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第12話 オークション
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奴隷売買というのはいわゆるオークションで行われるらしい。次々値段を値段を提示していき、一番高額を言った者がその奴隷を手に入れることが出来るのだ。
「じゃ、かんばれや」
案内人は俺を会場まで連れていくと、さっさとどこかへと戻っていった。
急に一人になり心細くなった俺だが、人の波に飲み込まれる形で中に入ったのだった。
丁度オークションの途中だったらしい、それはあまりにも異様な光景だった。
ステージに人魚の少女が入った水槽がポツンと置かれていて、客席の人間が大声で金額を提示していく。
司会らしき男が更に大金を引っ張ろうと、客を煽る声が不協和音のように響いていた。
「はい、それでは100万ゴールドで落札です! ありがとうございまーす! 」
どうやら人魚の所有者が決まったようだ。ステージ上に上がった一人の仮面の人間が、司会から鍵のようなものを受け取ると、人魚の水槽と共に舞台裏へと消えていった。
「ちっ、人魚は中々出ないから欲しかったんだけどな」
「観賞用にうってつけだしね」
「それに人魚ってのは足がないから逃げないらしい」
客席からはガヤガヤと雑談が始まる。どれもこれも悪趣味で耳を塞ぎたくなる。
まあ、ここに来ている時点で俺も同類かもしれないが……。
「でも今日の目玉は人魚じゃないらしいぞ? どうやら竜族を捕まえたとか……」
「竜族!? はは、そんなん都市伝説さ。いやそれが本当ならいくら積んでも欲しいねえ」
するとパッと照明が落ちた。
真っ暗になる会場。そしてすぐにやたらとテンションが高い司会の声が響き渡った。
「皆さん大変お待たせいたしました!! 本日の目玉商品の登場です!! 」
スポットライトがいつの間にかステージに立っていた一人の少女に当たる。
白銀の長い絹のような髪、息を飲むぐらい整った顔立ち。真珠のように透き通る白い肌。
年齢は15~16ぐらいだろうか? まだ幼さを残しているものの、はっとするような魅力があった。
そして頭には一対の鹿のような角が鎮座していた。
少女の満月のように金色の瞳は何も映していなかった。全てを諦め放棄したような、そんな表情をしていた。
「彼女は最強の種族と言われている竜族の生き残り! レア中のレアでございます!! 」
おおおおと歓声が上がった。
しかし少女は表情一つ動かさない。
「彼女を買うのは一体誰なんでしょうか? 1000万からスタートです! 」
口々に皆値段を口にしていく。
1100、1200……どんどん値段は吊り上がり、ついには2000万に到達した。
「竜族……最強の種族か」
彼女ならば俺の護衛にうってつけかもしれない。
奴隷としてならばおそらく俺を裏切ることはない。
俺はつい値段を口にしてしまった。
「1億」
シーンと辺りが静まり返ったのが分かった。俺の声だけが木霊していた。
「い、いちおく……? 」
司会の困惑した声がようやく飛び出す。俺はああ、と頷いた。
「1億なんて勝てる訳ねえよ……」
「あいつ本当に払えるのか? 」
と皆が口々に話始めた。
「1億を超えられる人はいませんか……? 」
司会が辺りを見回すも、手があがりそうにはない。
「ら、落札です!! 1億で竜族の少女をお買い上げ! 」
俺は案内されるまま壇上に立たされる。そして大量のゴールドを突き付けてやると、係りの人たちは驚いた様子で数え始めた。
きっと冷やかしだと思っていたのだろう、まさか本当に1億を払えるわけがないと踏んでたらしい。
「た、確かに1億です。ありがとうございます」
俺は司会から鍵を受け取ると、少女の手を取った。
「じゃあ行こうか」
こんな場所、一刻も早く出てしまいたい。
俺は少女の手を引き、オークション会場を後にした。
