最強目指す脳筋令嬢は婚約破棄されたい

寿司

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1年生・春

第23話 これって修羅場ってやつ?

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 授業は元気に爆睡した私はいよいよ待ちに待った昼ご飯の時間を迎えた。
 しかし、ゼノが作ってくれたお弁当はもう空っぽだ。

「……お腹空いた」

「だから言っただろ!! 早弁したら後で腹減るって」

 呆れ顔のゼノ。良かった、いつものゼノに戻ったみたい。
 と言いつつも食堂に連れ添ってくれるゼノは根は良い奴なのだ。

 お昼休みの食堂はいつも他学科の生徒も集まる為混んでいてガヤガヤしている。今日のオススメは……ミートスパゲッティか。うん悪くない。

 ちゃちゃっとミートスパゲッティを頼んだ私は、慣れた手つきでフォークを準備すると、席を取っといてくれたゼノの元に戻る。

「お前、せっかく節約の為に弁当作ってるのに意味ないじゃないか」

「まあまあ、お腹が空いてちゃ授業に集中出来ないからね~」

「……集中したことなんてないくせに」

 うるさいぞゼノくん。
 何はともあれ、いっただっきまーすとスパゲッティを食べ始める私。うんまあそこそこなお味だ。
 この料理の味はどの世界でも変わらないな、とふと考えた。

「そーいえばさ」

「何だ? 」

「私、滅びの凶星ってやつだったみたい!! 」

 ぶふぉっととゼノが口に含んでいたお茶を噴き出した。
 あれ? 何か変なこと言った?

「ななななななな何を言ってんだお前は!? こんなところで」

「へ? 何かまずいこと言った? 」

「まずいなんてもんじゃないだろう!!! 」

 ゼノの声の方がでかいよ……まだ耳がキーンとしてる。

「あ! ユノちゃん見ーつけた。私も一緒にご飯食べて良い? 」

 そのでかい声を聞きつけてやってきたのは例のヤンデレ男の娘ハル!
 これはやばいって、更にめんどくさいことになりそうだ……。

「あら、弟のゼノくんも一緒なんですね。姉弟仲が良くて羨ましいな」

 ハル! 目が怖いよ!! 全然笑えてないよ!

「何だお前? 今は取り込み中なんだが……後でにしてくれないか」

「ゼノくんに用はないよ、私が用があるのはユノちゃんだけなんだから」

「僕も今ユノに言わなきゃいけないことがあるんだが」

 何この三角関係の修羅場みたいな状況……。 
 ちょっと乙女ゲームっぽいじゃんと思いつつも、ピリピリした空気に耐えきれなかった私は二人の間に割り込む。

「わーーーーーーハル!!! 後でゆっくり話そうよ、ね? 」

「え? ユノちゃん私より弟の方が大切なの? 」

 すうっとハルの目からハイライトが消え失せる。やばい、これはヤンデレモード発動だ……。
 まーた面倒くさいことになりそうなので私は慌てて逃走準備にかかる。

「そーじゃなくて」

「そっかー、じゃあ私がユノちゃんの弟になってあげるよ。ね? そしたらゼノくんなんていらないよね? 」

「ユノの弟は僕だけだが? 」

 あーーもうゼノも変なところで張り合わなくて良いから!

「ふーん、でもどうせ家事も何もかもユノちゃんに押し付けてるんでしょ? 私なら良い弟になれると思うんどなー」

「家事を押し付けてるのはユノの方だ! こいつは下着すら僕に洗わせるような羞恥心のない女で……」

「あーーーーーー!!!! ゼノ余計なことは言わんでいいから! 」

「下着!? 気持ち悪い、お姉さんのものを触るなんてとんだ変態だね」

「こいつは寝るときも下着一枚だしほんと恥じらいってものが……」

「あ!! もう授業始まる!! また後でねハル! 」

 これ以上プライバシーをばらされたくない私は強引に話を打ち切った。

「まだ20分はありますよ? 」

 ハルの言葉は聞こえないふりをし、私はゼノを連れて猛ダッシュで寮へと向かった。ああ、結局スパゲッティ全部食べれなかったよ……勿体ないことしたなぁ。
 
 
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