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第10話 奪い返す
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「いやー、やりましたね。あんなカモがこんなところにいるなんて」
「ガハハハ。これで当分食うには困らないな」
……目標発見。
彼らはそう遠くないところで呑気に酒盛りをしている最中だった。
下品な笑い声が響き渡り、これまた街の景観を損ねている。
おそらく俺が追ってくるわけないと踏んでのことだろう。それにしては間抜けだ。
俺は声が聞こえるギリギリのところに転がっていた瓦礫に身を隠し、彼らの会話に聞き耳をたてる。
「じゃあ早速、大金とご対面といこうか! 」
ぎゃはははという育ちが悪そうな下品な笑い声が響く。いやまあ俺も育ちは悪いんだけどさ、あんな大声で笑ったりはしないよ……。
俺のカバンを奴等が引っくり返す。……しかし何も出ては来ない。
「あ? 」
明らかにイラついた様子のボスらしき男。
ピキピキと額に青筋を立てている。
「ど、どういうことだこりゃ……あいつこっから金を……」
「分かんねえ……まさか何か魔法でもかかってんのか……? 」
ザワめき始める男ども。
「さ、探せ! 中までくまなく! 」
「空っぽです。何も入っていません」
「そんなわけねえだろ! 」
いい感じに慌て出した彼らは、ひどく焦っているようだ。大金が手に入るアテが外れて狼狽している。
よし、今だ!
俺は袋から先ほど購入した闇の魔結晶を20個ほど割る。1個だけだと大したことは出来ないが、たくさん使えばどうなるだろうか……?
魔結晶は意外と脆く、手で握って力を入れるだけでパリンと音を立てて砕け散った。そしてすぐにモヤモヤと黒雲のようなものが広がる。
「……いけ! 」
大きく膨らんだ闇の塊を俺は奴等に向かって飛ばす。あっという間に夜になったように周囲は暗闇に包まれる。
「な、なんだ!? 」
「どうなってやがる!? 」
蜘蛛の子を散らしたように暴れる野郎共。それもそうだ、昼間だったのにいきなり暗闇に包まれれば恐怖に陥れられるのも無理はない。
「……お次はこれだ! 」
真っ正面から喧嘩を売っては、俺に勝ち目はない。
だから少々せこいものの、魔法を使って遠隔で彼らを叩くことにしよう。
俺は更に大量の火の魔結晶を砕く。
ごうと火柱が立つと、男たちを包み込む。彼らからしたらいきなり辺りが暗くなったと思ったら火柱に襲われたのだ。
ぎゃあああ!! と男たちが悲鳴をあげ、炎から逃げようと走り回っている。
「な、何だこれ……!? まさかさっきの男か? 」
「あいつ……魔導師だったのか……」
「このままじゃ焼き殺されちまう。逃げるぞ……!! 」
ボスらしき男のその声と共に、彼らは路地裏の奥へと消えて行った。
しばらく様子を見よう……人の気配はないな。
どうやらこの世界では魔導師というのは畏怖の対象らしい。都合良く誤解してくれたようだ。
本当はただの一般人なんだけどな……。
「まあ魔法なんて使えないんだけど」
俺は余った魔結晶を手で弄びながら奴等が置いていったカバンを手にとった。
うん、特に破れもほつれもないな。
やっぱり使い馴れたものの方が手に馴染む。
「よし、帰ろう」
このままここにいてもろくなことはない。むしろあいつらが仲間を連れてきても面倒だ。
俺は足早に家に戻ることにしたのである。
……それにしても泥棒対策はしなきゃならないな。流石に俺も迂闊だったと反省しなくては。
「ガハハハ。これで当分食うには困らないな」
……目標発見。
彼らはそう遠くないところで呑気に酒盛りをしている最中だった。
下品な笑い声が響き渡り、これまた街の景観を損ねている。
おそらく俺が追ってくるわけないと踏んでのことだろう。それにしては間抜けだ。
俺は声が聞こえるギリギリのところに転がっていた瓦礫に身を隠し、彼らの会話に聞き耳をたてる。
「じゃあ早速、大金とご対面といこうか! 」
ぎゃはははという育ちが悪そうな下品な笑い声が響く。いやまあ俺も育ちは悪いんだけどさ、あんな大声で笑ったりはしないよ……。
俺のカバンを奴等が引っくり返す。……しかし何も出ては来ない。
「あ? 」
明らかにイラついた様子のボスらしき男。
ピキピキと額に青筋を立てている。
「ど、どういうことだこりゃ……あいつこっから金を……」
「分かんねえ……まさか何か魔法でもかかってんのか……? 」
ザワめき始める男ども。
「さ、探せ! 中までくまなく! 」
「空っぽです。何も入っていません」
「そんなわけねえだろ! 」
いい感じに慌て出した彼らは、ひどく焦っているようだ。大金が手に入るアテが外れて狼狽している。
よし、今だ!
俺は袋から先ほど購入した闇の魔結晶を20個ほど割る。1個だけだと大したことは出来ないが、たくさん使えばどうなるだろうか……?
魔結晶は意外と脆く、手で握って力を入れるだけでパリンと音を立てて砕け散った。そしてすぐにモヤモヤと黒雲のようなものが広がる。
「……いけ! 」
大きく膨らんだ闇の塊を俺は奴等に向かって飛ばす。あっという間に夜になったように周囲は暗闇に包まれる。
「な、なんだ!? 」
「どうなってやがる!? 」
蜘蛛の子を散らしたように暴れる野郎共。それもそうだ、昼間だったのにいきなり暗闇に包まれれば恐怖に陥れられるのも無理はない。
「……お次はこれだ! 」
真っ正面から喧嘩を売っては、俺に勝ち目はない。
だから少々せこいものの、魔法を使って遠隔で彼らを叩くことにしよう。
俺は更に大量の火の魔結晶を砕く。
ごうと火柱が立つと、男たちを包み込む。彼らからしたらいきなり辺りが暗くなったと思ったら火柱に襲われたのだ。
ぎゃあああ!! と男たちが悲鳴をあげ、炎から逃げようと走り回っている。
「な、何だこれ……!? まさかさっきの男か? 」
「あいつ……魔導師だったのか……」
「このままじゃ焼き殺されちまう。逃げるぞ……!! 」
ボスらしき男のその声と共に、彼らは路地裏の奥へと消えて行った。
しばらく様子を見よう……人の気配はないな。
どうやらこの世界では魔導師というのは畏怖の対象らしい。都合良く誤解してくれたようだ。
本当はただの一般人なんだけどな……。
「まあ魔法なんて使えないんだけど」
俺は余った魔結晶を手で弄びながら奴等が置いていったカバンを手にとった。
うん、特に破れもほつれもないな。
やっぱり使い馴れたものの方が手に馴染む。
「よし、帰ろう」
このままここにいてもろくなことはない。むしろあいつらが仲間を連れてきても面倒だ。
俺は足早に家に戻ることにしたのである。
……それにしても泥棒対策はしなきゃならないな。流石に俺も迂闊だったと反省しなくては。
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