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第16話 自信は大事
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一晩明けると、子ども熱はすっかり下がり、体にあった発疹もきれいさっぱりなくなっていた。
今は私の作ったアイスクリームを美味しそうに食べている。
「美味しい! お姉ちゃん凄いね~」
可愛い女の子で、大きな目がくるくるとよく動く。
前世の妹を思い出して、私としたことがしんみりしてしまう。
「ふふ、良かった。たくさんあるから食べてね」
「うん! そうだ、お姉ちゃんはなんてお名前? 私はエリーって言うの! 」
「エリーちゃんか。可愛いお名前ね。私はステラよ」
「ステラちゃんは料理上手だねー」
にこーっと笑うエリー。
ああ可愛い……やっぱり小さい子って可愛いね。
「ステラちゃんは何で尻尾と耳があるの? 」
「んー、何でかなー。生まれつきかなー」
こんな小さい子に種族という概念は分からないだろう。
「良いなー! 触っても良い? 」
良いよ、と私は答える。
すると私の自慢のふわふわの尻尾を触ってエリーはご満悦だ。
「すごーい! ふわふわだ! 」
「ふふふ、ありがとう」
しかし傍らの母親が辛そうな顔をしているのが分かった。
やべ、基本的にこの世界の人は獣人嫌いなんだった。
我が子が獣人の尻尾を触っているのを見て良い気はしないかも。
「あ、ごめんなさい」
私はぱっとエリーから離れる。
しかし母親が発した言葉は意外なものだった。
「申し訳ありませんステラさん」
深々と頭を下げる彼女に私は慌てる。
「ええ!? どうしたんですか、顔を上げてください」
「私は貴女に大変失礼なことを言ってしまいました。命の恩人に向かって……申し訳ないです」
「良いんですよ、気にしないで下さい。私が獣人で奴隷なのは事実なんですから」
「表面的なことしか見ていなかった自分が恥ずかしいです」
母親も聡明な女性なのだろう。
「ママー? どうしたの? 」
エリーが不思議そうに私たちを眺める。
「ううん、何でもないよ。ほらエリーちゃん、アイスクリームまだ食べる? 」
「うん! 」
「じゃあ持ってくるね」
すれ違い様に私は母親に囁く。
「私は貴女みたいな人に出会えて、少し救われました」
獣人と人間、分かり合える日がいつか来たら良いなと心の底から思う。
そして部屋を出ると、隠れるようにアステルの姿が。
「……何してるんですか? 」
「いや……その……女の子の様子が気になって……」
堂々と部屋に入れば良いのに。
とは言えなかった。
「熱も下がったし顔色も良いですよ、私の尻尾で遊べるぐらい元気です」
良かった……と胸を撫で下ろす彼。
うーん、もうちょい自信をつければ良いのになぁ。
「アステル様のお陰で一人の命が助かったんですよ、自信持ってください」
「いや……俺は……」
「堂々としてれば素敵な王子様なんですから!」
すると彼は顔を真っ赤にして私の顔を眺めていた。あれ? そんなに私変なこと言っただろうか……?
今は私の作ったアイスクリームを美味しそうに食べている。
「美味しい! お姉ちゃん凄いね~」
可愛い女の子で、大きな目がくるくるとよく動く。
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「うん! そうだ、お姉ちゃんはなんてお名前? 私はエリーって言うの! 」
「エリーちゃんか。可愛いお名前ね。私はステラよ」
「ステラちゃんは料理上手だねー」
にこーっと笑うエリー。
ああ可愛い……やっぱり小さい子って可愛いね。
「ステラちゃんは何で尻尾と耳があるの? 」
「んー、何でかなー。生まれつきかなー」
こんな小さい子に種族という概念は分からないだろう。
「良いなー! 触っても良い? 」
良いよ、と私は答える。
すると私の自慢のふわふわの尻尾を触ってエリーはご満悦だ。
「すごーい! ふわふわだ! 」
「ふふふ、ありがとう」
しかし傍らの母親が辛そうな顔をしているのが分かった。
やべ、基本的にこの世界の人は獣人嫌いなんだった。
我が子が獣人の尻尾を触っているのを見て良い気はしないかも。
「あ、ごめんなさい」
私はぱっとエリーから離れる。
しかし母親が発した言葉は意外なものだった。
「申し訳ありませんステラさん」
深々と頭を下げる彼女に私は慌てる。
「ええ!? どうしたんですか、顔を上げてください」
「私は貴女に大変失礼なことを言ってしまいました。命の恩人に向かって……申し訳ないです」
「良いんですよ、気にしないで下さい。私が獣人で奴隷なのは事実なんですから」
「表面的なことしか見ていなかった自分が恥ずかしいです」
母親も聡明な女性なのだろう。
「ママー? どうしたの? 」
エリーが不思議そうに私たちを眺める。
「ううん、何でもないよ。ほらエリーちゃん、アイスクリームまだ食べる? 」
「うん! 」
「じゃあ持ってくるね」
すれ違い様に私は母親に囁く。
「私は貴女みたいな人に出会えて、少し救われました」
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そして部屋を出ると、隠れるようにアステルの姿が。
「……何してるんですか? 」
「いや……その……女の子の様子が気になって……」
堂々と部屋に入れば良いのに。
とは言えなかった。
「熱も下がったし顔色も良いですよ、私の尻尾で遊べるぐらい元気です」
良かった……と胸を撫で下ろす彼。
うーん、もうちょい自信をつければ良いのになぁ。
「アステル様のお陰で一人の命が助かったんですよ、自信持ってください」
「いや……俺は……」
「堂々としてれば素敵な王子様なんですから!」
すると彼は顔を真っ赤にして私の顔を眺めていた。あれ? そんなに私変なこと言っただろうか……?
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