少女は何も答えなかった。
ただ俺に手を引かれるまま、歩き始めた。
後ろでは今だけざわめきが起こっていたが、俺は聞こえない振りをした。
「じゃ、かんばれや」
案内人は俺を会場まで連れていくと、さっさとどこかへと戻っていった。
急に一人になり心細くなった俺だが、人の波に飲み込まれる形で中に入ったのだった。
丁度オークションの途中だったらしい、それはあまりにも異様な光景だった。
ステージに人魚の少女が入った水槽がポツンと置かれていて、客席の人間が大声で金額を提示していく。
司会らしき男が更に大金を引っ張ろうと、客を煽る声が不協和音のように響いていた。
「はい、それでは100万ゴールドで落札です! ありがとうございまーす! 」
どうやら人魚の所有者が決まったようだ。ステージ上に上がった一人の仮面の人間が、司会から鍵のようなものを受け取ると、人魚の水槽と共に舞台裏へと消えていった。
「ちっ、人魚は中々出ないから欲しかったんだけどな」
「観賞用にうってつけだしね」
「それに人魚ってのは足がないから逃げないらしい」
客席からはガヤガヤと雑談が始まる。どれもこれも悪趣味で耳を塞ぎたくなる。
まあ、ここに来ている時点で俺も同類かもしれないが……。
「でも今日の目玉は人魚じゃないらしいぞ? どうやら竜族を捕まえたとか……」
「竜族!? はは、そんなん都市伝説さ。いやそれが本当ならいくら積んでも欲しいねえ」
するとパッと照明が落ちた。
真っ暗になる会場。そしてすぐにやたらとテンションが高い司会の声が響き渡った。
「皆さん大変お待たせいたしました!! 本日の目玉商品の登場です!! 」
スポットライトがいつの間にかステージに立っていた一人の少女に当たる。
白銀の長い絹のような髪、息を飲むぐらい整った顔立ち。真珠のように透き通る白い肌。
年齢は15~16ぐらいだろうか? まだ幼さを残しているものの、はっとするような魅力があった。
そして頭には一対の鹿のような角が鎮座していた。
少女の満月のように金色の瞳は何も映していなかった。全てを諦め放棄したような、そんな表情をしていた。
「彼女は最強の種族と言われている竜族の生き残り! レア中のレアでございます!! 」
おおおおと歓声が上がった。
しかし少女は表情一つ動かさない。
「彼女を買うのは一体誰なんでしょうか? 1000万からスタートです! 」
口々に皆値段を口にしていく。
1100、1200……どんどん値段は吊り上がり、ついには2000万に到達した。
「竜族……最強の種族か」
彼女ならば俺の護衛にうってつけかもしれない。
奴隷としてならばおそらく俺を裏切ることはない。
俺はつい値段を口にしてしまった。
「1億」
シーンと辺りが静まり返ったのが分かった。俺の声だけが木霊していた。
「い、いちおく……? 」
司会の困惑した声がようやく飛び出す。俺はああ、と頷いた。
「1億なんて勝てる訳ねえよ……」
「あいつ本当に払えるのか? 」
と皆が口々に話始めた。
「1億を超えられる人はいませんか……? 」
司会が辺りを見回すも、手があがりそうにはない。
「ら、落札です!! 1億で竜族の少女をお買い上げ! 」
俺は案内されるまま壇上に立たされる。そして大量のゴールドを突き付けてやると、係りの人たちは驚いた様子で数え始めた。
きっと冷やかしだと思っていたのだろう、まさか本当に1億を払えるわけがないと踏んでたらしい。
「た、確かに1億です。ありがとうございます」
俺は司会から鍵を受け取ると、少女の手を取った。
「じゃあ行こうか」
こんな場所、一刻も早く出てしまいたい。
俺は少女の手を引き、オークション会場を後にした。
少女は何も答えなかった。
ただ俺に手を引かれるまま、歩き始めた。
後ろでは今だけざわめきが起こっていたが、俺は聞こえない振りをした。
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