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第17話 新たな出会い

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「姉さん! 」

「うおっ!! 」

 村に足を踏み入れるなり、見知らぬ青年が駆け寄ると、女性にすがりついた。
 半ば強引に女性を奪った彼は、姉さん姉さんと何度も呼び掛ける。

「えっと……」

 困惑してるあたしに気が付いたのか、その青年がはっと顔をあげた。

「すいません!! ここまで姉を連れてきてくださったのに」

「いや、それは良いんだけ……」

 彼の顔を見た瞬間、あたしの脳内に電流が走った。
 クールで切れ長の瞳、女性にも見間違うような顔立ち。

……滅茶苦茶タイプだ

「あの? どうかしましたか? 」

 その青年が不思議そうに声をかけた。
 やばいやばい、うっかり見とれてしまってたわ。

「な、なんでもないわ! お姉さんが急に倒れてしまって……この村では何が起きているの? 」

 すると青年は言いにくそうに口をもごもご動かした後、ちらりと辺りを見回した。

「……ここでその話をするのはあれなので、こちらに来て下さい」

 あたしとルティは何事かと顔を見合わせたが、訳有りな彼に付いていった。

◇◇◇

 連れていかれたのはどうやら青年と女性の自宅らしい。倒れてしまった女性の名前はシャルロッテと言い、青年は彼女の弟のキールというようだ。

「どうぞ、つまらないものですが」

 キールはあたしたちの前にお茶を出すと、こんこんと眠っているシャルロッテを心配そうに見つめる。

「ああいえいえ、そんな。押し入っちゃってごめんなさいね」

「いえ、貴女たちは命の恩人です。姉さんを助けてくれてありがとうございます」

 うわぁ……笑うとこれまた印象が変わる。
 って、何あたしは不純なことを考えているんだ?

 そして隣でおとなしくしているルティも、何か言いたげにシャルロッテを見ている。

「ふむ……それで、この病はなんだ? まるで体が魔物のように変化しているが……」

 口を開いたのはルティだった。

 するとキールはこくりと頷いた。

「……僕達は闇死病あんしびょうと呼んでいます。ある日突然、意識を失い、体が魔物と化していく病気です。原因は分かりません」

「闇死病……」

「長老は闇の神レイズの呪いだ、と言います。本当かどうかは分かりませんが」

 キールは悔しそうに唇を噛んだ。

「治療薬とかないの? 」

「ありません。ただ死を待つしかないんです」

 あたしはそんな……と何も言えずに項垂れた。何とかしてあげたいけど、どうにも出来ないなんて……。

 するとルティが不思議そうな顔であたしを見る。

「何をそんな落胆する必要がある? 闇の神の呪いなど、馬鹿馬鹿しい。ただの魂の浄化が行われてないから起きたことだ」

「ちょ、ちょっとそんな言い方! 」

「どういう意味ですか? 」

 ほら~~~!!! キールさんムッとしてるじゃん。

「我が下僕ならその女の病を治せるということだ」

「へ? 」

 突然の指名に、あたしは思わず変な声をあげてしまった。
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