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第2話 彼の狙いは?
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「あ、あのー……」
どうも皆さん、私です。
なぜかまだ私は生きています。
それどころか首には重たい首輪を付けられ、その紐の先はアステルの手の中にある。
「ええ!? 王族であるアステル様が汚らしい獣人なんかを!? 」
汚らしいだなんて失礼だな。
もふもふの耳と尻尾は自慢だし、その辺りの人間よりは力だってあるんだぞ。
「悪いか? 」
うええ? 私、アステルに買われたの?
確かにアステルが何か書類を書いているのが分かった。
嫌な予感が脳裏を駆け巡る。
王族を怒らせた私は、ただでは殺さず、奴隷としてこき使われるか、ボロ雑巾のように拷問されて殺されるのだろうか……?
ええい、そしたら私のもプライドがある!! 舌を噛み切って潔く死んでやろう!!
「いや悪くはないですが……アステル様には美しいエルフの女や、人魚のハーフなどなど、もっと上級の奴隷が良いと思いますけどね。それに獣女では抱き心地も悪いでしょう」
だ、だ、だ、だ、抱き心地!?? まさか私、あんなことやこんなことをされてしまうの!?
「え、えっと。私まだ経験がないんでそういうのはご遠慮願いたいんですけど……」
「ふん、別にそんなことをする為に買った訳ではない。おい、こいつはいくらだ」
アステルに睨まれて慌てる奴隷商人のおっさん。へへん、ざまぁ見ろ、このおっさんはいつも私のご飯を抜くし、虫の居所が悪いと蹴り飛ばしてくるから大嫌いだ。
「は、はい。この奴隷は売れ残りでしてね、お近づきの印にタダで良いですよ」
タダ!?!?! 私って一円の価値もない女なの!?
自分で言っといて何だか悲しくなってきた。
いや別に高値で買われたいわけじゃないんだけどね。いかんいかん、長年の奴隷生活が染みついているのかもしれない。
しかしアステルは自分の懐から金貨の袋が入った麻袋を取り出すと、奴隷商人の顔にぶん投げた。
「俺はお前とお近づきになるつもりはない。それだけあれば足りるだろ、くれてやるよ」
イ、イケメンだ!! 私は思わずアステルをジロジロと見つめる。
ゲームでは攻略対象のキャラじゃないし、ぶっちゃけそこまで印象に残っていなかったのだけどやはり乙女ゲームの登場人物、顔は言わずもがな、行動までイケメンだ。
「何ジロジロ見てんだ。さっさと行くぞ」
グイっと紐を引かれて引きずられる私。
これじゃあまるで犬の散歩じゃないか!!
前言撤回、悪役王子はやっぱり悪役王子なのだった。
そんなやつに買われてしまった私は一体どんな目に遭わされるのだろうか?
ああ……それを想像してしまうと今から胃が痛くなる。
どうも皆さん、私です。
なぜかまだ私は生きています。
それどころか首には重たい首輪を付けられ、その紐の先はアステルの手の中にある。
「ええ!? 王族であるアステル様が汚らしい獣人なんかを!? 」
汚らしいだなんて失礼だな。
もふもふの耳と尻尾は自慢だし、その辺りの人間よりは力だってあるんだぞ。
「悪いか? 」
うええ? 私、アステルに買われたの?
確かにアステルが何か書類を書いているのが分かった。
嫌な予感が脳裏を駆け巡る。
王族を怒らせた私は、ただでは殺さず、奴隷としてこき使われるか、ボロ雑巾のように拷問されて殺されるのだろうか……?
ええい、そしたら私のもプライドがある!! 舌を噛み切って潔く死んでやろう!!
「いや悪くはないですが……アステル様には美しいエルフの女や、人魚のハーフなどなど、もっと上級の奴隷が良いと思いますけどね。それに獣女では抱き心地も悪いでしょう」
だ、だ、だ、だ、抱き心地!?? まさか私、あんなことやこんなことをされてしまうの!?
「え、えっと。私まだ経験がないんでそういうのはご遠慮願いたいんですけど……」
「ふん、別にそんなことをする為に買った訳ではない。おい、こいつはいくらだ」
アステルに睨まれて慌てる奴隷商人のおっさん。へへん、ざまぁ見ろ、このおっさんはいつも私のご飯を抜くし、虫の居所が悪いと蹴り飛ばしてくるから大嫌いだ。
「は、はい。この奴隷は売れ残りでしてね、お近づきの印にタダで良いですよ」
タダ!?!?! 私って一円の価値もない女なの!?
自分で言っといて何だか悲しくなってきた。
いや別に高値で買われたいわけじゃないんだけどね。いかんいかん、長年の奴隷生活が染みついているのかもしれない。
しかしアステルは自分の懐から金貨の袋が入った麻袋を取り出すと、奴隷商人の顔にぶん投げた。
「俺はお前とお近づきになるつもりはない。それだけあれば足りるだろ、くれてやるよ」
イ、イケメンだ!! 私は思わずアステルをジロジロと見つめる。
ゲームでは攻略対象のキャラじゃないし、ぶっちゃけそこまで印象に残っていなかったのだけどやはり乙女ゲームの登場人物、顔は言わずもがな、行動までイケメンだ。
「何ジロジロ見てんだ。さっさと行くぞ」
グイっと紐を引かれて引きずられる私。
これじゃあまるで犬の散歩じゃないか!!
前言撤回、悪役王子はやっぱり悪役王子なのだった。
そんなやつに買われてしまった私は一体どんな目に遭わされるのだろうか?
ああ……それを想像してしまうと今から胃が痛くなる。
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