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第5話 チート? バグ?
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ギフト持ちの三人がいなくなってからと言うものの、俺への当たりは日に日に強くなっていった。
食事も明らかに貧相になったし、誰かとすれ違う度にヒソヒソと陰口を叩かれた。
まあそれもそうだろう。王国としても何の能力も持たない異世界人なんて飼っている意味もない。
その扱いに耐えきれなくなった俺は、ついに外に出ることを決めた。元の世界に帰れば? って思うかもしれないがそれは出来ないらしい。あっちの世界での肉体はもう死んでいるから、と召喚者という男にめんどくさそうに説明された。
地球に帰れなくてちょっとほっとしている自分がいるのに自分で驚いた。どうやら俺は見知らぬ異世界で孤独で過ごす方が地球で飼い殺しにされるよりもマシだと思っているらしい。
城を出ます、と伝えたときの彼らの表情は安心しきったような、それでいて嬉しそうな絶妙な顔をしていた。
王様は応援と表して1000ゴールドくれたが、これでは家一つ借りることは出来ない。
そもそもこの世界でも物価は元の世界と同じぐらいのようだ。単位は違うけれど、1ゴールド=1円と考えて問題ない。
そうすると1000ゴールドというのがいかに少ないか分かるだろう。これでは宿屋すら泊まれるか怪しい。
今時の小学生のお年玉の方が多いんじゃないか?
「はーあ」
俺にあるのは元の世界から一緒に転送されてきた斜め掛けの黒いカバンと、小遣いにもならない1000ゴールド。
異世界でも俺は仕事をしなきゃいけないのか。それも魔法も肉体労働も出来ない俺に、仕事なんてあるのだろうか。
でも働かなければ何の宛もない世界で野垂れ死にだ。俺は誰からも認識されることなく、無縁仏として葬られるのだろう。
いや葬られるだけまだマシか。下手すれば魔物に食われる運命かもしれない。
せめてスマホでもあると良いんだけどな、そう思った俺はカバンに手を突っ込んだ。
「ん? 」
そこで何か違和感を覚える。
まるで無の空間を掴んでいるような、何もないような。そんな感覚だ。
しばらく手で探っていると何か硬いものが触れた。
引っ張りあげたそれは、大量のゴールドが詰まった麻袋だった。
「は!? 」
意味の分からない俺は慌ててそれをバッグにしまいこむ。
こんなもの貰った覚えも、カバンに入れた覚えもない。
「な、どういうことだ!? 」
カバンの中身を覗き込んだ俺は、思わず失神しそうになった。
そこに広がっていたのは大量のお金の山、そしてカバンの容量を遥かに越えた無限の世界が広がっている。
まるでそこに別世界が広がっているようだ。
「何だこれ!? バグか!? 」
バグ、という言葉に俺は少しピンと来た。タクトにして貰った鑑定、あれで俺のステータスは文字化けしていた。
しかしあれは文字化けではなく、バグっていたのではないだろうか?
そうするとあの鑑定は正しかったのではないだろうか?
俺はゴールドを引っ張りあげると、まじまじと見つめる。
「これが俺の……ギフト? 」
ゴールド無限増殖、これこそが俺の能力なのではないか……?
そしてカバンの中が異空間と化しているのもこの能力に付随しているのではないだろうか……?
俺はただ呆然と、大量のゴールドを両手に持ち、これで何をするべきなのか考えていたのだった。
きゅるるるると腹が鳴った。
ひとまず遅めのランチでも食べるか、と俺は近くにあった定食屋に足を運んだのだった。
自分の能力のことは後で考えよう、と何も見なかったことにした。
食事も明らかに貧相になったし、誰かとすれ違う度にヒソヒソと陰口を叩かれた。
まあそれもそうだろう。王国としても何の能力も持たない異世界人なんて飼っている意味もない。
その扱いに耐えきれなくなった俺は、ついに外に出ることを決めた。元の世界に帰れば? って思うかもしれないがそれは出来ないらしい。あっちの世界での肉体はもう死んでいるから、と召喚者という男にめんどくさそうに説明された。
地球に帰れなくてちょっとほっとしている自分がいるのに自分で驚いた。どうやら俺は見知らぬ異世界で孤独で過ごす方が地球で飼い殺しにされるよりもマシだと思っているらしい。
城を出ます、と伝えたときの彼らの表情は安心しきったような、それでいて嬉しそうな絶妙な顔をしていた。
王様は応援と表して1000ゴールドくれたが、これでは家一つ借りることは出来ない。
そもそもこの世界でも物価は元の世界と同じぐらいのようだ。単位は違うけれど、1ゴールド=1円と考えて問題ない。
そうすると1000ゴールドというのがいかに少ないか分かるだろう。これでは宿屋すら泊まれるか怪しい。
今時の小学生のお年玉の方が多いんじゃないか?
「はーあ」
俺にあるのは元の世界から一緒に転送されてきた斜め掛けの黒いカバンと、小遣いにもならない1000ゴールド。
異世界でも俺は仕事をしなきゃいけないのか。それも魔法も肉体労働も出来ない俺に、仕事なんてあるのだろうか。
でも働かなければ何の宛もない世界で野垂れ死にだ。俺は誰からも認識されることなく、無縁仏として葬られるのだろう。
いや葬られるだけまだマシか。下手すれば魔物に食われる運命かもしれない。
せめてスマホでもあると良いんだけどな、そう思った俺はカバンに手を突っ込んだ。
「ん? 」
そこで何か違和感を覚える。
まるで無の空間を掴んでいるような、何もないような。そんな感覚だ。
しばらく手で探っていると何か硬いものが触れた。
引っ張りあげたそれは、大量のゴールドが詰まった麻袋だった。
「は!? 」
意味の分からない俺は慌ててそれをバッグにしまいこむ。
こんなもの貰った覚えも、カバンに入れた覚えもない。
「な、どういうことだ!? 」
カバンの中身を覗き込んだ俺は、思わず失神しそうになった。
そこに広がっていたのは大量のお金の山、そしてカバンの容量を遥かに越えた無限の世界が広がっている。
まるでそこに別世界が広がっているようだ。
「何だこれ!? バグか!? 」
バグ、という言葉に俺は少しピンと来た。タクトにして貰った鑑定、あれで俺のステータスは文字化けしていた。
しかしあれは文字化けではなく、バグっていたのではないだろうか?
そうするとあの鑑定は正しかったのではないだろうか?
俺はゴールドを引っ張りあげると、まじまじと見つめる。
「これが俺の……ギフト? 」
ゴールド無限増殖、これこそが俺の能力なのではないか……?
そしてカバンの中が異空間と化しているのもこの能力に付随しているのではないだろうか……?
俺はただ呆然と、大量のゴールドを両手に持ち、これで何をするべきなのか考えていたのだった。
きゅるるるると腹が鳴った。
ひとまず遅めのランチでも食べるか、と俺は近くにあった定食屋に足を運んだのだった。
自分の能力のことは後で考えよう、と何も見なかったことにした。
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