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第25話 発情期に悩む
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大変にまずいことになった……。
シュタインの誕生パーティーからしばらくして、なんだか調子が悪いなーと思っていたのだが、どうも違うらしい。
雑念が頭をグルグルかき回しているみたいで、何だか体が熱くて仕方がないのだ。
それにいつもは何とも思わないアステルの匂いがいやに強く感じられて脳を刺激する。
「これ……発情期ってやつ? 」
獣人が忌み嫌われている理由の一つに、この”発情期”という獣人特有の生理現象が挙げられる。
これはまあ説明しなくても分かりそうなものだが、要するに、周期的に異性を求めるあまり我を忘れてしまう、ってことだ。
パートナーのいる獣人にはこの現象は起こらず、いわゆる独り身の獣人だけがこれに悩まされる。
そして理性をなくして事件を起こしてしまう獣人だって少なくない。
だから獣人=乱暴、淫乱、犯罪者というイメージを持たれやすいというわけだ。
勿論人によって個人差はある。独り身でもまったく発情期の影響を受けない者もいるし、逆に大暴れしてしまう者もいる。私は今まで発情期に変な気持ちになったことがないので、影響を受けない組だと思っていたのだが……。
「ううう……」
頭から布団をかぶり、なるべくそっち方向のことは考えないようにする。
なぜだろう、この屋敷に来てから発情期の影響を受けやすくなっている。
大体発情期は三日もすれば綺麗さっぱりなくなるので、じっと我慢をしなければいけない。
一応アステルには風邪を引いたから部屋には入らないでと言ってあるので彼に危害を加えてしまうことはないだろう。
「三日……三日かあ……」
このモヤモヤに三日も耐えなければいけないのか……。
前世の生理痛も重くて大変だったけれど、今世も体質には悩まされる。
まあ、さっさと寝てしまおう。
そのとき、アステルの匂いが強くなった。
トントンと扉をノックする音がした。
「……ステラ、大丈夫? 」
なんてこと……まさかアステルがお見舞いに来るなんて……。
「う、うん、大丈夫! 」
「お粥作ったけど、食べない? 」
「あ、ありがとう。そこに置いといてください。後で頂きます」
こんな状態でアステルと顔を合わせる訳にはいかない。
「……食欲ないのか? 」
「あるあるある! 平気よ! 」
まずい、中々アステルがここから離れない。
それどころか彼の匂いが強くなってくる。
そしてガチャリという音と共に彼が部屋に入ってくるのが分かった。
慌ててベッドに顔を埋める私。なるべく彼の匂いを嗅がないように、顔を合わせないようにしなきゃ……。
「大丈夫かステラ? 病院に行った方が良いんじゃないか? 」
「大丈夫よ! 少し寝てれば治るから! 」
「……ならどうして俺と目を合わせないんだ? 」
えっとーーーそれはーーーー。
「風邪がうつると良くないからね!!!! アステルも早く出た方が良いよ」
彼の顔は見えないので分からないが、心配してくれているのが分かる。
「そうなのか? でも俺なら簡単な診断ぐらい出来るから診せてくれないか? 」
「いいいいいい、大丈夫だって!! ちょ、ちょっとアステルの匂いが……」
きつすぎて理性が飛びそうだ。
「俺の匂い!? そんな臭いのか!? 」
「いやそうじゃなくて……いや間違ってはない……? 」
やばい、熱に侵されたみたいでもう何にも考えられなくなってきた。
そしてアステルが私の布団を剥ぎ取り、私の額に手を当てた。
「虚ろだぞ、本当に大丈夫なのか……? 熱は……」
----アステルの手が私に肌に触れたとき、私の意識は吹っ飛んだ。
シュタインの誕生パーティーからしばらくして、なんだか調子が悪いなーと思っていたのだが、どうも違うらしい。
雑念が頭をグルグルかき回しているみたいで、何だか体が熱くて仕方がないのだ。
それにいつもは何とも思わないアステルの匂いがいやに強く感じられて脳を刺激する。
「これ……発情期ってやつ? 」
獣人が忌み嫌われている理由の一つに、この”発情期”という獣人特有の生理現象が挙げられる。
これはまあ説明しなくても分かりそうなものだが、要するに、周期的に異性を求めるあまり我を忘れてしまう、ってことだ。
パートナーのいる獣人にはこの現象は起こらず、いわゆる独り身の獣人だけがこれに悩まされる。
そして理性をなくして事件を起こしてしまう獣人だって少なくない。
だから獣人=乱暴、淫乱、犯罪者というイメージを持たれやすいというわけだ。
勿論人によって個人差はある。独り身でもまったく発情期の影響を受けない者もいるし、逆に大暴れしてしまう者もいる。私は今まで発情期に変な気持ちになったことがないので、影響を受けない組だと思っていたのだが……。
「ううう……」
頭から布団をかぶり、なるべくそっち方向のことは考えないようにする。
なぜだろう、この屋敷に来てから発情期の影響を受けやすくなっている。
大体発情期は三日もすれば綺麗さっぱりなくなるので、じっと我慢をしなければいけない。
一応アステルには風邪を引いたから部屋には入らないでと言ってあるので彼に危害を加えてしまうことはないだろう。
「三日……三日かあ……」
このモヤモヤに三日も耐えなければいけないのか……。
前世の生理痛も重くて大変だったけれど、今世も体質には悩まされる。
まあ、さっさと寝てしまおう。
そのとき、アステルの匂いが強くなった。
トントンと扉をノックする音がした。
「……ステラ、大丈夫? 」
なんてこと……まさかアステルがお見舞いに来るなんて……。
「う、うん、大丈夫! 」
「お粥作ったけど、食べない? 」
「あ、ありがとう。そこに置いといてください。後で頂きます」
こんな状態でアステルと顔を合わせる訳にはいかない。
「……食欲ないのか? 」
「あるあるある! 平気よ! 」
まずい、中々アステルがここから離れない。
それどころか彼の匂いが強くなってくる。
そしてガチャリという音と共に彼が部屋に入ってくるのが分かった。
慌ててベッドに顔を埋める私。なるべく彼の匂いを嗅がないように、顔を合わせないようにしなきゃ……。
「大丈夫かステラ? 病院に行った方が良いんじゃないか? 」
「大丈夫よ! 少し寝てれば治るから! 」
「……ならどうして俺と目を合わせないんだ? 」
えっとーーーそれはーーーー。
「風邪がうつると良くないからね!!!! アステルも早く出た方が良いよ」
彼の顔は見えないので分からないが、心配してくれているのが分かる。
「そうなのか? でも俺なら簡単な診断ぐらい出来るから診せてくれないか? 」
「いいいいいい、大丈夫だって!! ちょ、ちょっとアステルの匂いが……」
きつすぎて理性が飛びそうだ。
「俺の匂い!? そんな臭いのか!? 」
「いやそうじゃなくて……いや間違ってはない……? 」
やばい、熱に侵されたみたいでもう何にも考えられなくなってきた。
そしてアステルが私の布団を剥ぎ取り、私の額に手を当てた。
「虚ろだぞ、本当に大丈夫なのか……? 熱は……」
----アステルの手が私に肌に触れたとき、私の意識は吹っ飛んだ。
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