の事実ですので、指摘なくても大丈夫です✨
あと『追われてしまった』と言う言葉がおかしいとの指摘も既にいただいております。
やらかしちゃったと言うニュアンスで使用していますので、ご了承下さいませ。
この説明書いていて、海外の商品は訴えられるから、説明書が長くなるって話を思いだしました。

変態王子&モブ令嬢 番外編
咲桜りおな
恋愛
「完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい」と
「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」の
番外編集です。
本編で描ききれなかったお話を不定期に更新しています。
「小説家になろう」でも公開しています。
【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った
五色ひわ
恋愛
辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。アメリアは真実を確かめるため、3年ぶりに王都へと旅立った。
※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。
たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。
しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。
そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。
ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。
というか、甘やかされてません?
これって、どういうことでしょう?
※後日談は激甘です。
激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。
※小説家になろう様にも公開させて頂いております。
ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。
タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です

仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

婚約者の側室に嫌がらせされたので逃げてみました。
アトラス
恋愛
公爵令嬢のリリア・カーテノイドは婚約者である王太子殿下が側室を持ったことを知らされる。側室となったガーネット子爵令嬢は殿下の寵愛を盾にリリアに度重なる嫌がらせをしていた。
いやになったリリアは王城からの逃亡を決意する。
だがその途端に、王太子殿下の態度が豹変して・・・
「いつわたしが婚約破棄すると言った?」
私に飽きたんじゃなかったんですか!?
……………………………
たくさんの方々に読んで頂き、大変嬉しく思っています。お気に入り、しおりありがとうございます。とても励みになっています。今後ともどうぞよろしくお願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる