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春
第12話 お花見に行こう
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「ごめんください」
ある日、朝早くから来客があった。眠い目をこすって対応すると、そこにはシャロンの姿があった。
「おはよう、シャロン。どうした? お祈りか? 解毒か? 解呪か? 」
「い、いえ違います。どれも結構です」
なんだ残念、まだここに来てちゃんと神父業をしたことがないのに。
「こんな朝からどうしたんだ? 」
「ふふふ、実はお花見をしませんか、というお誘いです」
「花見か」
聞いたことがある。
花を見ながらどんちゃん騒ぎをする東洋の文化だとか。
「実は町外れに、綺麗な花をつける木あるんですよ。これを見ながらご飯でもどうですか? 」
楽しそうだな、と俺は二つ返事でOKを出す。
それに町の人と仲良くなるチャンスかもしれない。
「フレイアさんは……? 」
「まだ寝てる。置き手紙でも置いとけば後から来るから大丈夫だ」
そうですか、とシャロンは頷いた。何だかその顔は心なしか嬉しそうであった。
「何だか嬉しそうだな……? 」
「い、いえそんなことはないです! さ、行きましょう」
「おう」
こうして俺らは花見へと向かったのである。
◇◇◇
その道中、ぽつりぽつりとシャロンと話をした。
「えっと、アレスとフレイアさんは本当に恋人ではないんですか? 」
「当たり前じゃねーか。あいつが恋人なんて有り得ないよ」
「そ、そうですか。でもフレイアさんってスタイルも良いし美人だし……」
「まあ確かに」
大人しくしていれば絶世の美女なのは確かだ。それは認める。
「ではなぜ……? もしかして他に好きな人とか……」
「そんなもんいないよ、なぜかと言われると困るんだが……そうだな、もっとおしとやかな女の子がタイプだからかなぁ」
「おしとやか……なるほど」
ふむふむ、とメモを取るシャロン。いや、彼女は一体何のためにメモを取っているのだろうか……。
「じゃ、じゃあミシェルさんはどう思ってますか? おしとやかな人ですよね……」
ミ、ミシェルがおしとやか!?
本気で言ってるのかと驚いたがまあシャロンはミシェルの本性を知らないのだろう。そう思うのも当たり前かもしれない。
「ミシェルは……確かにおしとやかなお姉さんかもしれないな」
ド変態だけど、というのがその後につく。
「やっぱり……」
なぜかしゅんとするシャロン。
よく分からないが、ミシェルがおしとやかで困るのだろうか。
ここは励ましてフォローしなければなるまい。
「ああ、でもシャロンもおしとやかだよな。シャロンみたいな女の子も好きだなー俺」
「えっ……」
「え? 」
みるみる顔を真っ赤にするシャロン。あれ? 俺、今、もしかしてとんでもないことを言ってしまったんじゃ……。
「あっ、えっとその。そうですか、私もちゃんとおしとやか出来てますか……? 」
「お、おう。完璧だと思う!! 」
意味の分からないことを口走る俺。一体何の話をしているのだろう……。
「そ、そうですか……」
そう言って顔を隠したシャロンだったが、少し指の間から口元が見えた。
笑みを浮かべるシャロンはまんざらでもなさそうであった。
「あら、お二人さん。どこに行きますの? 」
そして後ろから声をかけてきたのはミシェル。
「ああミシェル。実は花見に行こうと思ってな」
「花見……? まあ、風流ですね。ぜひ私もご一緒したいですわ」
「ああ構わないよ。あれ、これって町の皆でやるイベントじゃないの? 」
「あれ? そんな話は聞いていませんわよ」
どういうことだ? と、シャロンに目を移す。
すると、決まり悪げに愛想笑いを浮かべる彼女の姿があった。
「……皆でお花見っていうのも良いものですよね」
口許は笑っていたが、明らかに目が笑っていなかった。
「そうですわ、アレスさん。この前の夜は凄かったですわね」
「え? 」
「私、あんな快感を得たのは初めてでして……少し驚いてますわ」
あ、ミシェルが初めてこの町に来たときの話しか……。
って、ここだけだととんでもない会話に聞こえるんじゃないか?
「よ、よ、よ、よ、夜!? 快感!? 」
わなわなと震えるシャロン。
「ええ。今度はシャロンさんもご一緒に……」
「結構です! 」
そう言い残すと、シャロンは足早に去っていったのだった。
「……あらあら、難しいお年頃なのねえ」
「そういう問題じゃないと思うぞ」
ミシェルの性癖にシャロンを巻き込むな、と俺はしつこいぐらい言い聞かせたのだった。
ある日、朝早くから来客があった。眠い目をこすって対応すると、そこにはシャロンの姿があった。
「おはよう、シャロン。どうした? お祈りか? 解毒か? 解呪か? 」
「い、いえ違います。どれも結構です」
なんだ残念、まだここに来てちゃんと神父業をしたことがないのに。
「こんな朝からどうしたんだ? 」
「ふふふ、実はお花見をしませんか、というお誘いです」
「花見か」
聞いたことがある。
花を見ながらどんちゃん騒ぎをする東洋の文化だとか。
「実は町外れに、綺麗な花をつける木あるんですよ。これを見ながらご飯でもどうですか? 」
楽しそうだな、と俺は二つ返事でOKを出す。
それに町の人と仲良くなるチャンスかもしれない。
「フレイアさんは……? 」
「まだ寝てる。置き手紙でも置いとけば後から来るから大丈夫だ」
そうですか、とシャロンは頷いた。何だかその顔は心なしか嬉しそうであった。
「何だか嬉しそうだな……? 」
「い、いえそんなことはないです! さ、行きましょう」
「おう」
こうして俺らは花見へと向かったのである。
◇◇◇
その道中、ぽつりぽつりとシャロンと話をした。
「えっと、アレスとフレイアさんは本当に恋人ではないんですか? 」
「当たり前じゃねーか。あいつが恋人なんて有り得ないよ」
「そ、そうですか。でもフレイアさんってスタイルも良いし美人だし……」
「まあ確かに」
大人しくしていれば絶世の美女なのは確かだ。それは認める。
「ではなぜ……? もしかして他に好きな人とか……」
「そんなもんいないよ、なぜかと言われると困るんだが……そうだな、もっとおしとやかな女の子がタイプだからかなぁ」
「おしとやか……なるほど」
ふむふむ、とメモを取るシャロン。いや、彼女は一体何のためにメモを取っているのだろうか……。
「じゃ、じゃあミシェルさんはどう思ってますか? おしとやかな人ですよね……」
ミ、ミシェルがおしとやか!?
本気で言ってるのかと驚いたがまあシャロンはミシェルの本性を知らないのだろう。そう思うのも当たり前かもしれない。
「ミシェルは……確かにおしとやかなお姉さんかもしれないな」
ド変態だけど、というのがその後につく。
「やっぱり……」
なぜかしゅんとするシャロン。
よく分からないが、ミシェルがおしとやかで困るのだろうか。
ここは励ましてフォローしなければなるまい。
「ああ、でもシャロンもおしとやかだよな。シャロンみたいな女の子も好きだなー俺」
「えっ……」
「え? 」
みるみる顔を真っ赤にするシャロン。あれ? 俺、今、もしかしてとんでもないことを言ってしまったんじゃ……。
「あっ、えっとその。そうですか、私もちゃんとおしとやか出来てますか……? 」
「お、おう。完璧だと思う!! 」
意味の分からないことを口走る俺。一体何の話をしているのだろう……。
「そ、そうですか……」
そう言って顔を隠したシャロンだったが、少し指の間から口元が見えた。
笑みを浮かべるシャロンはまんざらでもなさそうであった。
「あら、お二人さん。どこに行きますの? 」
そして後ろから声をかけてきたのはミシェル。
「ああミシェル。実は花見に行こうと思ってな」
「花見……? まあ、風流ですね。ぜひ私もご一緒したいですわ」
「ああ構わないよ。あれ、これって町の皆でやるイベントじゃないの? 」
「あれ? そんな話は聞いていませんわよ」
どういうことだ? と、シャロンに目を移す。
すると、決まり悪げに愛想笑いを浮かべる彼女の姿があった。
「……皆でお花見っていうのも良いものですよね」
口許は笑っていたが、明らかに目が笑っていなかった。
「そうですわ、アレスさん。この前の夜は凄かったですわね」
「え? 」
「私、あんな快感を得たのは初めてでして……少し驚いてますわ」
あ、ミシェルが初めてこの町に来たときの話しか……。
って、ここだけだととんでもない会話に聞こえるんじゃないか?
「よ、よ、よ、よ、夜!? 快感!? 」
わなわなと震えるシャロン。
「ええ。今度はシャロンさんもご一緒に……」
「結構です! 」
そう言い残すと、シャロンは足早に去っていったのだった。
「……あらあら、難しいお年頃なのねえ」
「そういう問題じゃないと思うぞ」
ミシェルの性癖にシャロンを巻き込むな、と俺はしつこいぐらい言い聞かせたのだった。
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