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第28話 兄からの手紙
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それはとある朝、私はポストに一枚の封筒が入っていることに気がついた。
豪華な装飾が施されていて、普通ではないお達しなのだと察する。
「アステル様、お手紙が来てますよ」
未だに私の顔を見れないアステルがあ、ああと声をあげながらその手紙を受け取った。
「誰からですかね? 特に名前は書いてないですし」
しかしアステルはその封筒を一目見るだけで顔色を変える。
「……家からだ」
「家から!? 」
家ということは王様から!?
一体何の用事なのだろうか……。まさか処刑の通知ではないよな……。
嫌な予感が胸をよぎる。
いやいやいやでもそんな急に来ないだろう。第一、パーティー以降関わってないんだし。こんなんで殺されたらあまりにも理不尽過ぎる。
「兄さんから……」
はらりとアステルの手からそれが落ちた。私はそれを拾い上げると、目を通す。
兄さんってことはシュタインから!?
「えっと……お茶会の誘い? 」
それにはシュタイン王子からのお茶会の誘いが書かれていた。おまけに私の名前も書かれていて、ぜひ来て下さいと締められていた。
丁寧な字でさっぱりと書かれている。文面からは敵意は感じられないが、どうだろうか……。
「ど、ど、ど、ど、どうしよう!? 兄さんとお茶会!? 」
「あー、アステル様。この前のパーティーでお兄様と顔合わせていませんもんね……」
「断るか……」
まてまてまて、と私はアステルを制する。
「これはチャンスです! ここでお兄様と仲良くなっておけば処刑される可能性はグッと減りますよ」
「た、確かに……」
「でしょう? アステル様、行ってみましょうよ」
でもなぁ……と更に渋るアステル。
「兄さんは俺のことを明らかに嫌っていたし、もう何年も会話なんてしてないよ……」
「それはもう昔の話! 今は分からないじゃないですか」
子どもの頃の記憶なんて言うほどあてにならないものだ。
「そうかぁ……」
これはもう一押し!
「大丈夫です。もし何かトラブルが遭っても私が何とかしますから」
それに、と私は更に言葉を続ける。
「私はアステル様を死なせたくない。全力でお守り致します」
するとアステルは渋々、出席の手紙を書き始めたのであった。
手紙を書きながらアステルはぽつりと呟いた。
「兄さんのこと、好きになったりするなよ」
「は? 」
「……何でもない」
変なアステル。
だが身の振り方は考えなければなるまい。
シュタインに嫌われず、目の敵にされないようにしなければ。
そのためには失言なんてもってのほかだ。
こーして私はお茶会当日まで、様々な策略を練り始めたのであった。
豪華な装飾が施されていて、普通ではないお達しなのだと察する。
「アステル様、お手紙が来てますよ」
未だに私の顔を見れないアステルがあ、ああと声をあげながらその手紙を受け取った。
「誰からですかね? 特に名前は書いてないですし」
しかしアステルはその封筒を一目見るだけで顔色を変える。
「……家からだ」
「家から!? 」
家ということは王様から!?
一体何の用事なのだろうか……。まさか処刑の通知ではないよな……。
嫌な予感が胸をよぎる。
いやいやいやでもそんな急に来ないだろう。第一、パーティー以降関わってないんだし。こんなんで殺されたらあまりにも理不尽過ぎる。
「兄さんから……」
はらりとアステルの手からそれが落ちた。私はそれを拾い上げると、目を通す。
兄さんってことはシュタインから!?
「えっと……お茶会の誘い? 」
それにはシュタイン王子からのお茶会の誘いが書かれていた。おまけに私の名前も書かれていて、ぜひ来て下さいと締められていた。
丁寧な字でさっぱりと書かれている。文面からは敵意は感じられないが、どうだろうか……。
「ど、ど、ど、ど、どうしよう!? 兄さんとお茶会!? 」
「あー、アステル様。この前のパーティーでお兄様と顔合わせていませんもんね……」
「断るか……」
まてまてまて、と私はアステルを制する。
「これはチャンスです! ここでお兄様と仲良くなっておけば処刑される可能性はグッと減りますよ」
「た、確かに……」
「でしょう? アステル様、行ってみましょうよ」
でもなぁ……と更に渋るアステル。
「兄さんは俺のことを明らかに嫌っていたし、もう何年も会話なんてしてないよ……」
「それはもう昔の話! 今は分からないじゃないですか」
子どもの頃の記憶なんて言うほどあてにならないものだ。
「そうかぁ……」
これはもう一押し!
「大丈夫です。もし何かトラブルが遭っても私が何とかしますから」
それに、と私は更に言葉を続ける。
「私はアステル様を死なせたくない。全力でお守り致します」
するとアステルは渋々、出席の手紙を書き始めたのであった。
手紙を書きながらアステルはぽつりと呟いた。
「兄さんのこと、好きになったりするなよ」
「は? 」
「……何でもない」
変なアステル。
だが身の振り方は考えなければなるまい。
シュタインに嫌われず、目の敵にされないようにしなければ。
そのためには失言なんてもってのほかだ。
こーして私はお茶会当日まで、様々な策略を練り始めたのであった。
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