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第6話 目玉焼き追加で
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「はーい、いらっしゃーい」
元気な声で少女が迎えてくれる。
赤みがかった茶色い髪をポニーテールにし、八重歯が特徴な可愛らしい看板娘だ。
その赤い瞳はくるくると子犬のようによく動く。
俺は小さくお辞儀をすると、近くにあるテーブルに座った。
「お兄さん一人? じゃ、これメニューね」
看板娘はテキパキと俺の前に水の入ったグラスを置き、フォークやスプーンを並べていく。
こういうところは地球と変わらないようだ。
「ええと……」
ハンバーグ定食に生姜焼き定食。どれもこれも美味しそうなものばかりだ。
食事は見慣れたものばかりで、ここも日本とあまり変わらない。ちなみにメニューの文字は日本語ではないのだが、俺は読むことが出来ている。これは転移したときに魔法で読めるようにしてくれてるらしい。
このこと自体は転移者がスムーズに魔王退治にいけるようにするための配慮で、特に俺特有の能力という訳ではない。
そして値段にちらりと視線を移すと、1000ゴールド前後というお値段設定だ。
地球でも1000円越えのランチなんて食べたことないな。俺は思わず唾を飲み込んだ。いつも昼御飯は我慢していた気がする。もしくはモヤシやキャベツを茹でて塩を振って食べることで腹を満たしていた。
注文を決めかねていた俺を見て、看板娘が顔を覗かせた。
「オススメはこのパワフルデラックスランチ! 一番高いけど、一番美味しいよ」
看板娘が指差したのはパワフルデラックスランチというハンバーグにエビフライに、生姜焼きに、ステーキと男が好きそうなものをもりもりにした定食だ。
お値段も3000ゴールドとなるほど確かにお高めだ。
しかし、今の俺には多分大量のお金がある。
俺はちらりとカバンに視線を移した。
……いやでも偽物というオチだったらどうしよう。王様に貰った1000ゴールドでは到底足りない。
「どうする? 」
看板娘がニヤリと笑みを浮かべた。
「……じゃあこれで」
「毎度! お父さーん、パワフル一つ! 」
「あ、すいません!! 」
俺は少女を呼び止める。
「……目玉焼きもトッピングして貰って良いですか? 」
◇◇◇
「お待たせしましたー、はい、パワフルデラックスランチです! 」
俺の前に並べられた美味しそうな食べ物。それに半熟の目玉焼きがしっかり乗っかっている。
トッピング……。ずっと憧れていたけど地球ではとうとう出来なかったな。
「熱いうちに食べてね。それじゃ、ごゆっくり」
俺はまず一口ハンバーグを口に入れる。
じゅわっと肉汁が口の中で広がり、思わず目を見開いた。
「美味しい」
「でしょ、うちのハンバーグは毎日1から作ってるんだよ。お肉にもこだわりがあってー」
すると店の奥からコラ! という女性の声がした。
「ルーナ、サボってるんじゃないよ、お客さん困ってるだろ」
「わわ、お母さん。サボってないよ! 雑談してるだけだよ! 」
その看板娘はルーナという名前らしい。そして店の奥から出てきたふくよかな女性が彼女の母親のようだ。
「まったくもう……ごめんなさいね」
「いえいえ、気にしないで下さい」
苦笑いを浮かべる俺。
食べるのに夢中で、他のことに気が回らなくなっていた。
ガツガツ一心不乱に食べる俺を見てなにかを察しのだろう、それ以上話しかけては来なかった。
俺は生まれて初めてに近いほどのご馳走に、涙が出そうなぐらい夢中になっていた。
もし俺が過去に戻れるのなら、腹を空かせて泣いていた幼い俺にこれを食べさせてやりたい。
おっと、疲れのせいか少しセンチメンタルになってるな。ここ数日で色々なことが起きすぎたのだ。仕方ない、と俺は自分に言い聞かせた。
元気な声で少女が迎えてくれる。
赤みがかった茶色い髪をポニーテールにし、八重歯が特徴な可愛らしい看板娘だ。
その赤い瞳はくるくると子犬のようによく動く。
俺は小さくお辞儀をすると、近くにあるテーブルに座った。
「お兄さん一人? じゃ、これメニューね」
看板娘はテキパキと俺の前に水の入ったグラスを置き、フォークやスプーンを並べていく。
こういうところは地球と変わらないようだ。
「ええと……」
ハンバーグ定食に生姜焼き定食。どれもこれも美味しそうなものばかりだ。
食事は見慣れたものばかりで、ここも日本とあまり変わらない。ちなみにメニューの文字は日本語ではないのだが、俺は読むことが出来ている。これは転移したときに魔法で読めるようにしてくれてるらしい。
このこと自体は転移者がスムーズに魔王退治にいけるようにするための配慮で、特に俺特有の能力という訳ではない。
そして値段にちらりと視線を移すと、1000ゴールド前後というお値段設定だ。
地球でも1000円越えのランチなんて食べたことないな。俺は思わず唾を飲み込んだ。いつも昼御飯は我慢していた気がする。もしくはモヤシやキャベツを茹でて塩を振って食べることで腹を満たしていた。
注文を決めかねていた俺を見て、看板娘が顔を覗かせた。
「オススメはこのパワフルデラックスランチ! 一番高いけど、一番美味しいよ」
看板娘が指差したのはパワフルデラックスランチというハンバーグにエビフライに、生姜焼きに、ステーキと男が好きそうなものをもりもりにした定食だ。
お値段も3000ゴールドとなるほど確かにお高めだ。
しかし、今の俺には多分大量のお金がある。
俺はちらりとカバンに視線を移した。
……いやでも偽物というオチだったらどうしよう。王様に貰った1000ゴールドでは到底足りない。
「どうする? 」
看板娘がニヤリと笑みを浮かべた。
「……じゃあこれで」
「毎度! お父さーん、パワフル一つ! 」
「あ、すいません!! 」
俺は少女を呼び止める。
「……目玉焼きもトッピングして貰って良いですか? 」
◇◇◇
「お待たせしましたー、はい、パワフルデラックスランチです! 」
俺の前に並べられた美味しそうな食べ物。それに半熟の目玉焼きがしっかり乗っかっている。
トッピング……。ずっと憧れていたけど地球ではとうとう出来なかったな。
「熱いうちに食べてね。それじゃ、ごゆっくり」
俺はまず一口ハンバーグを口に入れる。
じゅわっと肉汁が口の中で広がり、思わず目を見開いた。
「美味しい」
「でしょ、うちのハンバーグは毎日1から作ってるんだよ。お肉にもこだわりがあってー」
すると店の奥からコラ! という女性の声がした。
「ルーナ、サボってるんじゃないよ、お客さん困ってるだろ」
「わわ、お母さん。サボってないよ! 雑談してるだけだよ! 」
その看板娘はルーナという名前らしい。そして店の奥から出てきたふくよかな女性が彼女の母親のようだ。
「まったくもう……ごめんなさいね」
「いえいえ、気にしないで下さい」
苦笑いを浮かべる俺。
食べるのに夢中で、他のことに気が回らなくなっていた。
ガツガツ一心不乱に食べる俺を見てなにかを察しのだろう、それ以上話しかけては来なかった。
俺は生まれて初めてに近いほどのご馳走に、涙が出そうなぐらい夢中になっていた。
もし俺が過去に戻れるのなら、腹を空かせて泣いていた幼い俺にこれを食べさせてやりたい。
おっと、疲れのせいか少しセンチメンタルになってるな。ここ数日で色々なことが起きすぎたのだ。仕方ない、と俺は自分に言い聞かせた。
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