チートなかったからパーティー追い出されたけど、お金無限増殖バグで自由気ままに暮らします

寿司

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第14話 二人でご飯

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お腹も空いたし、シエルを連れてルーナの食堂に来た俺たち。
 
「いらっしゃーい、あらヨリじゃない! 」

 ルーナは依然として明るく接客をしている。

「ひっ……」

 ルーナの大きな声にびっくりしたのか、シエルが小さく悲鳴をあげて俺の背中に隠れる。

「んん? その子は初めて見る子だね……すっごく綺麗な女の子だ! 」

「ああ彼女は……」

 ここは何と誤魔化すのが正解だろうか。友達、にしては年が離れすぎているし、妹にしては似ていない。恋人、なんて論外だし、奴隷を買ったなんて馬鹿正直に答えるのもナンセンスだ。

「娘みたいなものだ」

 娘とは言っていない。娘みたいなものだ。

 ルーナはふーんと少々怪訝そうな顔をしたものの、それ以上何も聞いては来なかった。どうやら複雑な事情があるのだと想像したらしい。

「シエルは少々人見知りだからな、あんまりいじらないでやってくれ」

「シエルちゃんって言うのね。可愛い~~! 本当は抱き締めたいけど我慢するわ」

 ルーナはさあさあ、座って。と俺たちを席に案内してくれた。

「お腹空いてるだろ? 何でも頼んで良いぞ」

「え、でも……」

 遠慮がちにもじもじとするシエル。

「遠慮するな。このパワフルデラックスランチなんて美味かったぞ」

 写真を指差すと、シエルは美味しそう! と目を輝かせる。  
 しかしすぐにはっとしたような表情をすると、首を横に振り始めた。

「い、いや私はこのサラダだけで大丈夫です」

「それだけで足りるのか? シエルは細すぎだぞ、もっと食べた方が……」

「良いんです! 」

 まあ彼女にも彼女の事情があるのか……。しかしシエルはしょぼんとした様子でランチを見つめている。

「注文決まったー? 」

「ああ。パワフルデラックスランチ1人前とサラダで」

「はーい」

 注文を取り終えたルーナがパタパタと厨房へと消えていく。

 シエルはその様子を不思議そうに見つめていた。

「凄いです……外の世界はこうなっているのですね」

「外の世界って……シエルは奴隷だった期間が長いのか? 」

「そう、ですね」

 顔を曇らせるシエル。まずい、聞いてはいけないことに触れてしまったのかもしれない。

「ま、過去なんて関係ないよな。変なこと聞いて悪いな」

 シエルは曖昧に微笑んだだけで、特に何も言わなかった。

 そうしてポツポツ雑談をしているうちに、注文した料理が運ばれてきた。

「はーいお待たせ。サラダは誰? 」

「俺だ」

 えっ!? とした顔でシエルが目を丸くする。

「シエルちゃんがランチね。じゃあごゆっくり」

「あ、あの。注文逆です。私がサラダで……」

「あれ? そんなの? 」

 ルーナが俺を見つめる。

「いや、合ってるぞ。もうこの年になると胃が弱くてな。美味しいから頼んでみたが今日はキツそうだ。シエル、代わりに食べてくれないか? 」

「ヨリはもうおっさんだねー。ほらほら、シエルちゃん食べちゃいなよ」

 シエルの目が輝き始めた。
 そして数回確かめるように俺と料理を見る。
 俺が黙って頷いてやると、シエルは勢い良く食べ始めた。

「良い食べっぷり。……粋なことするね」

 ルーナがちらりと俺を見たが、俺は何のことだか、と彼女から視線を逸らした。
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