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第21話 お得意様
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「旦那、どんなお仕事をしてるん? こんなに稼げるなんて……勇者か何かやろ」
「いや違う、ただの一般人だよ」
まあ、半分正解と言えば正解だが。
「それでサクヤ、その天使の涙はまだあるのか? 」
「へ? 」
ポカンと口を開けるサクヤ。
そしてすぐにまさか、とでも言いたげに体を震わせた。
「……まだ欲しいん? 」
「ああそうだ。あるだけ欲しい」
「……えっと」
サクヤは再び自分の荷物を漁り出すと、もう2つ、天使の涙を取り出した。
「今あるのはこれだけやね」
「じゃあ全て買おう。1億で良いか? 」
俺は再び金を取り出そうとカバンに手を突っ込む。しかしサクヤはストーップとそれを制した。
「おまけや。この2つはタダであげるわ」
「え!? 」
今度は俺が目を見開く。
「どういう訳かは分からんけど旦那はかなりの上客になってくれそうな気がするんや。その代わり今後もうちから商品を購入する、というのはどうや? 」
他にはない珍しい商品を売ってくれるサクヤ、もしかしたら今後もお世話になるかもしれない。
「ああこちらこそ、よろしく頼む」
「決まりやな」
サクヤはニッといたずらっぽく笑うと、握手を求めてきた。俺はその手を取ると、固く握り締める。
底の知れない少女だが、嘘はついてないような気がした。
「そや、旦那名前は? 」
「ヨリだ」
「ヨリね」
するとサクヤはサラサラと何か紙を書くと、俺に手渡した。
その紙には「めんばーずかーど ヨリ様」と書かれていた。
「何だこれ? 」
思わず首をかしげた俺に、サクヤは得意気にこう続ける。
「ふふん、それは特別なお客にしか出さない超レアカードよ。それさえあればいつでもここに移動出来るからぜひ使ってな」
「え!? 」
こんな紙切れにそんな力が……!?
と俺はまじまじと見つめる。
「ヨリ、他には何か買うもんはないん? 例えばそやなー」
サクヤはずいと俺に近寄ると、まじまじと見つめる。
こんな美少女に近寄られたことがない俺は思わず後ろに下がる。
「ちゃんとした装備をすればええのに。そんな魔法もかかっていない服じゃ危なかろう」
「装備……? 」
そういえばずっと地球の服を着てるな……。
ここはファンタジーな世界なのだ、そこそこの装備を着ておけばシエルの手を煩わせることもないかもしれない。
「色々あるよ、そうやね~。ヨリは非力そうやし、この辺りなんてどうや? 」
サクヤが取り出したのは真っ白なローブ。
シンプルな作りでとても着やすそうだ。
「"雪獅子のローブ"。夏でも涼しくて快適という優れものよ」
「うーん……でも白は落ち着かないな。汚れが目立ちそうだし」
万年黒い服を着ていた俺には少々気後れしてしまう。
「じゃあこれや! "死神の装束"」
雪獅子のローブとは逆に、真っ黒なローブだが、見るだけでぞくりとするような寒気を纏っている。
「こんなん着たら早死にしそう……大丈夫? 」
「も~~注文が多いなぁ」
そのとき俺は一着のローブに目を奪われた。
薄い水色で、飾り気の少ないローブだ。
いや、これはローブというより日本の甚平に近い。
「これは? 」
俺は思わず手に取った。
するとサクヤは顔色を変えた。
「そ、それは……非売品や。うちのコレクションみたいなもんや」
「非売品? 」
光のあたり方でチラチラと色が変わるそれは、驚くほど美しい。黒い服しか身につけない俺でも興味を抱いた。
「むむむむ………それはうちの国では神衣と呼ばれる特別な服なんや」
「神衣? 」
「神の祝福を受けたありがたーい服なんやよ。でもまあ……」
お、これはお金を積めば売ってくれそうな気がする。
「1億出そう」
「……もう何か大金過ぎて感覚が分かんなくなってきたわ。えーいしゃあないな! ヨリへは特別や。持っていけい! 」
よっしゃ!
こうして俺はどさくさ紛れに装備を手に入れたのである!
「いや違う、ただの一般人だよ」
まあ、半分正解と言えば正解だが。
「それでサクヤ、その天使の涙はまだあるのか? 」
「へ? 」
ポカンと口を開けるサクヤ。
そしてすぐにまさか、とでも言いたげに体を震わせた。
「……まだ欲しいん? 」
「ああそうだ。あるだけ欲しい」
「……えっと」
サクヤは再び自分の荷物を漁り出すと、もう2つ、天使の涙を取り出した。
「今あるのはこれだけやね」
「じゃあ全て買おう。1億で良いか? 」
俺は再び金を取り出そうとカバンに手を突っ込む。しかしサクヤはストーップとそれを制した。
「おまけや。この2つはタダであげるわ」
「え!? 」
今度は俺が目を見開く。
「どういう訳かは分からんけど旦那はかなりの上客になってくれそうな気がするんや。その代わり今後もうちから商品を購入する、というのはどうや? 」
他にはない珍しい商品を売ってくれるサクヤ、もしかしたら今後もお世話になるかもしれない。
「ああこちらこそ、よろしく頼む」
「決まりやな」
サクヤはニッといたずらっぽく笑うと、握手を求めてきた。俺はその手を取ると、固く握り締める。
底の知れない少女だが、嘘はついてないような気がした。
「そや、旦那名前は? 」
「ヨリだ」
「ヨリね」
するとサクヤはサラサラと何か紙を書くと、俺に手渡した。
その紙には「めんばーずかーど ヨリ様」と書かれていた。
「何だこれ? 」
思わず首をかしげた俺に、サクヤは得意気にこう続ける。
「ふふん、それは特別なお客にしか出さない超レアカードよ。それさえあればいつでもここに移動出来るからぜひ使ってな」
「え!? 」
こんな紙切れにそんな力が……!?
と俺はまじまじと見つめる。
「ヨリ、他には何か買うもんはないん? 例えばそやなー」
サクヤはずいと俺に近寄ると、まじまじと見つめる。
こんな美少女に近寄られたことがない俺は思わず後ろに下がる。
「ちゃんとした装備をすればええのに。そんな魔法もかかっていない服じゃ危なかろう」
「装備……? 」
そういえばずっと地球の服を着てるな……。
ここはファンタジーな世界なのだ、そこそこの装備を着ておけばシエルの手を煩わせることもないかもしれない。
「色々あるよ、そうやね~。ヨリは非力そうやし、この辺りなんてどうや? 」
サクヤが取り出したのは真っ白なローブ。
シンプルな作りでとても着やすそうだ。
「"雪獅子のローブ"。夏でも涼しくて快適という優れものよ」
「うーん……でも白は落ち着かないな。汚れが目立ちそうだし」
万年黒い服を着ていた俺には少々気後れしてしまう。
「じゃあこれや! "死神の装束"」
雪獅子のローブとは逆に、真っ黒なローブだが、見るだけでぞくりとするような寒気を纏っている。
「こんなん着たら早死にしそう……大丈夫? 」
「も~~注文が多いなぁ」
そのとき俺は一着のローブに目を奪われた。
薄い水色で、飾り気の少ないローブだ。
いや、これはローブというより日本の甚平に近い。
「これは? 」
俺は思わず手に取った。
するとサクヤは顔色を変えた。
「そ、それは……非売品や。うちのコレクションみたいなもんや」
「非売品? 」
光のあたり方でチラチラと色が変わるそれは、驚くほど美しい。黒い服しか身につけない俺でも興味を抱いた。
「むむむむ………それはうちの国では神衣と呼ばれる特別な服なんや」
「神衣? 」
「神の祝福を受けたありがたーい服なんやよ。でもまあ……」
お、これはお金を積めば売ってくれそうな気がする。
「1億出そう」
「……もう何か大金過ぎて感覚が分かんなくなってきたわ。えーいしゃあないな! ヨリへは特別や。持っていけい! 」
よっしゃ!
こうして俺はどさくさ紛れに装備を手に入れたのである!
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